今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾九

斜メ前田慶次「まあ、試してみようじゃねえか。信長の野望オンライン・プレイヤーキャラクターのこの俺様がな」

 そう言うと慶次は、娘に全裸になるよう命じた。

きぬ「えっ・・・裸になるんですか?」

 娘の名前はきぬといった。きぬの問いに対し、慶次は再度全裸になるよう命ずることでその返答とした。

斜メ前田慶次「浴衣が邪魔だからな。腰巻きも取ってスッポンポンになれ」
きぬ「・・・・・・」

 羞恥心もあるが、虫に侵された身体を見られることに抵抗を感じたきぬは、慶次の命令に従おうとはせず、俯いて黙り込んでしまった。

斜メ前田慶次「ああ、まあ、気持ちはわかる。だが脱いでもらわないと困るんだよ」
ドラえもん・零式「このケダモノめ」

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ドラえもん・零式「何をするつもりか知らないけど、何も素っ裸にすることはないだろう。このスケベジジイが」

 いつの間にか慶次の背後に立っていたドラえもん・零式が、慶次の言動を痛烈に批判した。

斜メ前田慶次「お前は黙っていろ」
ドラえもん・零式「いいや、黙らない。ねえ君。こんな男の言うことなんか聞くことないよ」
斜メ前田慶次「助かりたいと思うなら、脱げ。一時の恥で命を粗末にするな」
きぬ「・・・・・・」
ドラえもん・零式「君は医者じゃないだろう! 余計なことをしないで、ここの医者に任せればいいんだよ!」
斜メ前田慶次「その医者が見放したから、俺がこうして世話を焼いてんだよ。見てみろ。この娘の身体を冒している虫を」
ドラえもん・零式「・・・虫、だって!?」
斜メ前田慶次「その娘が引っ掻いた傷から、何匹か顔を覗かせているぜ」
ドラえもん・零式「ちょっと見せてみたまえ」

 数秒後、ドラえもん・零式は腰を抜かしてその場にへたり込んでしまった。

ドラえもん・零式「こ、これは・・・紛れもなく芽殖孤虫! 信じられない・・・!」 
斜メ前田慶次「このままじゃ、いずれ確実に死んじまう。だから、俺が助けてやろうというんだ」
ドラえもん・零式「目黒寄生虫館で見たことはあったけど・・・実際に見たのは初めてだよ・・・」
斜メ前田慶次「ほれ、さっさと脱げ。さっきも言ったが、その浴衣が邪魔なんだ」
きぬ「・・・嫌です」
斜メ前田慶次「おばちゃんからも、何とか言ってやってくれ。脱いでもらわんと始められねえんだ」

 母親がきぬを説得しようとしたところで、医者が病室に現れ、慶次を怒鳴りつけた。

医者「先ほど、帰るように申したはず! このようなところで何をされておるのですか!」
斜メ前田慶次「黙れヤブ医者!」
医者「なっ・・・何ですと!?」
斜メ前田慶次「この娘が泣き喚いていたとき、何をしていた。何故この場に来なかった」
医者「そっ・・・それは・・・」
斜メ前田慶次「どうせ助からないから、行っても無駄だと思ったんだろう。違うか」
医者「しっ、素人が口を出すことではない! 帰って下され!」
斜メ前田慶次「一体、今までに何をしていた。どうして、こんなになるまで放っておいたんだ」
医者「・・・・・・」

 答えに窮し、黙り込んでしまった医者に対し、ドラえもん・零式が助け船を出した。

ドラえもん・零式「慶次君、このお医者さんを責めるのは酷というものだよ。何しろこの病気は、22世紀の医学ですらどうしようもないんだから」
斜メ前田慶次「見放したことを謝れ」
医者「・・・・・・」
ドラえもん・零式「慶次君、もういいだろ」
医者「・・・では、どうしろと言うのですか! どうすれば、この患者は助かるのですか!」
斜メ前田慶次「今から俺のすることを黙って見ていればいい。そうすりゃこの娘は助かる。いや、助かり得る」
医者「素人に何ができる!」
斜メ前田慶次「じゃあ、アンタは今までどんな治療をしてきたんだ。言ってみろ」
医者「虫下しの投薬と・・・膿が溜まった個所の切開を・・・」
斜メ前田慶次「あーあー。はいはい。話にならねえな」
医者「何ですと!」
ドラえもん・零式「慶次君、失礼だろ。戦国の世じゃそれが限界だよ」
斜メ前田慶次「いいや、戦国の世はまだ限界を迎えてねえ」


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医者「そっ・・・それは・・・!」

 慶次が懐から取り出した治身丹に、医者は目を見張った。

斜メ前田慶次「その昔、俺は治身を連打し、生身のまま宇宙空間に到達したことがある。ドラ、覚えているだろう」
ドラえもん・零式「あのときは正直すまんかった」
斜メ前田慶次「俺が山中で野盗に内臓を斬られたときのことも覚えているだろう。あのときも治身を連打したよな」
ドラえもん・零式「飛び出た内蔵が傷口の中に引っ込んでいってたね・・・」
医者「そっ・・・そのような馬鹿なことが起こり得るはずがない! 騙されませんぞ!」
斜メ前田慶次「この娘が命を拾うには、これしかないってことだ」
きぬ「・・・でも・・・そんな高価なもの・・・」

 戦国の世の一貫は、平成の世でいえばおよそ十万円に相当するらしい。つまり治身丹を一回使用するたびに九十六万円が吹っ飛ぶ計算になる。この貧しい母娘に、一体どうやって金を工面しろというのだろうか。

斜メ前田慶次「金のことは、今は気にしないでいい。さあ、早く浴衣を脱ぐんだ」
ドラえもん・零式「娘さん、騙されちゃいけない。きっと、法外な利子を付けて貸し付けてくるよ」
斜メ前田慶次「ドラ、お前はもう黙れ」
ドラえもん・零式「いいや、黙らないね。それに治身丹をその子みたいな一般市民が使って大丈夫なのかい? 身体、もつのかい?」

 当ブログでは低レベルNPC、その他モブを「一般市民」と表現している。一般市民は慶次のようなプレイヤーキャラクターに比べれば、当然弱い。治身丹は一般市民にとっては劇薬なのではないかということを、ドラえもん・零式は言いたいのだが・・・

斜メ前田慶次「だが今はこいつに賭けるしかない」
ドラえもん・零式「賭ける、だって!? 必ず助かるわけじゃないのかい?」
斜メ前田慶次「この娘の気力と体力次第だ」
ドラえもん・零式「そんなんだったら、やるべきじゃない! 他に何か方策を考えるべきだ!」
斜メ前田慶次「考えたところで、この病気はどうにもならん。いずれ全身が虫まみれになって死ぬ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「きぬ、といったか・・・どうだ、きぬ。やってみるか?」
きぬ「・・・わかりました。やります。でも、どうしても脱がなければならないのですか?」
斜メ前田慶次「やってみりゃあわかるよ。ほれ、早く」
きぬ「わかりました・・・」

 きぬの全身には、すでに無数のイボ状の結節が現れていた。これを掻き破ると膿とともに虫が出てくる。想像するだけで身体がムズムズしてきてしまう。

斜メ前田慶次「今まで辛かっただろう・・・よく頑張ったな」
きぬ「あまりジロジロ見ないでもらえると・・・」
斜メ前田慶次「治身丹の使い方を指南する必要があるんだよ。決してエロい目で見てるわけじゃねえから安心しろ」
きぬ「・・・・・・」
斜メ前田慶次「とはいっても、そんなに難しいことはない。まずはこれを手に持て」
きぬ「はい」
斜メ前田慶次「その後、気合を込めて、”はああああ~~!!”って叫べ。それだけだ」
きぬ「意味がわからないんですけど。これ、薬ですよね?」
斜メ前田慶次「治身ってのは、そういうもんなんだよ! ウダウダ言わずにやれ!」
きぬ「・・・・・・」
斜メ前田慶次「一個使うたびに、俺がまた一個渡す。それを繰り返せ。わかったな」
きぬ「わかりました・・・」
斜メ前田慶次「それとお前ら三人は、病室から出たほうがいい・・・飛び散るからな。ほれ、出た出た」

 きぬに浴衣を脱ぐことを強要し、三人を病室の外に出した慶次の判断は正解であったと言えた。というのも、

きぬ「・・・嫌アァァァァーーーーーーーーーーッ!」

 きぬが治身丹を使用するたびに、数匹から数十匹単位で虫が皮膚を突き破って勢いよく飛び出してくるのだ。その後、虫は壁に叩きつけられて絶命するか、慶次に踏み潰されることになる。

斜メ前田慶次「・・・嫌、じゃねえ! はああああ~、だ! 気を確かに持て! 発狂するかショック死しちまうぞ!」
きぬ「・・・はああああ~!」
斜メ前田慶次「よし、その調子だ! 虫が一匹もいなくなるまで続けるぞ!」

 虫が飛び出しては、傷口が即座に塞がるその光景は、医者と母親の想像を遥かに絶していた。慶次の施術が始まってから二人は間もなく気絶し、ドラえもん・零式がその看護をする羽目になってしまった。 

きぬ「・・・はああああ~!」
斜メ前田慶次「まだまだ! 身体の中には一匹も残せんぞ! 一匹でも残ったらまた増えやがるからな!」
きぬ「はい!」
ドラえもん・零式「・・・22世紀の医学が、ただ一つだけ戦国の世に勝てないものがある・・・」
斜メ前田慶次「だんだん、身体がきれいになってきたな。もう少しだ、頑張れ!」
きぬ「・・・はああああ~!」
ドラえもん・零式「それがこの・・・この治身シリーズ・・・! 持ち帰りたい・・・! ぜひ22世紀に持ち帰って・・・難病に苦しむ人たちを救ってみたい・・・叶わぬ夢なんだろうか・・・」

 きぬが治身連打を始めてから、十分ほどが経過した頃のことであった。

きぬ「・・・あれ? 何も起こりません・・・」
斜メ前田慶次「身体の中に、虫が一匹もいなくなったってことだ。良かったな。お前は助かったんだ」
きぬ「本当ですか!? 私は本当に治ったのですか?」
斜メ前田慶次「そうだ。お前は治った。治ったんだけどよ・・・」
きぬ「はい?」
斜メ前田慶次「すまねえ・・・全部見えてる。てか見ちまった。申し訳ない」

 きぬは浴衣を脱いで全裸になっている。慶次が何を見たかは、言わずともおわかりになるだろう。きぬにも当然そのことはわかった。そして、

斜メ前田慶次「・・・ぶえっ!!」

 きぬの渾身のビンタを左頬に受けた慶次もまた気絶し、数日間の加療を余儀なくされたという。きぬが予想のほか怪力だったことも原因の一つだが、きぬの裸に気を取られ、防御力が下がってしまっていた。いくさ人慶次が、一流プレイヤーになりきれない理由はそのへんにあると言えるだろう。
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Date: 2016.03.07
Category: 信on休止中
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