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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の弐拾壱

 茜がついに退院を迎えたのは、この日の巳の刻(午前十時頃)のことであった。

斜メ前田慶次「おい、ちょっと待てって」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「おい!」
茜「・・・・・・」

 茜はついに慶次と口を聞くことはなかった。慶次と目線を合わすことなく足早に病院の玄関を出ると、そのまま北の方角へ歩き去って行ったのであった。

斜メ前田慶次「あの態度はないだろう」
ドラえもん・零式「何を言っているんだい。全て君のせいじゃないか」

 ドラえもん・零式は茜より一足先に退院していた。慶次と共に茜の見送りに来ていたのだ。

斜メ前田慶次「せめて挨拶ぐらいさせろってんだよ」
ドラえもん・零式「茜ちゃんは、君がおきぬちゃんの家に通い詰めていたことを知っていたようだったよ」

 致死率100パーセントの芽殖孤虫症を治身連打で完治させ、無事退院したきぬであったが、長い闘病生活の中でどうやら心も病んでしまっていたようで、これも何かの縁と、慶次はきぬの家に足しげく通い、様々な相談に乗ってやっていた。

きぬ「いいなずけも、友達も、みな私の姿を見て去って行きました。気持ち悪い、うつると言って・・・」
斜メ前田慶次「もう治ったんだ。そのうち戻ってくるだろうよ。心配するな」
きぬ「人の目が怖くて外を歩けないのです。みな、私のことを汚物を見るような目で見ます」
斜メ前田慶次「俺が一緒に歩いてやるから安心しろ」
きぬ「でも・・・」
斜メ前田慶次「いいから、俺についてこい」

 いくら治身丹でも、心の傷までは癒せない。慶次はたびたび、きぬを外に連れ出しては共に散歩をしたり、食事や買い物に付き合うなどしていた。次第に明るさを取り戻していったきぬの元に、去って行った友人が一人二人と戻ってきたのは、退院から二週間が経過した頃のことであった。

斜メ前田慶次「だったら何だってんだよ。あいつとは関係ねえことだろうが」
ドラえもん・零式「あの日を最後に、茜ちゃんのお見舞いに一回も行かなかったろう」
斜メ前田慶次「あいつが来るなって言うから、行かなかったんだ。何か悪いのかよ」
ドラえもん・零式「来るなって言われても、行くもんなんだよ。それが礼儀ってもんじゃないのかい?」
斜メ前田慶次「心底、迷惑そうだったぞ」
ドラえもん・零式「それでも行って、謝るんだよ。許してもらえるまで、何度でも行くんだよ」
斜メ前田慶次「ああもう、わからん。わからん。この話はもうなしだ。行くぞ」
ドラえもん・零式「君はやっぱり常識がないね。そんなんで、よく今までやってこれたもんだ」
斜メ前田慶次「傾奇者の俺に常識を期待するのが、どだい無理ってもんなんだよ」

 二人は家に戻ると、茜の退院祝いと称して昼から酒を飲んだ。もっとも茜本人はこの場にいないのだが、二人にとっては酒を飲める理由があれば、何だって良いのであった。

ドラえもん・零式「君はおきぬちゃんと、一体どうなりたいんだい?」
斜メ前田慶次「どうなりたいって、お前。そんなもん、なるようになるしかねえだろうが」
ドラえもん・零式「狙ってるな、君。いいなずけの人も戻ってくる気配がないっていうし」
斜メ前田慶次「女が病気になったら逃げちまうような野郎なんざ、戻ってきたらぶっ飛ばしてやるよ」
ドラえもん・零式「おおっ・・・どうやら君にもようやく春がやってきそうだね。こりゃめでたい。飲もう、飲もう」

 二人はさらにこの後一刻(約二時間)ほど酒を飲み続けた。

ドラえもん・零式「うっ・・・! ううっ・・・! 僕は・・・僕は信濃で地獄を見た・・・見たんだよ・・・!」

 飲み過ぎた影響か、ドラえもん・零式はすっかり泣き上戸になっていた。

斜メ前田慶次「また信濃の話かよ・・・もう何回目だよ」
ドラえもん・零式「僕はあれ以来・・・怖くて・・・はん・・・半袖が着れないんだよ・・・うっ・・・ううっ・・・!」
斜メ前田慶次「わかった、わかった。うっとうしいからもう泣くな。飲め」
ドラえもん・零式「それに僕は・・・正当防衛とはいえ・・・たくさんの人間をこの手で殺めてしまった・・・僕の手は血で汚れているんだ・・・」
斜メ前田慶次「だから、前にも言っただろう。お前が殺した野盗どもは、女子供の命すら平気で奪う輩なんだ。殺したことはむしろ手柄だったんだって」

 ドラえもん・零式がアサルトライフルで射殺した三十余名の野盗は、商家に集団で押し入り、一人残らず皆殺しにしては金品を奪うことを繰り返していた。老人、女、子供ですら容赦なく殺す理由としては、面が割れることを防ぐためと、通報を遅らせるためであるが、まさに卑劣極まりない、残忍な集団といえた。

斜メ前田慶次「警邏中のと屯所兵にも襲いかかって惨殺するような奴らだ。俺たちも手を焼いていたが・・・お前のおかげで、今後は犠牲者が出ることはない。胸を張っていいことなんだ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「どうしてお前と茜にちょっかいを出したのかはわからんが・・・まあ、天罰が下ったってことだ。ほれ、飲め、飲め」

 慶次がドラえもん・零式の杯に酒を注ごうとしたとき・・・聞き覚えのある声が玄関の方から響いてきた。

茜「ごめん下さい」

続く
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Date: 2016.03.23
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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の弐拾

 時は、ドラえもん・零式が春日山の茜宅で療養していた頃に遡る。この日、覚醒マックスに近い状態のとある女性プレイヤーが、自室にて寝そべりながら、今まさに放屁せんとしていた。

 彼女は一人暮らしであるため、誰に遠慮する必要もない。誰の目も気にする必要はない。しかしそんな彼女にとって不運だったのは、ちょうどそのタイミングで門前を通りかかった三人の男がいたことであろう。

曲江兼続「それにしても、よくドラえもん・零式どのを無罪にすることができましたね」
斜メ前田慶次「さっき、春日山に使いを走らせたところだ。今日はとことん飲むぞ」
曲江兼続「一体、どのような手を使ったのですか? この国の法では間違いなく死罪であるはずなのに」
斜メ前田慶次「決まっているだろう。家老権力を使ったんだよ」
曲江兼続「権力で、無理やりに無罪にしたというのですか!? まるっきり悪人ではないですか!」
斜メ前田慶次「青臭いことを申すな。世の中には大人の事情というものがあるのだ」
曲江兼続「小岡どのは、さぞかし無念でありましょうな」
斜メ前田慶次「奴は、所詮は奉行だ。お上の意向には逆らえん。何かのドラマで誰かが言ってたが・・・」
曲江兼続「・・・・・・」
斜メ前田慶次「正しいことをしたければ、偉くなれってことだ」
曲江兼続「その台詞を、よりによって慶次どのが申されますか・・・」
斜メ前田慶次「ああもう、嫌味ばかり申すな。俺だって大変だったんだぞ。色々と根回しも必要だったしな」

 慶次が甲府を離れられない事情はそこにあった。ドラえもん・零式を無罪にするために、下は奉行所の木っ端役人から、上は信玄公に至るまで日々東奔西走、多忙な日々を送っていたのである。無論、金も湯水のように使った。そこまでしてでも、慶次はドラえもん・零式を助けたかったのである。

 この慶次の暗躍については小岡越前も当然察知していたが、一奉行の身ではどうにもならなかった。上からの圧力、組織内の孤立化、身元不明の者からの脅迫など様々な問題に抗いきることができず、とうとう無罪の言い渡しをすることになったのは前日のことであった。

小岡越前「・・・おのれ! このままでは済まさぬぞ、斜メ前田!」

 一時は出奔することも考えたが、家族の説得や同僚の慰留もあり、辛うじて武田家に踏みとどまった。その後、小岡はまず中老昇進を目指し、合戦場を駆け巡ることとなる。

斜メ前田慶次「ん? あれは・・・」
曲江兼続「いかがなされましたか」
斜メ前田慶次「見よ。あちらからもう一人、青臭いのがやってくるぞ」

 その男のレベルは1であった。青臭いどころの話ではない。レベル70の慶次やレベル65家臣の兼続に比べれば、まさに象と蟻ほどの力量差があると言っても決して過言ではない。

眞栄田慶次「おう、ちょっと道を尋ねてえんだけどよ」

 男は眞栄田慶次と名乗った。出身は琉球であるとのことだが、詳細は定かではない。

曲江兼続「慶次どのと少し似ていますね」
斜メ前田慶次「キャラ被ってるから絡みづれえわー」
眞栄田慶次「前田慶次って野郎の家はどこか教えてくれ」
斜メ前田慶次「前田慶次の家だぁ!? 前田は甲府にゃいねえよ」
眞栄田慶次「何だって!? 確かに甲府だって聞いたぞ!」
曲江兼続「甲府にいるのは、斜メ前田慶次どのです。お聞き間違えではないですか?」
眞栄田慶次「何だよ、そういうことか! 俺ぁ、駄目なほうの慶次を探してたってことか。畜生、時間を無駄にしちまった!」
斜メ前田慶次「兼続どの、こいつ殴ってもいいか?」
曲江兼続「いけませぬ。慶次どのが眞栄田どのを殴れば死んでしまいます」
斜メ前田慶次「駄目なほうとか抜かしやがったがよ・・・こいつは俺よりさらに駄目な慶次じゃねえか・・・」

 眞栄田は前田慶次を倒すべく、はるばる本土に渡ってきたという。その理由は、

眞栄田慶次「俺ぁ、地元じゃ敵なしなんだ。だが、名の売れている前田慶次のせいでどうしても過小評価されちまう。しょぼいほうの慶次だって言われちまうんだよ」

 だからぶっ倒す、とのことだが、眞栄田が前田慶次を倒す日は果たしてやってくるのだろうか。いや、おそらくやってこないだろう。何故なら私は眞栄田慶次を育てるつもりはないし、眞栄田慶次を主人公にしたブログを立ち上げるつもりもないからである。

斜メ前田慶次「眞栄田よ。お主じゃ無理だ。帰れ帰れ」
眞栄田慶次「何を言いやがる! やってみねえとわからねえだろうが!」
斜メ前田慶次「やるまでもない。今のお主の力量では前田に取り付くことすらできぬ。出直してこい」
眞栄田慶次「嫌なこった。こうなりゃ意地でも前田のところに案内してもらうぞ」
斜メ前田慶次「だから、甲府にゃいねえって言ってんだろ。頭悪いな」
眞栄田慶次「何だとこの野郎!」
斜メ前田慶次「それに、お主がいつまでもここにいるのは危険だ。そういった意味でも帰れって言ってんだ」
眞栄田慶次「どういうことだ!?」
斜メ前田慶次「わからないのか。この辺り一帯を包む莫大なオーラが」
眞栄田慶次「何だその、おーら、ってのは!?」
斜メ前田慶次「やはり話にならぬな。命が惜しければさっさと尻尾を巻いて逃げることだ」
眞栄田慶次「ただの路地じゃねえか。何でいるだけで危険なんだよ」
曲江兼続「し、しまった・・・! ここは、高レベルプレイヤーキャラクターが多く居住する地域! 眞栄田どの、お早く!」
眞栄田慶次「だから、意味がわからねえって・・・」

 眞栄田がこの場所で言葉を発したのは、これが最後となった。突如起こった「ブバンッ!」という爆発音により、眞栄田の鼓膜が破壊されてしまったのである。眞栄田はまもなく白目を剥き卒倒することとなった。

曲江兼続「くっ・・・! 耳が・・・キーンと・・・!」
斜メ前田慶次「兼続どの、大丈夫か」
曲江兼続「慶次どの・・・今の爆発音は一体・・・!?」
斜メ前田慶次「何だと思う?」
曲江兼続「敵方の・・・攻撃でしょうか・・・? いや、わかりませぬ・・・」
斜メ前田慶次「違うな」
曲江兼続「では、一体!?」
斜メ前田慶次「屁だよ」
曲江兼続「屁、ですと!?」
斜メ前田慶次「たった今、この家の女キャラがぶっ放しやがった」

 「屁で鼓膜が破裂!?」とお考えになった方もおられるだろうが、例えば戦国の世に生きる人間のそれと、平成の世に生きる人間のそれを一緒にしてはならない。考えてもみてもらいたい。

 自分の身体より遥かに巨大な化け物を刀でガシガシ斬り刻んだり、空を飛んでエネルギー弾を放ったりするような人間がゴロゴロいる時代なのだ。ましてや覚醒マックスともなれば、もはや人智を超えた存在と言える。そんな女が豪快に屁をぶっ放したら一体どうなるか。

斜メ前田慶次「その男を連れて、早くこの路地から抜けろ。また硫化水素中毒を起こすぞ」
曲江兼続「今日は・・・まだ・・・耐えられますね・・・でも頭痛がしてきました・・・」
斜メ前田慶次「すかしっ屁に比べりゃまだマシだが・・・だんだん臭いがきつくなってきた。ほれ、早く行け」
曲江兼続「慶次どのは、どうなされるのですか!?」
斜メ前田慶次「俺は・・・うっぷ。この家の家主に一言物申してから行く。急げ。まだ余震・・・じゃねえ、余発があるやもしれぬ」
曲江兼続「わかりました・・・どうかご無事で・・・!」

 兼続が眞栄田を背負い、路地を駆け抜けて行く姿を確認した慶次は、息を止めながら女性プレイヤー宅の玄関まで足早に移動した。途中、「ブッ、バッ、バッ、バッ」と数発の余発があったが、もはや気に留めている場合ではない。引き戸を勢いよく開け放つや、叫んだ。 

斜メ前田慶次「・・・屁ェぶっこいてんじゃねーよ!!」

 以前にも書いたことがあるが、誰にもバレていないはずの屁が実はしっかりバレていて、その挙げ句に怒鳴られるというのは、一体どんな気分なのだろう。ましてや、自らが若い女であるとするならば。ああ! 一体! どんな気分がするものなんだ!? 残念ながら私には想像もつかない。その後慶次は「昨日、何食いやがった! ニオイやばすぎだろ!」と続けて叫ぶと乱暴に引き戸を閉じ、いずこかへと駆け去ったのであった。

「・・・・・・」

 その後音を立てず、無言で玄関の様子を見に来た女性プレイヤーの表情は、恥と後悔と憤りの入り混じったような複雑なものだったというが、このとき彼女が何を考えていたかまでは、やはりわからない。
Date: 2016.03.15
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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾九

斜メ前田慶次「まあ、試してみようじゃねえか。信長の野望オンライン・プレイヤーキャラクターのこの俺様がな」

 そう言うと慶次は、娘に全裸になるよう命じた。

きぬ「えっ・・・裸になるんですか?」

 娘の名前はきぬといった。きぬの問いに対し、慶次は再度全裸になるよう命ずることでその返答とした。

斜メ前田慶次「浴衣が邪魔だからな。腰巻きも取ってスッポンポンになれ」
きぬ「・・・・・・」

 羞恥心もあるが、虫に侵された身体を見られることに抵抗を感じたきぬは、慶次の命令に従おうとはせず、俯いて黙り込んでしまった。

斜メ前田慶次「ああ、まあ、気持ちはわかる。だが脱いでもらわないと困るんだよ」
ドラえもん・零式「このケダモノめ」

2013051102.jpg

ドラえもん・零式「何をするつもりか知らないけど、何も素っ裸にすることはないだろう。このスケベジジイが」

 いつの間にか慶次の背後に立っていたドラえもん・零式が、慶次の言動を痛烈に批判した。

斜メ前田慶次「お前は黙っていろ」
ドラえもん・零式「いいや、黙らない。ねえ君。こんな男の言うことなんか聞くことないよ」
斜メ前田慶次「助かりたいと思うなら、脱げ。一時の恥で命を粗末にするな」
きぬ「・・・・・・」
ドラえもん・零式「君は医者じゃないだろう! 余計なことをしないで、ここの医者に任せればいいんだよ!」
斜メ前田慶次「その医者が見放したから、俺がこうして世話を焼いてんだよ。見てみろ。この娘の身体を冒している虫を」
ドラえもん・零式「・・・虫、だって!?」
斜メ前田慶次「その娘が引っ掻いた傷から、何匹か顔を覗かせているぜ」
ドラえもん・零式「ちょっと見せてみたまえ」

 数秒後、ドラえもん・零式は腰を抜かしてその場にへたり込んでしまった。

ドラえもん・零式「こ、これは・・・紛れもなく芽殖孤虫! 信じられない・・・!」 
斜メ前田慶次「このままじゃ、いずれ確実に死んじまう。だから、俺が助けてやろうというんだ」
ドラえもん・零式「目黒寄生虫館で見たことはあったけど・・・実際に見たのは初めてだよ・・・」
斜メ前田慶次「ほれ、さっさと脱げ。さっきも言ったが、その浴衣が邪魔なんだ」
きぬ「・・・嫌です」
斜メ前田慶次「おばちゃんからも、何とか言ってやってくれ。脱いでもらわんと始められねえんだ」

 母親がきぬを説得しようとしたところで、医者が病室に現れ、慶次を怒鳴りつけた。

医者「先ほど、帰るように申したはず! このようなところで何をされておるのですか!」
斜メ前田慶次「黙れヤブ医者!」
医者「なっ・・・何ですと!?」
斜メ前田慶次「この娘が泣き喚いていたとき、何をしていた。何故この場に来なかった」
医者「そっ・・・それは・・・」
斜メ前田慶次「どうせ助からないから、行っても無駄だと思ったんだろう。違うか」
医者「しっ、素人が口を出すことではない! 帰って下され!」
斜メ前田慶次「一体、今までに何をしていた。どうして、こんなになるまで放っておいたんだ」
医者「・・・・・・」

 答えに窮し、黙り込んでしまった医者に対し、ドラえもん・零式が助け船を出した。

ドラえもん・零式「慶次君、このお医者さんを責めるのは酷というものだよ。何しろこの病気は、22世紀の医学ですらどうしようもないんだから」
斜メ前田慶次「見放したことを謝れ」
医者「・・・・・・」
ドラえもん・零式「慶次君、もういいだろ」
医者「・・・では、どうしろと言うのですか! どうすれば、この患者は助かるのですか!」
斜メ前田慶次「今から俺のすることを黙って見ていればいい。そうすりゃこの娘は助かる。いや、助かり得る」
医者「素人に何ができる!」
斜メ前田慶次「じゃあ、アンタは今までどんな治療をしてきたんだ。言ってみろ」
医者「虫下しの投薬と・・・膿が溜まった個所の切開を・・・」
斜メ前田慶次「あーあー。はいはい。話にならねえな」
医者「何ですと!」
ドラえもん・零式「慶次君、失礼だろ。戦国の世じゃそれが限界だよ」
斜メ前田慶次「いいや、戦国の世はまだ限界を迎えてねえ」


2016030701.jpg


医者「そっ・・・それは・・・!」

 慶次が懐から取り出した治身丹に、医者は目を見張った。

斜メ前田慶次「その昔、俺は治身を連打し、生身のまま宇宙空間に到達したことがある。ドラ、覚えているだろう」
ドラえもん・零式「あのときは正直すまんかった」
斜メ前田慶次「俺が山中で野盗に内臓を斬られたときのことも覚えているだろう。あのときも治身を連打したよな」
ドラえもん・零式「飛び出た内蔵が傷口の中に引っ込んでいってたね・・・」
医者「そっ・・・そのような馬鹿なことが起こり得るはずがない! 騙されませんぞ!」
斜メ前田慶次「この娘が命を拾うには、これしかないってことだ」
きぬ「・・・でも・・・そんな高価なもの・・・」

 戦国の世の一貫は、平成の世でいえばおよそ十万円に相当するらしい。つまり治身丹を一回使用するたびに九十六万円が吹っ飛ぶ計算になる。この貧しい母娘に、一体どうやって金を工面しろというのだろうか。

斜メ前田慶次「金のことは、今は気にしないでいい。さあ、早く浴衣を脱ぐんだ」
ドラえもん・零式「娘さん、騙されちゃいけない。きっと、法外な利子を付けて貸し付けてくるよ」
斜メ前田慶次「ドラ、お前はもう黙れ」
ドラえもん・零式「いいや、黙らないね。それに治身丹をその子みたいな一般市民が使って大丈夫なのかい? 身体、もつのかい?」

 当ブログでは低レベルNPC、その他モブを「一般市民」と表現している。一般市民は慶次のようなプレイヤーキャラクターに比べれば、当然弱い。治身丹は一般市民にとっては劇薬なのではないかということを、ドラえもん・零式は言いたいのだが・・・

斜メ前田慶次「だが今はこいつに賭けるしかない」
ドラえもん・零式「賭ける、だって!? 必ず助かるわけじゃないのかい?」
斜メ前田慶次「この娘の気力と体力次第だ」
ドラえもん・零式「そんなんだったら、やるべきじゃない! 他に何か方策を考えるべきだ!」
斜メ前田慶次「考えたところで、この病気はどうにもならん。いずれ全身が虫まみれになって死ぬ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「きぬ、といったか・・・どうだ、きぬ。やってみるか?」
きぬ「・・・わかりました。やります。でも、どうしても脱がなければならないのですか?」
斜メ前田慶次「やってみりゃあわかるよ。ほれ、早く」
きぬ「わかりました・・・」

 きぬの全身には、すでに無数のイボ状の結節が現れていた。これを掻き破ると膿とともに虫が出てくる。想像するだけで身体がムズムズしてきてしまう。

斜メ前田慶次「今まで辛かっただろう・・・よく頑張ったな」
きぬ「あまりジロジロ見ないでもらえると・・・」
斜メ前田慶次「治身丹の使い方を指南する必要があるんだよ。決してエロい目で見てるわけじゃねえから安心しろ」
きぬ「・・・・・・」
斜メ前田慶次「とはいっても、そんなに難しいことはない。まずはこれを手に持て」
きぬ「はい」
斜メ前田慶次「その後、気合を込めて、”はああああ~~!!”って叫べ。それだけだ」
きぬ「意味がわからないんですけど。これ、薬ですよね?」
斜メ前田慶次「治身ってのは、そういうもんなんだよ! ウダウダ言わずにやれ!」
きぬ「・・・・・・」
斜メ前田慶次「一個使うたびに、俺がまた一個渡す。それを繰り返せ。わかったな」
きぬ「わかりました・・・」
斜メ前田慶次「それとお前ら三人は、病室から出たほうがいい・・・飛び散るからな。ほれ、出た出た」

 きぬに浴衣を脱ぐことを強要し、三人を病室の外に出した慶次の判断は正解であったと言えた。というのも、

きぬ「・・・嫌アァァァァーーーーーーーーーーッ!」

 きぬが治身丹を使用するたびに、数匹から数十匹単位で虫が皮膚を突き破って勢いよく飛び出してくるのだ。その後、虫は壁に叩きつけられて絶命するか、慶次に踏み潰されることになる。

斜メ前田慶次「・・・嫌、じゃねえ! はああああ~、だ! 気を確かに持て! 発狂するかショック死しちまうぞ!」
きぬ「・・・はああああ~!」
斜メ前田慶次「よし、その調子だ! 虫が一匹もいなくなるまで続けるぞ!」

 虫が飛び出しては、傷口が即座に塞がるその光景は、医者と母親の想像を遥かに絶していた。慶次の施術が始まってから二人は間もなく気絶し、ドラえもん・零式がその看護をする羽目になってしまった。 

きぬ「・・・はああああ~!」
斜メ前田慶次「まだまだ! 身体の中には一匹も残せんぞ! 一匹でも残ったらまた増えやがるからな!」
きぬ「はい!」
ドラえもん・零式「・・・22世紀の医学が、ただ一つだけ戦国の世に勝てないものがある・・・」
斜メ前田慶次「だんだん、身体がきれいになってきたな。もう少しだ、頑張れ!」
きぬ「・・・はああああ~!」
ドラえもん・零式「それがこの・・・この治身シリーズ・・・! 持ち帰りたい・・・! ぜひ22世紀に持ち帰って・・・難病に苦しむ人たちを救ってみたい・・・叶わぬ夢なんだろうか・・・」

 きぬが治身連打を始めてから、十分ほどが経過した頃のことであった。

きぬ「・・・あれ? 何も起こりません・・・」
斜メ前田慶次「身体の中に、虫が一匹もいなくなったってことだ。良かったな。お前は助かったんだ」
きぬ「本当ですか!? 私は本当に治ったのですか?」
斜メ前田慶次「そうだ。お前は治った。治ったんだけどよ・・・」
きぬ「はい?」
斜メ前田慶次「すまねえ・・・全部見えてる。てか見ちまった。申し訳ない」

 きぬは浴衣を脱いで全裸になっている。慶次が何を見たかは、言わずともおわかりになるだろう。きぬにも当然そのことはわかった。そして、

斜メ前田慶次「・・・ぶえっ!!」

 きぬの渾身のビンタを左頬に受けた慶次もまた気絶し、数日間の加療を余儀なくされたという。きぬが予想のほか怪力だったことも原因の一つだが、きぬの裸に気を取られ、防御力が下がってしまっていた。いくさ人慶次が、一流プレイヤーになりきれない理由はそのへんにあると言えるだろう。
Date: 2016.03.07
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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾八

 自身の放った高威力の壁ドンにより自宅を倒壊させた慶次は、再建までの間、仮設住宅への入居を余儀なくされていた。生活をする上では当然不便となってしまったが、それに加え、

斜メ前田慶次「いい加減、機嫌直してくれよ、なあ」
茜「・・・・・・」

 家屋倒壊に巻き込まれ、入院加療中の茜を見舞ってはシカトされ続け、日々モヤモヤとした生活を送っていたのであった。

斜メ前田慶次「今日も持って来たぞ、お前の好物の巻き寿司を」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「お前が好きな、ぶっとくて長いやつをな・・・」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「ほれ、両手を添えて咥えてみろ」
茜「帰って下さい」

 慶次に背を向けたまま、茜が口を開いた。

茜「迷惑です。帰って下さい」
斜メ前田慶次「そんなこと言うなって」
茜「あなた様のせいで、私の生活は滅茶苦茶です」
斜メ前田慶次「だから、何度も謝ってるじゃねえか。俺だって、まさか家が崩れるなんて思わなかったんだよ」
茜「いいから、もう帰って下さい」

 またもや慶次のせいで年次休暇が強制的に消化されてしまうことに加え、家屋倒壊に巻き込まれて怪我をしたことが知れれば、同僚からのいい笑いものになってしまう。いや、もうすでに知られて笑いものになっているだろう。言い訳をするならば、あまりの威力の壁ドンで数秒間失神してしまい、それが逃げ遅れることに繋がったわけだが、頭領は聞いてくれないに違いない。

斜メ前田慶次「なあ。チ〇コ見せてやるから機嫌直せって」
茜「やめて下さい」
斜メ前田慶次「こっち向いてくれよ。顔ぐらい見せてくれたっていいだろ」
茜「嫌です」

 慶次に悪気はないことはわかる。わかってはいるが、もうこれ以上関わりたくはない。徹底的に拒絶をすることを決めた茜であったが、ここで茜にとって想像を絶する事態が起こった。

斜メ前田慶次「・・・ムン!」
茜「・・・ゲッ」

 何と、業を煮やした慶次が、茜の顔を掴み、力ずくで自身の方向へ向かせたのであった。「ミシッ」という嫌な音が病室内に響いた。

茜「・・・ッ・・・!」
斜メ前田慶次「・・・や、やべえ! 首が変な方向に向いちまった! おい、医者! 医者はいねえか、おい!」

 白目を剥いて気絶した茜はさらに一ヶ月の加療を余儀なくされ、これで慶次は完全に茜から嫌われることとなった。

医者「・・・帰って下され! 全く、ひどいことをなさる御仁じゃ!」

 病室から叩き出された慶次は、意気消沈しながら出口へ向かった。その途中、

ドラえもん・零式「・・・ちょっ、慶次君!」

 ドラえもん・零式が入院している病室の前を通りかかったが、これを完全にスルーした。落ち込んでいてドラえもん・零式の存在をすっかり忘れてしまっていたのである。

ドラえもん・零式「・・・この人でなし! スルーするなァーーーーーッ!」

 仮設住宅に帰ったらヤケ酒でも呷って寝よう。そう考えていた矢先のことであった。

???「・・・嫌アァァァーーーーッ!」

 突如、院内全体に響き渡るほどの悲鳴が前方の病室から上がり、慶次は思わずその病室へ飛び込んだ。すると・・・

斜メ前田慶次「・・・ゲエーッ! こいつぁ・・・!」

 そこでは想像を絶する光景が広がっていた。何と、白いミミズのような寄生虫が、患者である若い娘の皮膚の数ヶ所を食い破り外へ顔を覗かせていたのである。

斜メ前田慶次「こいつぁ、芽殖孤虫(がしょくこちゅう)じゃねえか・・・! 何てこった・・・!」
???「・・・取って! お願い! 取ってえぇぇぇーーー!」

 布団の上で半狂乱になっている若い娘と、必死になだめる母親の姿が確認できたが、医者はなかなか駆けつけようとしない。もはや見放されているのだろうか。何しろ、この病気には治療法がない。それは平成の世でも同じで、芽殖孤虫症の致死率は100パーセントと言われている。

斜メ前田慶次「おばちゃん、ちょっとそこをどいてくれ」
母親「・・・あなた様は!?」
斜メ前田慶次「その娘、もしかしたら助かるかもしれぬ」
母親「・・・ほ、本当でしょうか!?」
斜メ前田慶次「見たところ、医者からは見放されているようだが、天命は尽きていないように見える」
母親「・・・どうか! どうかお願いします! この子を・・・この子をお助け下さいまし・・・!」
斜メ前田慶次「まあ、試してみようじゃねえか。信長の野望オンライン・プレイヤーキャラクターのこの俺様がな」

続く
Date: 2016.03.03
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