昨日の敵は今日の友の巻・其の弐

 三河・岡崎城にて慶次が家康に拝謁したのは、関所兵数名を気絶させた翌日のことであった。

徳川家康「移籍早々とやってくれたな」
斜メ前田慶次「はっ」
徳川家康「はっ、ではないわ。この始末をどうつけるつもりだ」
斜メ前田慶次「はっ」
徳川家康「どうつけるつもりだ、と聞いておるのだ」

 慶次は平伏したまま、家康と顔を合わそうとはしなかった。その態度が余計に家康を苛立たせることとなった。

徳川家康「何とか言わぬか!」
斜メ前田慶次「恐れながら、申し上げます」
徳川家康「何だ」
斜メ前田慶次「拙者は、ただ単に親愛の情を込めて抱擁しただけでござる。気絶されて困ったのはむしろこちらのほう」
徳川家康「自分に責任はないと申すか!」
斜メ前田慶次「それを決めるのは拙者ではございませぬ」
徳川家康「では誰が決めるというのだ」
斜メ前田慶次「さあ?」

 第一印象は「最悪だった」と後に両人は語った。このとき、二人の間には間違いなく険悪な空気が流れていた。

徳川家康「覚えておるぞ。そちが数年前、大決戦場でやりたい放題やってくれたことを」
斜メ前田慶次「あの頃は良うござりましたな。拙者は大決戦が好きだったので、廃止になったのが残念でたまりませぬ」
徳川家康「徳川家所縁の者を沢山殺したことを、今はどう思っておる?」
斜メ前田慶次「殺し、殺されは戦国の世の常でござる。何とも言えませぬな」
徳川家康「謝罪や後悔の念はないのか」
斜メ前田慶次「殺し、殺されは戦国の世の常でござると申し上げたはずですが」

 問責を飄々とかわす慶次に対し、家康の中に嗜虐心が芽生えた。

徳川家康「そうだ、そちは傾奇者であったな」
斜メ前田慶次「はっ」
徳川家康「何か、芸をやって見せよ」
斜メ前田慶次「芸、ですと?」
徳川家康「傾奇者ならできるであろう? さあ、見せてみせよ」

 ここでようやく慶次が顔を上げた。もっとも芸を見せるためではない。家康に対して物申すためだ。

斜メ前田慶次「恐れながら、申し上げます」
徳川家康「できぬとは言わせぬぞ。何しろそちはレベル70なのだからな。引き出しは沢山あるだろう」
斜メ前田慶次「勘違いをされておられる方がたまにおられますが、傾奇者はあくまで武士であって、芸人の類ではありませぬ」
徳川家康「儂が勘違いをしておると言いたいのか」
斜メ前田慶次「恐れながら」
徳川家康「何でもいいから、 早く芸をやれい。ほれ、やらぬか。儂を笑わせるまで帰さぬぞ」
斜メ前田慶次「傾奇者を愚弄することは、例え殿でも許しませぬぞ!」

 慶次が啖呵を切るのと、家康の傍に控えていた本多忠勝が名槍・蜻蛉切の穂先を慶次の鼻先に突きつけたのは、ほぼ同時のことであった。

斜メ前田慶次「・・・と、言ってみるテスト」
徳川家康「な、何だ、てすと、というのは」
斜メ前田慶次「まあ、何と言いますか、南蛮の言葉で言う試験、試みという意味です」
徳川家康「試み、だと?」
斜メ前田慶次「左様。平たく言えば冗談ということですな」
徳川家康「成程、冗談か」
斜メ前田慶次「ひとまず、本多殿をなだめていただきたい。いかに冗談とは言え、蜻蛉切はちょっと・・・」

 家康は笑い出した。何がツボにはまったのかはわからないが、とにかく笑った。そしてその様子を見て、本多忠勝もまた蜻蛉切を引っ込めたのであった。

斜メ前田慶次「芸はできませぬが、今日はお近づきのしるしに、ささやかな土産を持参いたしました」
徳川家康「ほう、何を持ってきた」
斜メ前田慶次「本当につまらぬものですが・・・」



2016092801.jpg

斜メ前田慶次「焼き味噌、でござる。殿は合戦場に持ち込むほど焼き味噌がお好きと耳に挟みましてな」
徳川家康「・・・!」
斜メ前田慶次「酒のツマミにも、飯のオカズにもなり申す。焼きむすびでも良うござるな。ささ、どうぞお納め下され」
徳川家康「・・・貴様ァ・・・!」
斜メ前田慶次「引っ越しをしたばかりで、忙しいので今日はこれにて失礼いたす。存分にお召し上がり下され」

 忠勝に、慶次を殺せと喉元まで出かかった家康であったが、どうにか堪えた。例えいかなる事情があっても、移籍してきたばかりの家老を殺害したとあっては、その後の国家運営に重大な影響を及ぼすと考えたからだ。

徳川家康「あれはあくまで焼き味噌だからな・・・!」
本多忠勝「・・・はっ!?」
徳川家康「新十郎(大久保忠世)にそう伝えておけい!」

 何故、大久保忠世なのかは各自ググッていただきたい。もっとも、すでに皆様はご存知かもしれませんが、念のため。

斜メ前田慶次「やっぱ、合いそうにねえなあ・・・焼き味噌やったら何故かキレやがるしよ・・・俺、徳川家でやっていけっかなあ・・・」

 慶次が城に続く階段を下りながらひとりごちている頃・・・百道安は三河領内のとある寒村にて村人に無礼を働いた挙げ句、一人の赤子を強引に奪い取っていた。

「・・・お願いします・・・どうか・・・どうか・・・子供だけは・・・!」

 母親の懇願は届かなかった。道安は無慈悲に母親の顔を殴りつけ気絶させると、赤子を籠に乗せ岡崎へ向けて出発した。
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Date: 2016.09.28
Category: 信on休止中
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