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突然ですが移籍しましたの巻

斜メ前田慶次「・・・ドラの野郎! また、朝飯を作り忘れてやがる!」

 ずいぶん前にも同じことを記した記憶があるが、慶次は毎日必ず朝食を食べる。それはどんなに深酒をした日の朝であっても同じで、吐きそうになってでも飯と味噌汁だけは絶対に掻き込む。そうしないと、身体にエンジンがかからないからである。

 エンジンがかからなければ、午前中の仕事の出来は惨憺たるものとなる。であるからこそ慶次は居候兼主夫兼売り子であるドラえもん・零式に、ことあるごとに厳命している。例えどんなことがあっても朝飯だけは作れと。

 お前の食い扶持は俺が稼いでいることを忘れるな。誰のおかげで衣食住が保証されているのか、そこのところをよく考えろと言っているにも関わらず、ドラえもん・零式はたまに朝寝坊をして朝食を作らないことがある。といっても年に数回ほどではあるのだが、

斜メ前田慶次「・・・おのれ! 叩き起こしてくれるわ!」

 慶次にとっては許すことができない。自身の仕事のクオリティが下がるということは、すなわち同僚にも迷惑をかけてしまうことになるからである。今朝のドラえもん・零式のように「うっかり」では済まされないのである。それが仕事というものだと慶次は考えている。

斜メ前田慶次「いつまで寝てやがんだ! 起きろこの野郎!」

 乱暴にドラえもん・零式の部屋の引き戸を開き、布団に横臥しているドラえもん・零式を怒鳴りつけたところで、慶次は愕然とした。ドラえもん・零式のやつれっぷりにである。一目でわかるほどに、ドラえもん・零式はやつれてしまっていた。疲れ切っていた。

斜メ前田慶次「何て、疲れた背中をしてやがるんだ・・・」



『宗次郎 悲しみの果て Ocarina cover』

 ふと、慶次の両眼に熱いものが込み上げてきた。思えばドラえもん・零式が戦国の世に遭難することになってから、丸四年が経過している。その間、彼は法に触れるようなこともしてしまったし、主人たる慶次に対して我儘を言うことも多々あった。しかし、

斜メ前田慶次「それでもよ・・・それでもよ・・・」

 ドラえもん・零式にも良いところはある。弱者に対しての慈愛の精神はそんじょそこらの人間には負けないし、悪人に対しては積極的に喰ってかかっていく。極寒の信濃で遭遇した追い剥ぎに対し、逆に追い剥ぎをしようとしたことがそれを証明している。

 例え自身がタイムパトロールに追われる身であっても、それだけはぶれることがない。それに、今朝こそチョンボしてしまったが、普段は家事を頑張ってくれている。例え小遣いなしになっても、健気に頑張り続けている。

斜メ前田慶次「・・・ちくしょう! この世には、神も仏もいねえのか!」

 もういい加減、許してやってもいいじゃねえか。22世紀に帰してやってもいいじゃねえか! 慶次は溢れそうになる涙を懸命にこらえながら、天に向かって叫んだ。心の底から叫んだ。しかし現実は非情であった。助けがやってくる気配が全くないからである。唯一の肉親であるドラミ・零式も未だに動こうとはしない。どうしようもないというのが現状であった。

斜メ前田慶次「仕方ねえ・・・」

 慶次は硬く目を閉じ、静かにその場を去ることに決めた。朝飯が食えないことくらい何だ。こいつの苦労に比べれば、今朝、飯が食えないことくらいどうということはない。せめて今だけは・・・今だけは寝かせておいてやろう。そう考えたのである。

 ドラえもん・零式が目を覚ましてしまわぬよう、努めて静かに引き戸へ手をかけたところで、慶次の心の中にとある疑問が生じた。それまでは完全にドラえもん・零式を寝かせておくつもりでいたのだが、先ほど涙が込み上げてきたときと同様に、ふと生じたのである。では一体それは何かというと、

「・・・このまま何もせず眠らせておいてやることが、果たして彼のためになるのか?」

 ということである。思えば彼と同居を始めてからというもの、幾度となく慶次は彼に対して警告を発してきた。危機感を持て。追われている立場であることを自覚しろと。慶次とて、彼が逮捕されて泣き叫ぶ姿を見たくはないのである。しかしそんな慶次の思いに対し、彼は決して生活態度を改めようとはしなかった。

 説教をしても、うるさそうに顔を背け、別の話題に転じてしまうのである。こんなことではいけない。今のままではいずれ必ず捕まってしまう。もし仮に、先ほど部屋に入ってきたのが自分ではなく、タイムパトロール蝶野だったらどうするのだ。呑気に惰眠を貪っている場合ではないはずだ。

斜メ前田慶次「もしも俺がお前なら・・・」

 引き戸を開いた瞬間に手裏剣が飛んでくる仕掛けを部屋に施し、引き戸のそばにはマキビシを巻いておく。そして刀を懐に抱いて眠る。もちろん、いつ異変が起こっても良いように神経を研ぎ澄まして、だ。いざという時のために、逃走経路を確保しておくことも怠らない。

斜メ前田慶次「やはりこいつは、いくさ人にはなれないのか・・・」

 しかし、諦めるわけにはいかない。何だかんだで慶次は彼のことが好きなのである。絶対にタイムパトロールに逮捕させるわけにはいかない。言葉で言ってもわからないなら、行動に示すのみだ。「男というものは、あまりしゃべるものではない。両の眼で静かに結果だけを見ていればよいのだ」とアタル兄さんも仰っている。行動あるのみである。

 慶次とて一端のいくさ人である。ここ数日、何か嫌な予感がしている。根拠はないが、追手が増えている気がしているのである。いくさ人の勘というものだろうか。タイムパトロール蝶野の存在だけでも厄介なのに、さらに増えてしまっては正直なところ、彼を守りきれる自信はない。今、どうしても彼の意識を一変させる必要がある。

斜メ前田慶次「やむを得ん・・・」

 慶次はその足で甲府の両替所前まで出向き、食いっぱぐれている七人の屈強な男を金で雇った。わずかな時間しか働かせないにも関わらず、平成の世で言えば日当一万円という破格の待遇である。男たちは喜び勇んで慶次についていった。

「・・・それで、俺たちは一体何をすればいいんですかい?」

 男たちのうちの一人が、慶次に尋ねた。当然の疑問ではある。いくらギャラがいいとは言っても、命に関わるような危険な作業をするわけにはいかないからだ。そんな男たちの不安を解消すべく、慶次は矢継ぎ早に次々と単純な指令を下していった。それも歩きながら、男たちと目を合わさずに、である。

「・・・本当に、それだけでいいんですかい?」

 慶次は黙って頷いた。あとは行動に移すのみである。その後間もなく、慶次と七人の男たちはドラえもん・零式が眠りこけている室内に息を潜めていた。あとは慶次がゴーサインを出しさえすれば、男たちはいつでも指令どおりに行動することができる。

斜メ前田慶次「・・・いけい!」

 瞬間、男たちが弾かれたように動き出した。まずは四人の男たちがドラえもん・零式の四肢を力任せに床に押さえつける。

ドラえもん・零式「・・・ん・・・ん?・・・」

 この期に及んでも、ドラえもん・零式は目を覚まそうとはしなかった。平和ボケしている証拠だと、慶次は考えた。続けて二人の男がドラえもん・零式の上半身へ、残りの男が下半身へ回った。あとは慶次の号令を待つのみであった。

斜メ前田慶次「・・・くすぐり、始めい!」

 三人の男たちは無言で頷き、ドラえもん・零式の身体をくすぐり始めた。サワサワ、サワサワ、コチョコチョ、コチョコチョとドラえもん・零式の全身をくまなくくすぐり続け、三十秒ほどが経過したところでドラえもん・零式に変化が訪れた。目を覚ましたのである。

ドラえもん・零式「・・・なっ!?」

 口は塞がれていなかったため、ドラえもん・零式はまず叫んだ。何がなんだかわからない。わからないが、全身がゾワゾワする。

ドラえもん・零式「・・・ちょっ!」

 寝起きの頭ではあったが、時間が経つことで身体をくすぐられていることが理解できた。そして四肢を押さえつけられていることも。

ドラえもん・零式「・・・なんっ!?」

 一体、何が起こっているというのか。自分の部屋で一人で寝ていたはずなのに、何故今、くすぐられているのか。ドラえもん・零式はわけがわからず、布団の上で恐慌をきたした。必死に身をよじり、くすぐり攻撃を回避しようとした。しかしそれは失敗に終わった。四人の屈強な男たちが体重を乗せて四肢を押さえつけているからである。逃れられるはずがなかった。

ドラえもん・零式「・・・ちょははははははははははははははっ!」

 くすぐりの刺激に負け、ドラえもん・零式はとうとう笑い出した。しかし愉快に笑っているわけでは決してないことが、表情から明らかに窺える。眉間の皺と、全身から滲み出す脂汗がそれを証明している。

ドラえもん・零式「・・・やぁっははははははははははははははっ!」

 やめろと言いたいのだろうが、突き上げてくる笑いを抑えることはできないようであった。散々もがき、足掻き、苦し紛れに首を上げたところで、たまたま慶次と視線が合った。

ドラえもん・零式「・・・おっ、あっ、あはひあはーっはっはっはっはーーーーーーーーー!」

 慶次もまた、眉間に皺を寄せてドラえもん・零式が七人の男たちに嬲られる姿を見下ろしていた。即座にドラえもん・零式は慶次の仕業だと理解した。理解したが、それ以上はどうしようもなかった。くすぐりの波状攻撃の前に、ドラえもん・零式はただただ笑い続けるしかなかった。

斜メ前田慶次「・・・どんな・・・気分だ・・・!?」
ドラえもん・零式「・・・!?」
斜メ前田慶次「・・・今・・・一体・・・どんな気分なんだ・・・!?」

 「気分もクソもあるか! 早くやめさせろ!」とドラえもん・零式は思った。思ったが、それを口にすることはとうとうできなかった。

斜メ前田慶次「なあ・・・ドラ・・・教えてくれ・・・ドラ・・・ドラよ・・・!」

 全身をくすぐられながら目を覚まし、身体の自由がきかないままなおもくすぐられ続けるというのは、果たしてどんな気分がするものなのだろうか。凡人の私には想像もつかない。本当に、想像も・・・ああッ! くそォッ! 一体ッ! どんな気分なんだッ! ああもうビクンビクンッ!

 ・・・一つだけ言えることがあるとすれば、心臓が悪い人には絶対にやらないであげて欲しいということである。下手をしたら発作を起こして死んでしまいかねないからだ。いいか、絶対にやっちゃ駄目だぞ。お兄さんとの約束だぞ!

ドラえもん・零式「・・・こっ! ひっ! あはあっはっはっはっはっはあーーーーーーーー!!」

 爆笑しながらも憎悪に満ちた眼で自身を睨みつけてくるドラえもん・零式に対し、慶次は全く場違いなことを考えていた。とりあえずこれが一段落ついたら、朝飯の支度をさせ、その後引っ越しの準備をさせよう。時間は決して待ってはくれない。もはや一刻の猶予もないのだ、と。このとき、慶次はすでに決断していた。武田家から移籍し、新天地へ旅立つことを。

 ・・・さて、前置きが長くなりましたが、このたび徳川家へ移籍することを決定し、無事に移籍が完了しました。

2016091501.jpg

 移籍を済ませたのは今週の月曜日のことですが、その時点で織田家と敵対している勢力だったということが一番の理由です。慶次の目的はあくまで織田家の武将である前田慶次を倒すことであり、織田家と戦う勢力に所属している必要があるからです。

 なら本願寺でも良いのではないか? と一瞬考えたのですが、じっくり考えている時間の余裕がなかったことと、以前わずかながらも所属していた期間があったこともあり、新たな気持ちで頑張ってみたいという理由から徳川家を選びました。

 私にとって、かつては敵だった勢力であり正直複雑な思いはありますし、受け入れてくれるか不安な気持ちもありますが、前田慶次を倒す様を記すことがこのブログの主旨である以上、この道を行くしかありません。休止状態が長く続いてしまっていますが、まだまだ諦めてはいません。

 とりあえず今の私生活がもう少し落ち着いたら、合戦場デビューをしてみたいと思っています。それでは今日の日記はこの辺で。
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Date: 2016.09.15
Category: 信on休止中
Comments (2)Trackbacks (0)

この記事へのコメント:

はるもも

Date2016.09.15 (木) 16:25:12

ようこそ岡崎へ🎶

今後ともよろしくお願いいたします
(⌒▽⌒)

斜メ前田慶次

Date2016.09.16 (金) 00:10:45

> ようこそ岡崎へ🎶
>
> 今後ともよろしくお願いいたします
> (⌒▽⌒)

こんばんは、斜メ前田慶次の中の人です。
コメントありがとうございます!

休止状態が長く続き、浦島太郎みたいになっています。
正直、バー読みができるか自信がありません・・・。

それでも頑張りますので、よろしくお願いします!

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