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個人上覧武術大会に参加できませんでしたの巻

 ・・・先週一週間にわたり、上覧武術大会・個人の部が開催され激闘が繰り広げられたと耳にした。

 ちなみに、今回の上覧武術大会に慶次は参加していない。参加できなかったのである。上覧武術大会への参加登録期限がぎりぎりにまで迫ったあの日・・・・甲府南町奉行所において、武田家与力・的場兵四郎と妻・お初の離婚調停が今まさに決着を迎えんとしていた。

「的場兵四郎と初の離縁を認める」

 奉行所の判決に逆らうことはできない。お初はその日のうちに荷物をまとめて故郷の信州上田へ帰ることとなった。ただ的場家の隣人にとっては意外な結果だったようで、

「仲睦まじい夫婦だったのにねえ・・・」

 と、後に的場の縁者にこぼしたとかこぼさなかったとか。しかしそもそも、仲睦まじいならば離婚調停になど発展しないものである。夫婦のどちらかに原因があるからこそこのようなことになるわけだが、このたびの原因は間違いなく妻・お初の側にあった。というのもこのお初、異常な性癖があったのである。

「股間を蹴り上げた後の、苦悶に歪む殿方の顔を見ると興奮するのです」

 お初は調停のさなか、泣きながら奉行に向かってこう言い放った。そう、お初は男の股間を蹴り上げることがたまらなく好きなのである。そのことで今までの人生においても様々な波乱を巻き起こしてきた。実は結婚は初めてではなく、前夫・金田仁左衛門に対しても新婚生活中に幾度となく金的を繰り返し、離縁された過去も持っている。

 的場はよく耐えた。お初のそういった性癖をも包み込むと決意しお初を娶ったのである。しかし現実はそう甘くはなかった。男性諸氏ならよく理解できると思うが、金的はたまらなく痛い。額から脂汗が滲み出てくるほど痛いのである。お初から金的を喰らうたびに引きつった笑顔を見せていた的場であったが、半年ほどでとうとう疲れ果ててしまったのであった。

お初「短い間でしたが、お世話になりました。幸せでした」

 深々と頭を下げ、的場の屋敷を後にしたお初であったが、一町(約100メートル)ほど歩いたところで堪えきれなくなったのだろう。その両頬に涙が伝っていた。そしてもう二度と。もう二度と殿方の股間を蹴り上げたりしない・・・・嗚咽しながら自身の胸に誓ったところで、ある男の背中が曇った眼の中に飛び込んできた。

斜メ前田慶次「・・・・・・」

 男は背後のお初の存在に気が付いていないらしく、無防備にゆったりと歩を進めていた。

お初「このお方は確か・・・」

 面識こそないが、この男が無謀にも前田慶次を討ち取ることを目標に日々合戦場をうろついている斜メ前田慶次であることをお初は知っていた。そしてこの男がかなりの粗チンであることも。自分にとっては縁のない男であり、関わる必要性は全くない存在である。泣いていることを覚られると絡んでくる可能性があるため、お初は急いで涙を拭い男の脇を通り抜けることに決めた。

 表面上は平静を装い、男に一歩近づいたところでお初の心の中にとある疑問が生じた。それまでは絶対に絡まれないよう、関わり合いにならないよう無難に通り抜けるつもりでいたのだが、先ほど涙が込み上げてきたときと同様にふと生じ、どうにも抑えきれなくなったのである。では一体それは何かというと、

「・・・このまま何もせず放っておくことが、果たして斜メ前田さまのためになるのかしら?」

 ということである。確かに面識はない。面識はないが、目標に向かって一途に突っ走る男は決して嫌いではない。むしろ好感が持てる。できることなら悲願を遂げてもらいたいと思うのだが、残念ながら背後の自分の存在に対し全く無防備なようでは、いくさ人としては失格である。こんなことでは合戦場においてもあっさりと背後から敵に斬られて死ぬことだろう。

 本来ならば、この男は自分が一歩近付いたら、ぱっと振りかえり身構えるくらいでなければならない。しかしこの男はこの期に及んでもなお無防備に歩き続けているあり様だ。こんなことではいけない。こんなことではいつまで経っても前田慶次を討ち果たすことなどできないであろう。どうしても今ここで、男の意識を一変させる必要がある。

 繰り返すが、お初と慶次の間に面識はない。お初にとっては全く無関係の人間である。しかしこのとき既にお初の心は決していた。「そうよお初。蹴っていいのよ」と。いやむしろ、蹴らなければならない。それがこのお方のためだもの。決して私が蹴りたくて蹴るのではない・・・・お初は気配を消し、男のすぐ背後まで近付いたところで、全身全霊の力を込めて慶次の股間を蹴り上げた。

斜メ前田慶次「・・・だふぁうっ!!」

 背中を反り返しながら、男が情けない悲鳴を上げると同時にお初は駆け出した。蹴り上げた足の甲に、何か柔らかいものが潰れたような感触が残っていたが、今はそんな余韻に浸っている場合ではない。もし捕まったら斬られてしまう可能性があるからである。お初は駆けた。駆けに駆けた。実家のある、信州上田に向かって。


2014111301.png

斜メ前田慶次「お・・・おう・・・! ぐおおおおう・・・・・・・・・う~~ん・・・!」

 信州上田の実家に帰ったお初は後に両親に向かってこう供述したという。「誰でもよかった。今は反省している」と。そして両親の前で「二度と殿方の股間を蹴り上げることはしません」と誓ったとのことだが、父親のほうは正直怯えを隠せなかったという。その後お初は再び夫を迎えることはなく、

2014111302.png


 自叙伝『蹴りたい股間』を出版したところ、これが大ヒット。カリスマ的女流作家として戦国の世での生を終えたという。さて、突如股間を蹴り上げられた慶次はどうなったかというと、

斜メ前田慶次「・・・ぐううっ・・・! お・・・おの・・・れっ・・・!」

 遠ざかっていくお初の背中を必死に目で追う慶次であったが、下腹部の激痛を如何ともしがたく、数分後にどうにか立ち上がったところで転倒し後頭部を強打。白目を剥いてその場に気絶する羽目になったという。しかしそれにしても、街を歩いていて突如股間を蹴り上げられるというのは、一体どんな気分なのだろう。私には想像もつかない。ああっ! 一体っ! どんな気分なんだっ!!

斜メ前田慶次「・・・・・・」

 辺りが暗くなるまで気を失い続け、その後どうにか妙院郷まで辿り着いた慶次であったが、残念ながら上覧武術大会の参加登録受付はすでに終わっており、失意のうちに帰宅することとなった。落胆の色を隠せず、とぼとぼと家路に向かって歩き続ける彼を前に、私としてはどうしても訊ねずにはいられない。

ブログ主「慶次よ・・・斜メ前田慶次よ・・・」
斜メ前田慶次「何だよ。放っておいてくれよ」
ブログ主「今、どんな気分だ? なあ、一体どんな気分なんだ!?」
斜メ前田慶次「やっぱり、お前の仕業か! お前、マジふざけんな! おまっ!」
ブログ主「頼む、教えてくれ。このままでは気になって夜も眠れん。頼む、蹴り上げられたとき、どんな気分だったんだ!? なあ、一体どんな・・・」
斜メ前田慶次「・・・こういうのは、ドラの役目だろ! 俺はする側! いいか、もう二度とやんじゃねえぞ! おい、聞いてんのか!」

 ・・・上覧武術大会、次こそは参加したいと思います。それでは今日はこのへんで。 ノシ
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Date: 2014.11.13
Category: 信on
Comments (2)Trackbacks (0)

この記事へのコメント:

鏡花の核弾頭

Date2014.11.16 (日) 11:24:23

蹴りたい股間ってwwww
どうやって判別するんですか!モノ見てもいないのに判別可能なんですか?おもしろすぎますwww



ん?待てよ…

ちょっと考えてみて下さいよ。いくら不意を突かれたとはいえ、戦国の屈強なもののふである慶次さんが、かよわい女性に金的をされたくらいで長時間悶絶してしまうんでしょうか?
レベル70ともなれば、巨大な魔物に噛みつかれたり、マシンガンで撃ち抜かれても死なない訳ですからね。




普通に痛いでしょうね、そりゃw
簡単に想像つきましたわ(о´∀`о)アッサリ



そんな案外普通な慶次さんの股間に好感が持てましたわ(о´∀`о)ホッコリ

斜メ前田慶次

Date2014.11.20 (木) 18:12:12

こんばんは、斜メ前田慶次の中の人です。
返信が遅れてしまい、すみません(゚Д゚;)

お初の自叙伝『蹴りたい股間』については、
私も読んでいないので内容はわかりません(笑)
でも大ヒットしたとのことなので、たぶん面白いのだと思います。たぶん。

慶次はこの日、おそらく気を抜きまくっていたのでしょう。
オーラを放って身を守ることすら怠っていました。
そこへ金的の手練れであるお初の急襲があった、と。
急所だったので、やはりきつかったのだと思われます。

ちなみに金田仁左衛門、的場兵四郎、お初については、
適当に考えた名前です。
実在するプレイヤーさんと当ブログとは何の関係もありません。
とはいえ、たぶんいないと思いますが(笑)

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