今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾七

斜メ前田慶次「残飯なんか・・・食ってんじゃねえよ・・・馬鹿野郎・・・!」
ドラえもん・零式「・・・慶次君!」

 その後は言葉にならなかった。溢れ出る涙を堪えきれなくなったドラえもん・零式は、茜の目も気にせず地面にうずくまり、慟哭した。

斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「ごめん・・・ごめんよ慶次君・・・僕が全て間違っていた・・・!」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「迷惑をかけて、本当にごめんよ・・・ごめん・・・」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「もう二度と迷惑をかけないから・・・小遣いなんかいらないから・・・どうか・・・どうか僕をもう一度・・・」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「もう一度、この家に・・・!」

 これで筋は通した。もちろん、ドラえもん・零式にも言い分はあるのだろうが、ここで見苦しく喚かないところにその成長の一端を垣間見ることができた。そしてそんなドラえもん・零式を労うかのように、

茜「・・・・・・」

 茜は無言で、その震える背中をさすり続けた。再び、三人の間にしばしの沈黙が流れた。

斜メ前田慶次「・・・全く、しょうのねえ野郎だ」

 依然として背を向けたままの慶次が、業を煮やしたかのように口を開いた。生来、陰気が嫌いな性格の慶次である。沈黙に耐えられなくなったという理由もあったのだろう。

斜メ前田慶次「うだうだうるせえんだよ、さっきから。余計な言葉が多すぎるんだ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「テメエの家に帰ってきたんだろうが。だったらただ一言でいい。ただ一言」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「ただいま、って言やぁいいんだよ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「じゃなきゃ、出迎えてやれねえだろうが。馬鹿野郎が・・・」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「もういい。部屋に戻って休め。話は明日だ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「ほれ、さっさと行け」

 ドラえもん・零式は無言でうなずくと、足早にその場を後にした。

斜メ前田慶次「・・・ご苦労だった」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「あの馬鹿が生きて帰ってこれたのは、お主のおかげだ。感謝している」
茜「もったいなきお言葉でございます」
斜メ前田慶次「今からでは宿を探すのも難しかろう。今宵は泊まっていけ」
茜「いえ、私は忍びです。野宿でも大丈夫です。どうかご心配なく」
斜メ前田慶次「遠慮はいらん。泊まっていけ。実はお前の好きな巻き寿司も用意してある。俺の手製だ」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「お前、ぶっとくて長いのが好きだったよな。今、持ってくるから上がって待ってろ」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「ほれ、さっさと上がれ。酒もとびきり上等なものを持ってくるからよ。ほれ」
茜「いえ、本当に結構です」
斜メ前田慶次「礼くらいさせてくれよ。それに、大事な話もある」
茜「・・・斜メ前田様」
斜メ前田慶次「何だ」
茜「私は所詮、卑しい忍びです。私のような者に、家老のあなた様がそのようなお言葉を掛けてはなりませぬ」
斜メ前田慶次「馬鹿野郎。身分の差なんざ関係ねえ。俺はただ」
茜「失礼いたします」
斜メ前田慶次「・・・ちょっ、待てよぉ」

 くるりと背を向け、門へ向かって歩き出す茜を、キムタクのモノマネをしながら慶次が追った。

斜メ前田慶次「待てって」
茜「・・・ゲエーッ!」

 高レベルのプレイヤーキャラクターは、時速70キロほどで走ることができる。このことについては過去に当ブログで何度か触れたことがあるが、それならば当然、小走りでも常識を超えた速度となるはずである。瞬く間に正面に回り込まれた茜は、慌てて屋敷側に取って返すこととなった。

茜「・・・斜メ前田様! いけませぬ!」
斜メ前田慶次「だから、待てって! 俺は・・・! 俺は本当に・・・!」

 それほど広くない庭である。走ったところですぐに壁につきあたる。やむなく屋根に飛び移ろうとした茜を、追い付いた慶次が壁にドンと押し付ける形となった。いわゆる一つの”壁ドン”である。

斜メ前田慶次「俺は本当に・・・お前のことを・・・!」

 二人の間に交わされた言葉は、これが最後になった。慶次に壁ドンされた家屋がその衝撃に耐えきれず、倒壊し始めたのだ。

斜メ前田慶次「やっべ。家が・・・!」

 「壁ドンで家屋倒壊!?」とお考えになった方もおられるだろうが、例えば戦国の世に生きる人間のそれと、平成の世に生きる人間のそれを一緒にしてはならない。考えてもみてもらいたい。

 自分の身体より遥かに巨大な化け物を刀でガシガシ斬り刻んだり、空を飛んでエネルギー弾を放ったりするような人間がゴロゴロいる時代なのだ。そういった男たちが壁ドンをしたら一体どうなるか。

茜「・・・ちょっ! どいて! どいて下さい! ・・・あっ」

 慶次の無駄にでかい図体が邪魔して逃げ損なった茜と、自室で休養していたドラえもん・零式は倒壊した家屋の下敷きとなり、それぞれ全治一ヶ月の重傷を負った。そして何とか一命は取り留めたものの、しばらくの間、忍びの仕事を休まなければならなくなった茜は、それきり慶次の家を訪れることはしないと心に誓ったという。
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Date: 2016.02.24
Category: 信on休止中
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この記事へのコメント:

鏡花の核弾頭

Date2016.02.25 (木) 06:10:47

壁ドン落ちwwwww

斜メ前田慶次

Date2016.02.25 (木) 18:22:57

信オンにおける高レベルプレイヤーキャラクターは、
日常生活を送る上でも常に細心の注意を払わなければ、
一般市民に多大な迷惑を掛けてしまうのです。
例えばくしゃみをするだけでも衝撃波が生じ、
一般市民を派手にぶっ飛ばしてしまいます。

慶次は、そのへんの注意力がイマイチであり、
いくさ人としてはまだまだ未熟と言えるでしょう。

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