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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾七

斜メ前田慶次「残飯なんか・・・食ってんじゃねえよ・・・馬鹿野郎・・・!」
ドラえもん・零式「・・・慶次君!」

 その後は言葉にならなかった。溢れ出る涙を堪えきれなくなったドラえもん・零式は、茜の目も気にせず地面にうずくまり、慟哭した。

斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「ごめん・・・ごめんよ慶次君・・・僕が全て間違っていた・・・!」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「迷惑をかけて、本当にごめんよ・・・ごめん・・・」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「もう二度と迷惑をかけないから・・・小遣いなんかいらないから・・・どうか・・・どうか僕をもう一度・・・」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「もう一度、この家に・・・!」

 これで筋は通した。もちろん、ドラえもん・零式にも言い分はあるのだろうが、ここで見苦しく喚かないところにその成長の一端を垣間見ることができた。そしてそんなドラえもん・零式を労うかのように、

茜「・・・・・・」

 茜は無言で、その震える背中をさすり続けた。再び、三人の間にしばしの沈黙が流れた。

斜メ前田慶次「・・・全く、しょうのねえ野郎だ」

 依然として背を向けたままの慶次が、業を煮やしたかのように口を開いた。生来、陰気が嫌いな性格の慶次である。沈黙に耐えられなくなったという理由もあったのだろう。

斜メ前田慶次「うだうだうるせえんだよ、さっきから。余計な言葉が多すぎるんだ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「テメエの家に帰ってきたんだろうが。だったらただ一言でいい。ただ一言」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「ただいま、って言やぁいいんだよ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「じゃなきゃ、出迎えてやれねえだろうが。馬鹿野郎が・・・」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「もういい。部屋に戻って休め。話は明日だ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「ほれ、さっさと行け」

 ドラえもん・零式は無言でうなずくと、足早にその場を後にした。

斜メ前田慶次「・・・ご苦労だった」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「あの馬鹿が生きて帰ってこれたのは、お主のおかげだ。感謝している」
茜「もったいなきお言葉でございます」
斜メ前田慶次「今からでは宿を探すのも難しかろう。今宵は泊まっていけ」
茜「いえ、私は忍びです。野宿でも大丈夫です。どうかご心配なく」
斜メ前田慶次「遠慮はいらん。泊まっていけ。実はお前の好きな巻き寿司も用意してある。俺の手製だ」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「お前、ぶっとくて長いのが好きだったよな。今、持ってくるから上がって待ってろ」
茜「・・・・・・」
斜メ前田慶次「ほれ、さっさと上がれ。酒もとびきり上等なものを持ってくるからよ。ほれ」
茜「いえ、本当に結構です」
斜メ前田慶次「礼くらいさせてくれよ。それに、大事な話もある」
茜「・・・斜メ前田様」
斜メ前田慶次「何だ」
茜「私は所詮、卑しい忍びです。私のような者に、家老のあなた様がそのようなお言葉を掛けてはなりませぬ」
斜メ前田慶次「馬鹿野郎。身分の差なんざ関係ねえ。俺はただ」
茜「失礼いたします」
斜メ前田慶次「・・・ちょっ、待てよぉ」

 くるりと背を向け、門へ向かって歩き出す茜を、キムタクのモノマネをしながら慶次が追った。

斜メ前田慶次「待てって」
茜「・・・ゲエーッ!」

 高レベルのプレイヤーキャラクターは、時速70キロほどで走ることができる。このことについては過去に当ブログで何度か触れたことがあるが、それならば当然、小走りでも常識を超えた速度となるはずである。瞬く間に正面に回り込まれた茜は、慌てて屋敷側に取って返すこととなった。

茜「・・・斜メ前田様! いけませぬ!」
斜メ前田慶次「だから、待てって! 俺は・・・! 俺は本当に・・・!」

 それほど広くない庭である。走ったところですぐに壁につきあたる。やむなく屋根に飛び移ろうとした茜を、追い付いた慶次が壁にドンと押し付ける形となった。いわゆる一つの”壁ドン”である。

斜メ前田慶次「俺は本当に・・・お前のことを・・・!」

 二人の間に交わされた言葉は、これが最後になった。慶次に壁ドンされた家屋がその衝撃に耐えきれず、倒壊し始めたのだ。

斜メ前田慶次「やっべ。家が・・・!」

 「壁ドンで家屋倒壊!?」とお考えになった方もおられるだろうが、例えば戦国の世に生きる人間のそれと、平成の世に生きる人間のそれを一緒にしてはならない。考えてもみてもらいたい。

 自分の身体より遥かに巨大な化け物を刀でガシガシ斬り刻んだり、空を飛んでエネルギー弾を放ったりするような人間がゴロゴロいる時代なのだ。そういった男たちが壁ドンをしたら一体どうなるか。

茜「・・・ちょっ! どいて! どいて下さい! ・・・あっ」

 慶次の無駄にでかい図体が邪魔して逃げ損なった茜と、自室で休養していたドラえもん・零式は倒壊した家屋の下敷きとなり、それぞれ全治一ヶ月の重傷を負った。そして何とか一命は取り留めたものの、しばらくの間、忍びの仕事を休まなければならなくなった茜は、それきり慶次の家を訪れることはしないと心に誓ったという。
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Date: 2016.02.24
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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾六

 甲信国境付近の山中で、野盗三十余名を皆殺しにしたドラえもん・零式は、またしても心情不安定に陥った。

2013051102.jpg

 事件の直後こそ、人間変身薬を服用し現場を離れる冷静さだけはかろうじて保っていたが、時が経つにつれて次第に無口になってゆき、一刻(約二時間)が過ぎた頃には、

ドラえもん・零式「うっ・・・ううっ・・・うああああーん!」

 鼻水とよだれを顔中にぶちまけながら号泣したり、

ドラえもん・零式「ひひっ・・・ひひっ・・・うひひひ・・・!」

 突如笑い出したりするなどその都度、茜をドン引きさせることとなった。後に茜が語るところによると、

2013111803.jpg

茜「・・・正直、一緒に歩くのが苦痛でした。特に泣いた顔がやばかったですね」

 茜ですら引くほどであるから、端から見てもよほど気持ち悪かったことが容易に想像できる。また、

ドラえもん・零式「僕の手は血に染まっている・・・慶次君に会わす顔が無い」

 越後へ戻って茜と暮らすと言い出すたびに、茜をイラ立たせた。それでは何のためにわざわざ甲斐まで来たのかわからないからだ。

茜「とにかく、斜メ前田様に元気な顔をお見せしましょう」

 ぐずるドラえもん・零式を懸命になだめ、励まし続けた茜と、かつての大罪人ドラえもん・零式が甲府へ足を踏み入れたのは、夜がすっかり更けてからのことであった。

茜「斜メ前田様の御屋敷はどちらに?」
ドラえもん・零式「こっちだよ。甲府は僕の庭みたいなもんさ」

 ドラえもん・零式に案内され、茜は甲府の街を興味深く見物しながら歩いた。そしてようやくこの旅も終わると安堵のため息を漏らしたとき、まさかのドラえもん・零式の暴走に再び慌てさせられることとなった。

2015082401.jpg

ドラえもん・零式「ちょっとあいつを殺してくるから待ってて」
茜「駄目です! また逃亡犯罪人になりたいんですか!」
ドラえもん・零式「あの顔・・・! 人を裏切っておいて、よくもまあ・・・!」

 自分を裏切った両替商がよほど憎かったのか、本気で両替商を殺そうとするドラえもん・零式を屋敷管理人の立つ場所まで連行するのは非常に骨が折れたと、後に茜は語る。

ドラえもん・零式「・・・・・・」
茜「さあ、着きましたよ」

 慶次宅の門前でまごまごしているドラえもん・零式に、中へ入るよう何度も促すものの、なかなか足を踏み入れようとしないドラえもん・零式にイラ立つ茜であったが、怒ったらまた泣き出すか、どこかへ走り出して行ってしまうかもしれないため、まるで赤子をあやすかのようにドラえもん・零式を必死になだめ続けることとなった。時間にして、およそ四半刻(約三十分)。茜の苦労を充分に窺うことができる。

斜メ前田慶次「・・・おう、来たか」

 慶次は部屋で一人、酒を飲んでいた。庭先に佇む二人と何故か顔を合わそうとはせず、背を向けたまま杯を呷ると、しばし沈黙した。

ドラえもん・零式「慶次君・・・」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「ねえ・・・何か・・・何か喋ってくれよ・・・」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「僕は・・・帰らない方が良かったのかい・・・?」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「ねえ・・・ねえったら・・・!」
斜メ前田慶次「ドラ、てめえ・・・!」
ドラえもん・零式「!?」
斜メ前田慶次「残飯なんか・・・食ってんじゃねえよ・・・馬鹿野郎・・・!」

 なおも背を向けたまま、慶次は俯き、両肩を震わせた。

続く
Date: 2016.02.17
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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾伍

 老婆との別れから三日後。ドラえもん・零式と茜はとうとう甲斐の地へ足を踏み入れた。

ドラえもん・零式「雪が無い! 寒くない! ああ、何て素晴らしい国なんだ!」
茜「甲府まで、あと一息ですね」
ドラえもん・零式「それにしても、本当狂ってるよね、戦国の世って」
茜「どうしてですか?」
ドラえもん・零式「後ろを振り返って見てみたまえ」

 甲斐と信濃の国境で、くっきりと天候が違っていることをドラえもん・零式は言いたかったのだが、茜にはどうもピンと来ていないようだった。

茜「・・・特におかしいようには見えませんけど」
ドラえもん・零式「いやいやいやいや! 向こう、吹雪いてるじゃないか! どう考えてもおかしいだろう!」
茜「信濃は一年中冬ですし、おかしいことはないと思います」
ドラえもん・零式「その一年中ってのが、そもそもおかしいの!」

 ドラえもん・零式は、こんな異常気象が起こっているのは戦国の世だけだと説明したが、茜はそれをドラえもん・零式の冗談と受け取り、笑い出してしまった。

ドラえもん・零式「笑うところじゃないんだって!」
茜「だって、まるで違う時代にいたことがあるような言い方だったものですから」
ドラえもん・零式「あれ? 話してなかったっけ? 僕は22世紀から来たってことを」
茜「にじゅうにせいき、とは?」
ドラえもん・零式「今から数百年後の世界から、タイムマシンに乗って来たのさ」
茜「はあ・・・」
ドラえもん・零式「慶次君の子孫から依頼されて、慶次君の面倒を見に来たんだよ」
茜「・・・・・・」
ドラえもん・零式「ワケあって帰れてないんだけど・・・って、茜ちゃん」

 茜の、自分に対する視線が明らかにおかしくなっていることに気が付き、ドラえもん・零式は大いに慌てた。

ドラえもん・零式「お願いだから、そんなキ〇ガイを見るような目で僕を見ないで欲しい」
茜「・・・・・・」
ドラえもん・零式「いや、本当、急に暖かくなったからとか、そんなんじゃないから」
茜「はあ・・・」
ドラえもん・零式そ、「それにしても、一年中冬って、大変だよね。茜ちゃんの国もそうなんだろう?」
茜「はい」
ドラえもん・零式「変だと思わないのかい?」
茜「物心が付いたときからそうでしたので、別に変だとは思いません」
ドラえもん・零式「そんなもんかねえ。僕は充分変だと思うけどね」

 価値観の違いから、二人の会話が途切れたときのことだった。

茜「・・・私としたことが、不覚でした」
ドラえもん・零式「突然、どうしたんだい?」
茜「三十名ほどに囲まれています」
ドラえもん・零式「え? どこ? どこ?」

 ドラえもん・零式が足を止めた瞬間、矢が足元に突き刺さり、ドラえもん・零式は腰を抜かしてしまった。

ドラえもん・零式「・・・ひいっ!」
茜「野盗の群れです」
ドラえもん・零式「ど、ど、どうしよう!?」
茜「どうにか血路を開くしかありません」
ドラえもん・零式「そんなこと、できるのかい!?」
茜「・・・・・・」
 
 自分のことのみを考えれば、できなくはない。だが・・・。

ドラえもん・零式「・・・うわっ! うじゃうじゃ出てきた!」

 動転してしまっているドラえもん・零式を守りながらでは、果たしてどうか。おそらく、二人とも無事にとはいかないだろう。

茜「ドラえもん・零式さん、私の後ろにしっかりと付いてきて下さい」
ドラえもん・零式「こ、腰が抜けちゃって、立てないよ」
茜「早く立って下さい!」
ドラえもん・零式「そんなこと言われたって・・・」
野盗「持ち物と着ている物を全て置いていけ。そうすりゃ命までは取らねえ。おっ・・・」

 この野盗の頭目もまた、考えることは信濃の野盗と同じであった。

野盗「上玉じゃねえか。女はここに残れ。おい、男」
ドラえもん・零式「は、はひ」
野盗「着物を脱ぎ終わったら、さっさと消えろ。股間のイチモツをブラブラさせながら走ってけ」

 どっと笑い声が上がった。馬鹿にされたことが悔しく、惨めで、ドラえもん・零式はたまらず涙を流した。

茜「早く立って!」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
茜「ドラえもん・零式さん!」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
野盗「何をごちゃごちゃ言ってやがる!」

 茜を抱きすくめるべく、男が歩を進めたところで、今度は男が腰を抜かすこととなった。

野盗「・・・ゲエーッ! ば、ば、化け物!」
ドラえもん・零式「・・・え?」
野盗「・・・何だこいつは!? 男は!? どこに行きやがった!」

 僕はここにいるじゃないか、と思ったドラえもん・零式であったが、どうも周りの男どもの視線がおかしい。まるで化け物を見ているような、そんな視線であった。

ドラえもん・零式「・・・茜ちゃん?」
茜「・・・・・・」

 茜もまた、ドラえもん・零式の突然の変化に言葉を失い、立ち尽くしていた。

ドラえもん・零式「・・・みんな、どうしたんだい?」

 ドラえもん・零式がようやく立ち上がると同時に、漏れなく後ずさる野盗の群れ。明らかに怯えている者の行動であった。

      _____
    / -、 -、   \
   /   |  ・|・  | 、    \
  / / `-●-′ \    ヽ
  |/ ── |  ──   ヽ   |
  |. ── |  ──    |   |
  | ── |  ──     |   l
  ヽ (__|____  / /
   \           / /
    l━━(零)━━━━┥

ドラえもん・零式「・・・何でそんなに、怯えているんだい?」
野盗「・・・ち、近寄るんじゃねえ! 青狸が!」
ドラえもん・零式「青狸、だって!?」

 ここに至って、ドラえもん・零式はようやく理解した。人間変身薬の効果が切れ、本来の姿に戻ったのだ。

ドラえもん・零式「ふふ・・・ふはははは・・・!」
茜「あなたは・・・一体・・・!?」
ドラえもん・零式「茜ちゃん、僕の背中から離れちゃ駄目だよ」
茜「ドラえもん・零式さん・・・なのですか? どうして・・・」
ドラえもん・零式「それから、耳を塞いでいたまえ」

 言いながら、ドラえもん・零式は四次元ポケットの中を愉しげに漁り始めた。この隙を突いていれば、ドラえもん・零式も茜も一たまりもなかったのだろうが、野盗たちはすでに戦う意志を失っていた。


2016021601.jpg

ドラえもん・零式「アサルトライフルー!」

 どうか、大山のぶ代ボイスで脳内再生していただきたい。

ドラえもん・零式「・・・そして死ね!」

 ようやく逃走を始めた野盗たちだったが、遅すぎた。アサルトライフルの連射によって、瞬く間に死体の山が出来上がっていた。まさに虐殺であった。

ドラえもん・零式「・・・見ろ! 人がゴミのようだ!」
茜「・・・ドラえもん・零式さん! ドラえもん・零式さん!」
ドラえもん・零式「何だい!? 今、撃ってるとこなんだけど!」
茜「もう、その必要はありません! 全員・・・!」
ドラえもん・零式「え!?」
茜「すでに全員・・・死んでいます・・・!」

 ハイになっていたせいか、ドラえもん・零式は頭目を始め野盗全員が無残な肉塊に変わり果てていることに気が付いていなかった。この刀槍の時代に・・・火縄銃が普及し始めたこの時代に・・・アサルトライフルを持ち出すのは、まさに反則と言えた。

ドラえもん・零式「ぼ、ぼ、僕が全員を・・・!? 僕が、こんな、こんなひどいことを・・・!」
茜「ただちに立ち去りましょう。屯所の者が来たら厄介なことになりますので」

 ・・・次回こそは、慶次と再会させたいと思います。今日はこのへんで ノシ
Date: 2016.02.16
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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾四

 老婆が粥の支度に取りかかった頃に、老爺はようやく目を覚ました。そして、

老爺「・・・おいババア! 風呂! 風呂沸かさなくていいのか!」

 この老夫婦にとって、「風呂を沸かす」とは屯所への通報を意味する隠語である。囲炉裏端でドラえもん・零式と出くわした老爺は、すっかり恐慌に陥っていた。

老婆「今日は風呂は要らないよ! すっ込んでな!」
老爺「またあいつがいるでねえか!」
老婆「いいって言ったら、いいんだよ! 邪魔だから喋んな!」
老爺「何だと!」

 このままでは口論に発展してしまうと判断したドラえもん・零式は、再び金をチラつかせて、この場の鎮静を図った。

ドラえもん・零式「せっかくだから、お風呂も沸かしてもらおうかな。お金ならあるし」
老爺「おおっ・・・! 金でねえか・・・!」
老婆「・・・ジジイ! 早く風呂沸かしてこい! 今回は本当に沸かしてこい!」
ドラえもん・零式「茜ちゃん、君も入っていくだろう?」
茜「ちょっと、ドラえもん・零式さん!」

 一刻も早くこの家から立ち去りたいと考えている茜は、慌ててドラえもん・零式を止めにかかった。しかし、

ドラえもん・零式「いいじゃないか。何たって」
茜「・・・・・・」
ドラえもん・零式「お金ならたっぷりあるんだし」

 まさに子役時代の内山信二がそこにいた。何しろ口癖が「金ならあるし」になっているのだ。そもそもその金は慶次の金であり、茜が旅費として預かっているものなのだが、ドラえもん・零式はすっかり自分の金であると勘違いしてしまっていた。

ドラえもん・零式「・・・いやぁ、狭かったけど、いい湯だったなぁ」

 風呂から上がったドラえもん・零式が上機嫌で廊下を歩いていたところ、茜に向けられた老婆の罵声が聞こえてきたため、ドラえもん・零式は慌てて囲炉裏端へ戻ることとなった。

老婆「・・・だから、アンタはスケベだって言ってんだよ!」
茜「・・・・・・」
老婆「恰好、顔つき、声、喋り方、醸し出す雰囲気・・・いや、存在そのものが、男を誘惑している! ああ、はしたない! ああ、いやらしい!」
茜「・・・・・・」
老婆「生まれついてのバイタだね! 親の顔が見てみたいよ!」

 何故、今日会ったばかりの赤の他人からここまで言われなければならないのかわからないが、茜は言い返す気にもなれなかった。言い返したところで、火に油を注ぐことにしかならないからだ。

老爺「・・・・・・」

 老爺は止めに入ろうともせず、ただひたすら茜の太ももを凝視していた。この老爺も人格的にどこかおかしいのだろう。老爺の視線が心底不愉快だった茜だったが、もはやどうにもならなかった。

ドラえもん・零式「・・・もうそのへんで勘弁してやってよ」
老婆「あら、お帰りなさいまし。お湯加減はいかがでしたか?」
ドラえもん・零式「ちょうど良かったよ。ところでお酒はあるかい?」
老婆「お酒は別料金になりますが・・・」
ドラえもん・零式「全然構わないよ。お金ならあるし」
老婆「熱燗にいたしますか? それとも常温で? 肴は何にいたしますか?」
ドラえもん・零式「うーん、そうさなぁ・・・」
茜「ドラえもん・零式さん、本当に、もう・・・」

 まだ長居をしようとするドラえもん・零式に対し、茜が口を挟もうとしたところで、再び老婆の逆鱗に触れることとなった。

老婆「その縋るような声、仕草! 上目遣い! ああ、いやらしい! ああ、はしたない!」
茜「・・・・・・」
ドラえもん・零式「君もお風呂に入ってきたまえよ。ちょうど良い湯加減だったよ」
茜「・・・私は結構です」
老婆「このお方が入れと仰っているんだから、さっさと言うとおりにしないか!」
茜「いえ、本当に・・・」
老婆「ああもう、本当にイライラする子だね! 入れって言ったら入るんだよ!」
ドラえもん・零式「遠慮することないって。入ってきなよ、ほら」

 こうして、二人に押し切られる形で入りたくもない風呂に入ることになった茜だったが、

茜「・・・ぎゃあーっ!」

 間もなく後悔することになった。老爺が風呂を覗きに来たからであった。全てを見られた茜は転げるように風呂場から飛び出して行ったという。

ドラえもん・零式「・・・お婆ちゃん、お粥、おいしかったよ。ありがとう」
老婆「いえいえ、大したおもてなしもできませんで」
ドラえもん・零式「また来るよ。今度は慶次君も誘って」
老婆「そのときは、是非お二人とも大罪人になってお越し下さいまし」
ドラえもん・零式「冗談きついなぁ、ハッハッハ。じゃあね、長生きするんだよ」

 ドラえもん・零式にとっては名残惜しい判れとなったが、茜にとっては、まさに解放であった。玄関先で手を振り続けている老婆に対し、茜は背を向けたままであった。

ドラえもん・零式「・・・茜ちゃん、どうしてそんなに不機嫌なんだい?」
茜「・・・・・・」
ドラえもん・零式「ねえ、何か喋ってよ」
茜「・・・・・・」
ドラえもん・零式「君がお風呂に行っている間、お婆ちゃんから色々聞いたんだよ」
茜「・・・興味ありません」
ドラえもん・零式「いいから、聞いてくれたまえ」

 茜の言うとおり、この老夫婦もまた逃亡犯罪人を家の中に誘い込み、屯所に通報することで賞金を得て生活の足しにしていた。ただし、賞金が出るのはあくまで屯所兵が捕縛に成功した場合であって、取り逃がした場合はビタ一文も出ないという。そのため、ドラえもん・零式が逃走した際は地団駄を踏んで悔しがったという。

ドラえもん・零式「どうして僕が、逃亡犯罪人だとわかったんだい?」

 ・・・と問うと、

老婆「確証があったわけじゃないんだよ。とりあえず誘い込むのさ」

 と老婆は答えた。そして、日が落ちた後に、こっそりうちの残飯を漁るような奴は大体が逃亡犯罪人なんだ、と続けた。逃亡犯罪人は人目を避ける。当然、宿場町や城下町には入らない。集落から離れたこの家は、まさに逃亡犯罪人にとってのオアシスであるらしい。

老婆「大罪人なら、一年は遊んで暮らせるほどの賞金が出る」

 ドラえもん・零式が「僕は武田家家老、斜メ前田慶次の使用人なんだ」と打ち明けたとき、老婆は身震いするほど感情が昂ぶり、誤魔化すのに必死だったという。貧困に苦しむ老夫婦にとって、ドラえもん・零式は転がり込んで来た千載一遇のチャンスだった。

老婆「お尋ね者の情報は、旅人から金で買っている」

 この投資は、決して無駄にならないという。そして、たまにただの乞食が家の中に入り込むこともあるが、そのときは屯所兵に叩き出してもらっているそうだ。屯所兵は通報を受けた際に、犯罪人の人相書きを持って現場へ向かう。間違えることは滅多にない。

老婆「もしアンタがあのとき、初めから打ち明けてくれていたら・・・」

 屯所にもその旨を通報したし、屯所としても人を増やして絶対に取り逃がさなかっただろう。今頃は大金で遊び暮らしているはずだったのに、結局一文にもならなかった。ツイてなかったと老婆は嘆いた。

ドラえもん・零式「恨みを買うから、そろそろこんなことはやめた方がいいよ」

 とのドラえもん・零式の忠告に、老婆は聞く耳を持とうとしなかった。その昔、屯所兵だった一人息子が誰何した逃亡犯罪人に刺殺されたからだという。息子の敵討ちと供養も兼ねていると主張する老婆に対し、ドラえもん・零式は一言も反論できなかった。

ドラえもん・零式「どうして、茜ちゃんに対してキツいんだい?」

 との問いには、「大人しくて従順そうな感じが何か気に入らない」「男に媚びてそう」「寒いのに太ももを露出させているのは、男を誘っている証拠だ」などとヒステリックにまくし立てたため、そのうちドラえもん・零式は考えるのをやめた。

茜「・・・・・・」
ドラえもん・零式「ねえ、さっきから黙ってばっかりじゃないか。何か喋ってったら。ねえ。ねえってば」

 茜の不機嫌はしばらく収まる気配がなく、ドラえもん・零式は脂汗をかきながら静かに後を尾いていったという。ちなみに、この後ドラえもん・零式と老夫婦が再会することはなかった。ドラえもん・零式の忠告を無視した老夫婦は数年後、家の中で惨殺体となって発見された。何者かの恨みによる犯行と思われるが、真相は定かではない。

 ・・・さて、次回こそはいい加減、慶次とドラを再会させようと思っています。さすがに長すぎると思うので。それでは今日はこのへんで ノシ
Date: 2016.02.12
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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾参

ドラえもん・零式「駄目なんだよ、逃げちゃ。せっかく来たんだし、お婆ちゃんともう一度話してくる」

 茜は耳を疑った。何を言いだすんだ、とも思った。無用な争いを生むだけではないか。

茜「いえ、行くべきではないと思います。放っておいた方が、お互いのためかと・・・」
ドラえもん・零式「やり直したいんだよ、僕は」
茜「やり直す、とは?」
ドラえもん・零式「すぐ済むからさ」

 茜の問いには答えず、引き戸を勢いよく開くドラえもん・零式。この無鉄砲さは主人の慶次譲りのものなのだろうか。茜は慌ててドラえもん・零式を引き戻そうとしたが、ドラえもん・零式の怪力の前に、逆に土間へ引きずり込まれる形となった。

茜「くっ・・・! 見かけによらず、何という怪力・・・!」
ドラえもん・零式「お婆ちゃーん、いるかい? 僕だよ、帰ってきたよ」
茜「お願いですから、帰りましょう!」
ドラえもん・零式「大丈夫だって。お婆ちゃーん! お婆ちゃーん!」
老婆「・・・やれやれ、誰だい。ちょうどウトウトしていたところだったのに」

 寝室のふすまをゆっくりと開き、眠い目を擦りながら現れた老婆に対し、嬉しそうに挨拶の言葉を投げかけるドラえもん・零式であったが、

老婆「・・・ゲーッ! ア、ア、アンタは!」

 老婆はやはり腰を抜かしてしまった。無理もない。最も会いたくない男が目の前にいるのだ。平然としていろ、というほうが無理というものであろう。

老婆「・・・ジジイ! ジジイ! 来とくれ、早く! こないだの男が仕返しに来やがったよ!」

 老爺は来なかった。寝室で爆睡していたのだ。

老婆「何やってんだ、ジジイ!」
ドラえもん・零式「お婆ちゃん、落ち着きなって。僕はそんなつもりで・・・」
老婆「用心棒まで、雇いやがって! そんなにアタシを殺したいのかい!」

2013111803.jpg

茜「私もそういうつもりでは・・・」
老婆「嘘をつくんじゃあない! アンタ、くのいちだろ! 恰好を見りゃわかるよ!」
茜「ええ、まあ。でも」
ドラえもん・零式「お婆ちゃん、落ち着いて聞いてくれたまえ。茜ちゃんは」
老婆「この寒いのに太もも丸出しで、いやらしい! そんなに見られたいのかい! このスケベ女が!」
茜「・・・・・・」

 とんだとばっちりでった。やはり、気絶させてでもドラえもん・零式を連れ戻すべきであったと、茜は後悔した。

老婆「こんな露出狂に殺されるなんて、情けない、ああ情けない!」
茜「ですから、私は」
老婆「黙らっしゃい!」
茜「・・・・・・」
ドラえもん・零式「確かに、この恰好は男に対する扇情挑発以外の何物でもないと、僕も思う。けど」
茜「ちょっと、何を言いだすんですか」
ドラえもん・零式「今日は仕返しをするつもりで来たわけじゃないんだ」
老婆「そんなこと、信じられるもんか!」
ドラえもん・零式「これを見ても、信じられないかい?」
老婆「・・・!? 金・・・じゃないか・・・」 

 平成の世の額でいえば一万円に相当する銭を、老婆に差し出すドラえもん・零式。

ドラえもん・零式「実はこのお金で、お粥を作って欲しいんだよ」
老婆「粥、だって!?」
ドラえもん・零式「そうさ。あのとき、食べ損ねたからね。気になってしょうがなかったんだ」
老婆「・・・アンタ、正気かい!?」
ドラえもん・零式「正気だよ。作ってくれるかい?」
老婆「そりゃ、できるけどさ・・・何か企んでいないだろうね?」
ドラえもん・零式「あっはっはっは。企みなんかないよ。純粋に食べたいだけさ」
老婆「わかったよ・・・その代わり、前金として半分もらっとくよ・・・いいだろ?」
ドラえもん・零式「何なら全額、今渡すよ。ほら」

 銭を手渡され、多少警戒心が薄れた老婆は、早速粥の用意にかかった。

老婆「すぐには用意できないよ・・・囲炉裏端に座って待ってな」
ドラえもん・零式「そこの太ももの子の分も合わせて、二人分で頼むよ」

 散々の言われように、茜は屈辱で耳まで真っ赤にさせ、ひたすら俯いていたという。

続く
Date: 2016.02.08
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今度こそさようなら、ドラえもん・零式の巻 其の拾弐

老婆「おやまあ、そんなものを食べて・・・さぞお困りでしょう。どうぞ、中へお入り下さいまし」

 まさかのこの誘いに、ドラえもん・零式は嬉しさよりも困惑を覚えた。もはや信濃の民に何も期待していなかったからだ。だが、

老婆「今すぐ、温かい粥をご用意いたしましょう。ささ、どうぞ中へお入り下さいまし」

 たたみかけてきたこの優しさに、ドラえもん・零式は何の疑いもなく飛びついてしまった。このとき、彼はとにかく飢えていた。食に対する欲求だけではない。他人から向けられる愛情に対しても飢えに飢えていたのだ。

ドラえもん・零式「うん! ありがとう、お婆ちゃん!」

 転がり込むように家の中へ入ったドラえもん・零式は、まず囲炉裏の火に両手をかざした。熱い。熱いが心地よい。思えば、火にあたるのなんて何日ぶりだろうか。逃走している間は考えることもなかった。ありがたい。まるで夢のようだ。

老婆「・・・失礼ですが、ちと臭いますね。いえ、全然構わないのですけど、ホッホッホ」
ドラえもん・零式「ああ、ごめん。ごめんよ、お婆ちゃん。何しろ、お風呂に入れていなくて・・・」
老婆「あらあら、まあまあ、お気の毒に。何か、ワケアリでございますか?」
ドラえもん・零式「うん、まあ、ちょっと・・・」
老婆「お気の毒に。今すぐ、お風呂もご用意いたしましょう。おーい、おーい、爺や」

 寝ているところを叩き起こされた老爺は明らかに不機嫌そうで、眠い目をこすりながら老婆に何か文句を言おうとしたところで、やめた。ドラえもん・零式の姿を見て、おおよその事情が理解できたからだ。

老爺「若いの、この寒いのに大変だったのう。待っとれ。今すぐ、風呂を焚いてくるけえ」

 そう言ったきり、この老爺は姿を消した。家の中には老婆とドラえもん・零式の二人きりとなった。そして二十分ほどが経過したところで、老婆が粥の入った囲炉裏鍋を鉤にかけた。

老婆「お待たせしてしまって、すみませんねえ。何しろ歳なもので、動きが鈍くなってしまっていましてのう」
ドラえもん・零式「うおおっ・・・! おおっ・・・!」

 思わず喉を鳴らすドラえもん・零式であったが、老婆が言うにはまだ食べ頃ではないので、しばらくこのままにしておいてくれとのことであった。そして五分ほどが経過したところで、たまらずドラえもん・零式が老婆に問いかけた。

ドラえもん・零式「お婆ちゃん、もういいよね?」
老婆「もう少しお待ちになって下さいまし」
ドラえもん・零式「どうしてだい? もう腹ペコで我慢できないよ」
老婆「今まで、ろくなものをお食べになっていなかったのでしょう? 胃が弱っておりますゆえ、充分に火を通してからでないと」
ドラえもん・零式「僕のことなら心配いらないよ。ねえ、早く。早く食べさせてよ」
老婆「もう少し、もう少しお待ち下さいまし」
ドラえもん・零式「僕は大丈夫なんだけどなあ・・・」

 その後、互いに無言のままどれだけの時間が過ぎただろうか。空腹の限界を迎えたドラえもん・零式が再び老婆に問いかけた。

ドラえもん・零式「お婆ちゃん、さすがにもういいよね?」
老婆「焦ってはいけませんよ。粥は逃げたりしませんので、ホッホッホ」
ドラえもん・零式「まだかい? 焦らすなあ、お婆ちゃん」
老婆「ホッホッホ」
ドラえもん・零式「ところでお婆ちゃん、何か上に羽織るものはないかい? 見てのとおり半袖で、寒いんだ」
老婆「おやまあ、気が付かずすみません。粥が煮えたら、息子のお古を探してきましょう」
ドラえもん・零式「ありがとう、お婆ちゃん。この恩は必ず返すよ。落ち着いたら、慶次君にお金を送らせるからね」
老婆「慶次様とは?」
ドラえもん・零式「僕は武田家家老、斜メ前田慶次の使用人なのさ」
老婆「あらまあ! それはそれは・・・気付かずに重ね重ね申し訳ございません」
ドラえもん・零式「いいさ。何しろこんなナリだからね。それより・・・」

 お粥をそろそろ食べさせてよ、と言いかけたところで、ドラえもん・零式にとって想像を絶する事態が起こった。


dora2.jpg

ドラえもん・零式「!?」

2016020401.jpg

屯所兵「・・・そこを動くな! 人相を検める!」

 ターン! と勢いよく引き戸が開いたかと思いきや、数名の屯所兵が土間に踏み込んできたのだ。動転しているドラえもん・零式に、さらに老婆が追い討ちをかけた。

老婆「そいつは、大罪人の銅鑼右衛門だよ! 早く捕まえておくれ!」
ドラえもん・零式「なっ、なっ、おっ、お婆ちゃん!?」 
屯所兵「・・・銅鑼右衛門だと!? 動くな! 動くでないぞ!」
ドラえもん・零式「お婆ちゃん! まさか、僕を!?」 
屯所兵「騒ぐな! 大人しく縄にかかれい!」
ドラえもん・零式「お婆ちゃん、何とか言ってよ! お婆ちゃん!」 

 そこへ遅れて、風呂を沸かしに行ったはずの老爺がひょっこりと現れた。両肩が雪にまみれており、息が乱れに乱れていた。

老婆「ジジイ、何をモタモタしていたんだい!」
老爺「急に吹雪いてきたんだから、しょうがねえだろ!」
老婆「屯所なんか、目と鼻の先じゃないか! 情けない! 危うく粥を食われちまうところだったよ!」

 ドラえもん・零式は、全てを理解した。この二人はグルだったのだ。

屯所兵「神妙にいたせ!」

 槍の穂先を突き付けながら、次々に「動くな」「大人しくしろ」「逃げたら命はないぞ」などと怒声を投げかけてくる屯所兵たちを目の前に、もはやこれまでかと思われたドラえもん・零式であったが、ここで一か八かの賭けに出た。

屯所兵「・・・熱っ! あつつつつつ!!」

 煮えたぎっていた粥を素早く杓子ですくい、屯所兵たちの顔に浴びせかけたのだ。槍を持っていたために両手がふさがっていた屯所兵たちはもれなく顔面に粥の直撃を受けた。

老婆「何をしてるんだい! 早く捕まえるんだよ!」

 老婆の声は、顔面火傷で苦しむ屯所兵たちの耳には届かなかった。その隙を突き、ドラえもん・零式は見事脱出に成功したのであった。

老婆「・・・ちくしょおおおー!」

 雪国の天気は変わりやすい。急に吹雪いてきたこともドラえもん・零式にとっては幸いした。吹きつける雪が煙幕の役目を果たす上に、足跡も消し去ってくれる。ようやく落ち着きを取り戻した屯所兵たちに、もはや追跡の手だてはなかった。

2013111803.jpg

茜「その後は、どうなったのですか?」
ドラえもん・零式「泣きながら、とにかく走ったよ。辛かった。裏切られたことが、とにかく辛かった・・・」
茜「その老婆は、ひょっとしたら・・・」
ドラえもん・零式「え?」

 茜の語るところによると、逃亡犯罪人を言葉巧みに家の中へ誘い込み、屯所へ通報して賞金を得る者が信濃に限らず、どこの国にも存在するらしい。ただし当然、自身にも危険が及ぶ可能性があるし、本人ばかりかその親族・知人からも恨みを買うために、実際に行動に移す者はそう多くないとのことであった。

茜「もう忘れましょう。思い出しても辛いだけですし」
ドラえもん・零式「確かに・・・そうだね・・・」
茜「さあ、行きましょう。もう少し歩けば宿場町に出ますので」
ドラえもん・零式「うん・・でも・・・駄目だ」
茜「え?」
ドラえもん・零式「駄目なんだよ、逃げちゃ。せっかく来たんだし、お婆ちゃんともう一度話してくる」

続く


 ・・・思ったより、ドラえもん・零式の逃亡生活の話が長く続いてしまっていますが、肝心の信オンのほうは、相変わらず巻き込み・巻き込まれの日々が続いております。

2016020402.jpg

 今さらですが、ようやく飛槍放鷹の覚醒が終了しました。どんだけかかったんだろう・・・

2016020403.jpg

 今年こそは前田慶次を倒すことを夢見つつ、今日はこの辺で失礼します。ではでは ノシ
Date: 2016.02.04
Category: 信on休止中
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