朝まで飲るよ、の巻 其の拾伍

斜メ前田慶次「俺は、お主の素性やら雇い主やら、聞き出す気は一切ねえ。今はただ、お主という素晴らしい友を得て、一緒に飲んでいるだけで満足なんだ。ほれ、どんどん飲め」

 男はこのとき、「そ、そうか」としか言えなかった。まあ、そういう考え方もあるか、と受け入れるしかなかった。ましてや、慶次は傾奇者である。無理矢理に自己紹介をしようとしたところで、頑として受け入れようとはしないだろう。

ドラえもん・零式「僕にも注いでくれよ」
斜メ前田慶次「お前は黙って瓦版読んでろタコ」
ドラえもん・零式「うぎぃっ・・・!」
???「・・・・・・」
斜メ前田慶次「気にするな、こういうやり取りは日常茶飯事だ」
???「・・・そうか」
斜メ前田慶次「ほれ、どんどん飲め」
???「ああ」
斜メ前田慶次「何しろ、俺は明日は休みだ。日付的にはもう今日か。もっとも、最近はあまり働いてねえけどな」
???「ああ」
斜メ前田慶次「俺の中の人の都合でな。たまにログインしても巻き込みの狩りをちょろっとやってすぐ落ちちまう」
???「すまぬが、何を言っているのかよく理解できないのだが」
斜メ前田慶次「ならば語ろう。そもそも俺が何のためにこのつまらない日常を日々ダラダラと生きているのか。まず・・・」

 ここから、慶次の独壇場が始まった。何しろ、前田慶次を倒すために尾張を飛び出したことから語り始めたのだから、まあ長い。途中、何度か意識が遠くなりかけたが、どうにか持ちこたえたのはやはり忍びである証と言えるだろう。

???「・・・世の者どもが何と言おうと、前田慶次を倒すという夢を捨てずに生きるお主は尊敬に値する」
斜メ前田慶次「そうだろう、そうだろう」
ドラえもん・零式「あまり褒めない方がいいよ。すぐ図に乗るから」

 慶次が酒を注いでくれないため、手酌で飲み続けるドラえもん・零式も、このときかなり酔っていた。

斜メ前田慶次「お前は黙って瓦版読んでろタコ」
ドラえもん・零式「うぎぃっ・・・!」
???「以後、慶次どの、と呼ばせてもらっていいか」
斜メ前田慶次「当り前じゃねえか。何しろ、お主は俺の友だ。好きなように呼べばいい」
???「申し遅れたが、俺の名は・・・」

 男が自分の名前を言おうとしたところで、またしても慶次に制されてしまった。その理由は、

斜メ前田慶次「だからよぉ、俺は、お主の素性やら雇い主やら、聞き出す気は一切ねえんだよ。今はただ、お主という素晴らしい友を得て、一緒に飲んでいるだけで満足なんだ。おっ。茶碗が空じゃねえか。今、注いでやるから待ってろ」

 とのことであった。つまり先ほどと同じである。わからなくはない。わからなくはないが・・・男の中で、得体の知れないモヤモヤが徐々に膨らみ始めていた。しかし当然、それを口にするわけにはいかない。この場はひとまず、慶次に従い、黙って飲むことにした。

斜メ前田慶次「合戦場で前田慶次に取り付けたことが一度だけである。あん時は正直、脳汁ドバドバだったぞ、マジで」
???「それは、そうであろうな。俺も難しい仕事をやり遂げたときはそうなる」
斜メ前田慶次「お主も、さぞかし有名な忍びなのであろうな」
???「それなりに名は通っている。申し遅れたが、俺の名は・・・」
斜メ前田慶次「おっと、そこまで、そこまで」
???「ん?」
斜メ前田慶次「繰り返すがよぉ、俺は、お主の素性やら雇い主やら、聞き出す気は一切ねえんだよ。今はただ、お主という素晴らしい友を得て、一緒に飲んでいるだけで満足なんだ」
???「いや、構わぬ。俺の名は・・・」
斜メ前田慶次「・・・だーかーら! いいって言ってんだよ! お主は忍びだ。簡単に素性を明かしてはならぬ」
???「だから、構わぬと申しておるではないか」
斜メ前田慶次「ほれほれ、いいから飲め。俺の配慮が足らなかった。こういう話の流れになってしまったのは、俺のせいだ。その罰として、俺はイッキするぞ、はっはっは」
???「・・・・・・」

 このようなやり取りを幾度か繰り返した後にすっかり夜が明け、この酒宴はとうとうお開きとなった。玄関まで送られた男は酔ってはいたが、どうやら自力歩行は可能なようであった。

ドラえもん・零式「暇なときに、また寄りなよ。ご馳走を作ってあげるから」
斜メ前田慶次「お前は黙って瓦版読んでろタコ」
ドラえもん・零式「もう隅から隅まで読んだわ! 最後くらい喋らせろよ!」
斜メ前田慶次「もう会うことはないだろうが・・・」
???「・・・ああ」
斜メ前田慶次「達者でな。いや、マジで楽しい宴だった。久々に気が晴れた」
???「それはお互い様だ」
斜メ前田慶次「この次は、あの世で飲み明かそうではないか」
???「そうだな。果たして、いつになるやらわからぬがな」
斜メ前田慶次「道中、くれぐれも気をつけろ。あばよ」

 踵を返し、自室へ向かおうとする慶次。今なら制されることはないだろう。名を明かすなら今しかない。この空気、このタイミングを逃したらもうチャンスはない。最後の最後に、男は慶次を呼び止め自己紹介を始めようとした。ところが・・・

斜メ前田慶次「だから、俺は、お主の素性やら雇い主やら、聞き出す気は一切・・・」
???「いい加減言わせろよ! 結局最後まで俺の名前、???のままだったじゃねえか!」

 そもそも、慶次は男の名前に興味がなかった。

終わり
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Date: 2016.08.19
Category: 信on休止中
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