今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の弐拾四

斜メ前田慶次「ふざけんな・・・! 一体何を・・・何を混ぜやがった・・・!?」
茜「早漏仙です」


 今までに聞いたことのない薬であったが、その効果は何となく想像できる。慶次は焦った。焦りに焦った。


斜メ前田慶次「なっ・・・何だっ・・・その縁起の良くない名前の薬は・・・!」
茜「その名の通り、早漏になる薬です。それも一生。残念ながら治身仙や治癒では治せませんので悪しからず」

斜メ前田慶次「何てことを・・・! それで満足なのか・・・お前は・・・!」

茜「はい。大満足です」


 微笑みながら答える茜であったが、その眼の奥は笑っていなかった。


ドラえもん・零式「その男は粗チンだ・・・・!」


 このとき、深い眠りに落ちたはずのドラえもん・零式が突如口を開き、二人を驚かせた。


斜メ前田慶次「おい、やめろその言い方」

茜「驚きました。まさか目を覚ますとは」

ドラえもん・零式「粗チンに加え・・・早漏だなんて・・・男として終わってしまう・・・! ただでさえその男には誇れるものが何もないと言うのに・・・」

斜メ前田慶次「だからそういう言い方やめろってんだよ」

茜「仕方がないじゃないですか。今まで散々、私を苦しめてきたんですから」

ドラえもん・零式「お願いだよ・・・許して・・・許して・・・やっ・・・」


 それきり、ドラえもん・零式は喋らなくなった。再び意識を失ったのだ。


斜メ前田慶次「ドラ・・・大丈夫か!? 返事をしろ・・・ドラッ・・・!」

茜「ですから、ただ眠っているだけなので、心配はいりません」

斜メ前田慶次「何が心配いらねえだ! 呼吸が・・・止まってるじゃねえか!」

茜「そんなはずはありません。そんなに大量には混ぜていませんので」

斜メ前田慶次「実際に止まってんだよ! よく見てみろ! もしドラがこのまま死んじまったらどうすんだ! お前に責任が取れんのか!」

茜「・・・・・・」


 ハッタリに決まっている。このとき茜はそう思った。しかしよく観察してみると、確かにドラえもん・零式に呼吸をしている様子が見られない。茜はドラえもん・零式への距離をもう少しだけ縮めてみることにした。


斜メ前田慶次「・・・・・・」


 茜が自身の右横を通り過ぎ、背を向けたところで慶次は起死回生の賭けに出た。万が一の事態に備えて右の袖口に仕込んであった治身仙を、音を立てないよう細心の注意を払いながら右手の中に滑り込ませたのだ。治身仙では早漏仙の効果は消せないが、眠り薬と痺れ薬の効果なら消すことができる。そして幸いにも、まだ右腕は完全には麻痺していない。


茜「・・・ドラえもん・零式さん?」


 甘い。やはりお前はくのいちには向いていない。油断して敵に背を向けるなど、忍びとして失格だ。使わせてもらうぞ、この虎の子の治身仙を・・・! そして身体が自由になればこっちのものだ。とっ捕まえて、早漏仙について知っていることを洗いざらい吐かせてやる。慶次は勝利を確信した。


茜「まさか、本当に呼吸が・・・!?」


 茜は知らなかった。ドラえもん・零式は深い眠りに落ちる際、呼吸がしばらくの間止まることがあることを。待っていればそのうち呼吸を再開するため、健康上は問題ない。単にそういう体質なのだ。


茜「ドラえもん・零式さん、しっかりして下さい」


 茜がドラえもん・零式の容態を確認するため身体を屈めた際に、背後で倒れている慶次に対して尻を突きだすような格好となった。これが慶次の動揺を誘った。何と、いい形をした尻だろうか。慶次は茜の尻に見惚れ、治身仙を使用することを一瞬の間、忘れてしまった。そしてそれが命取りとなった。


茜「・・・ハッ!」


 背後の不審な気配に気付いた茜が、素早く髪からかんざしを引き抜き、慶次の右手目がけて投げ打ったのだ。かんざしは慶次の右掌を貫通し、勢いよく床に突き立った。


斜メ前田慶次「・・・ぐあっ!」


 苦痛に顔を歪める慶次。虎の子の治身仙は床の上を転がり、そして無情にも茜に拾われることとなった。


斜メ前田慶次「・・・く・・・そ・・・!」

茜「全く、油断も隙もありませんね。念のため・・・」


 容赦なく、慶次の左掌にも苦内を投げ打った茜の表情は、まさに熟練のくのいちそのものであった。


斜メ前田慶次「む・・・無念・・・・!」

茜「喜んで下さい」

斜メ前田慶次「何がだ・・・! このアマ・・・!」

茜「ドラえもん・零式さん、呼吸を再開しましたよ。イビキをかいています」


 これでもう、茜を騙すこともできなくなった。この時点で慶次は完全に茜に敗北した。


茜「今、私が着ている浴衣の柄って、桜ですよね」

斜メ前田慶次「それが・・・何だ・・・!」

茜「桜の花言葉って何だかご存知ですか?」

斜メ前田慶次「知るか・・・そんなもん・・・!」

茜「実は、私も知りません。そして・・・」


 言うなり帯を解き、浴衣を脱ぎ捨てる茜。しかし慶次の期待に反し、ムフフな展開とはならなかった。中に武闘着を着込んでいたのだ。


茜「動きづらくて、肩も凝るので好きじゃないんです、浴衣。ここに置いていきますね」

斜メ前田慶次「・・・!?」

茜「斜メ前田様の動揺を誘うために、わざと着てきたんです。そしてちょうどお酒が回り始めた頃を見計らってお邪魔させていただきました」

斜メ前田慶次「・・・全て・・・計算ずくだったってことか・・・!」

茜「はい」

斜メ前田慶次「・・・ところで・・・お前・・・」

茜「はい?」

斜メ前田慶次「・・・下から見ると・・・丸見えだな、その恰好・・・実にいい眺めだ・・・!」


続く


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Date: 2016.04.21
Category: 信on休止中
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