この日、22世紀の東京・霞ヶ関において、タイムパトロールの大忘年会が開催されていた。
タイムパトロール猪木「・・・っしゃあ、野郎ども、いくぞ! イチ、ニ、サン・・・!」
タイムパトロール隊員「かんぱーいっ!!」
タイムパトロールの乾杯では、ジョッキなどというやわな物は使わない。全員がピッチャーになみなみと注がれた生ビールを一気に飲み干す。飲み干せなかった場合は即座におかわりが注がれ、飲み干すまで解放されることはない。まさに体育会系の飲み会と言える。
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|| | ,,,,, 」,,,,< くそっ・・・
||| 【 一 ー 】 / |
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タイムパトロール蝶野「やっぱり来るんじゃなかったぜ・・・」
楽々とピッチャーの生ビールを飲み干した蝶野が、ひとりごちた。
タイムパトロール蝶野「どいつもこいつも浮かれやがって、くそが」
この日の大忘年会は、先日行われた恐竜密輸組織一斉検挙の『お疲れ様会』も兼ねていた。戦国の世においてドラえもん・零式を一人追う蝶野は当然、この大捕り物に参加していない。蝶野の存在は完全に浮き上がってしまっていた。
タイムパトロール猪木「どうした蝶野、ふさぎこんじまって。元気ですかァー!!」
タイムパトロール蝶野「当たり前だろう。一体いつまで、俺に単独捜査を続けさせるつもりだ」
タイムパトロール猪木「お前が逃がしたドラえもん・零式とかいうのを捕まえるまでだ、コノヤロー」
タイムパトロール蝶野「頼む、捜査員を増やしてくれ。一人では難しい。もしくは『ひみつ道具』をもっと使わせてくれ」
タイムパトロール猪木「護身用の武器以外の使用は許可できない。捜査員も増やせない。上からの通達だ」
タイムパトロール蝶野「そこを曲げて頼む。このままじゃあ、いつまで経っても・・・」
タイムパトロール猪木「元気があれば何でもできる! みんな、もう一回乾杯だ! イチ、ニ、サン・・・!」
タイムパトロール蝶野「おい、人の話を聞け! まだ俺の話は・・・!」
蝶野の懇願は虚しく、乾杯によってかき消されてしまったのであった。完全に不機嫌になった蝶野は二次会には参加せず、部下の操縦するタイムマシンの後部座席へと座り込んだ。
タイムパトロール蝶野「戦国の世まで頼む」
サンダーライガー刑事「お務め、ご苦労様です」
タイムパトロール蝶野「お前、マスク取れよ。暑苦しいんだよ」
サンダーライガー刑事「取るなって言われてまして、上から」
タイムパトロール蝶野「お前も大変だな・・・」
サンダーライガー刑事「俺も早くタイムパトロールになりたいっす」
タイムパトロール蝶野「もしなれたら、捜査を代わってくれや」
サンダーライガー刑事「え!?(汗) すみません、マスクのせいでよく聞き取れませんでした!」
タイムパトロール蝶野「・・・・・・」
15分ほどのち、蝶野は再び戦国の世へと足を踏み入れていた。
サンダーライガー刑事「・・・本当に、こんなところでよろしいので!?」
タイムパトロール蝶野「ああ、今はこの屋敷に捜査の拠点を置いているんだ。さあ、帰った帰った」
サンダーライガー刑事「それにしても着物、似合いますね。すっかりこの時代に染まったというか」
タイムパトロール蝶野「俺はこの時代では武州浪人・蝶野正右衛門で通してるんだ。ほれ、誰かに見られる前に帰れ」
サンダーライガー刑事「それでは、失礼します」
サンダーライガーが帰ったのを見届けてから、蝶野は玄関の引き戸を開け放った。
蝶野正右衛門「帰ったぞ、おみよ」
おみよ「お帰りなさいませ。今、お食事の支度を・・・」
蝶野正右衛門「いや、いい。食べてきた」
おみよ「では、お風呂の支度をして参ります」
蝶野正右衛門「いや、それもいい」
言うやいなや蝶野、おみよの身体を軽々と抱え上げ、寝室へとまっしぐらに向かった。
おみよ「ちょっ・・・ちょっと、旦那様・・・」
蝶野正右衛門「今夜は寝かさねえぜ」
戦国の世で腐っているかと思いきや、ちゃっかりこの時代の生活を楽しんでいる蝶野であった。ところ変わって越後は春日山の慶次の屋敷では、ドラえもん・零式と二人だけの、しんみりとした忘年会が開かれていた。
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|/ ── | ── ヽ | < この時期はやっぱり、熱燗が嬉しいね
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斜メ前田慶次「鍋うめえな。今日だけは褒めてやる」
ドラえもん・零式「今朝、市場でいい魚が手に入ってね。味付けもうまくいったよ」
斜メ前田慶次「こりゃあ、酒も進むな」
味噌仕立ての海鮮鍋に、慶次は時間を忘れて飲み食いに没頭していた。
ドラえもん・零式「ところで慶次君」
斜メ前田慶次「何だ?」
ドラえもん・零式「あの話はもう、コーエーに要望してくれたのかい?」
あの話か・・・と、慶次はうんざりした表情を見せた。というのも数日前に、ドラえもん・零式がふと慶次に持ちかけた話があったのだ。
ドラえもん・零式「僕を新しい軍神としてコーエーに推してくれないか?」
慶次にとっては失笑ものでしかなかった。信オンプレイヤーたちにしてみればこんなヨゴレが軍神になるなど到底耐えられるものではないだろう。それに、そもそもドラえもん・零式は有名になってはまずいのである。有名になればなるほど、タイムパトロールに嗅ぎつけられる可能性が高くなるからだ。
自称『子どもたちのアイドル』であるプライドが、彼にこのような言動を取らせたのであろうが、慶次はこの申し出を受けたとき、酒に酔っていたために「ああ、わかった、わかった」と返答してしまっていた。このときのやり取りが、忘年会となった今でも引きずっているのであった。
斜メ前田慶次「ああ、あの話か・・・」
ドラえもん・零式「たぶん次のアップデートで実装されるだろうけど、まだ結果を聞いていないよ」
斜メ前田慶次「いや、まだコーエーに要望を出していない。俺の中の人が忙しくて、なかなかログインできねえんだ」
ドラえもん・零式「そうだったのか。じゃあ、どんなに遅くとも年内中に要望を出しておいてくれよ」
斜メ前田慶次「そんなことより、まさかお前の四次元ポケットの中に、あれだけの数のピンク・ロータリーが入っていたとは思わなかったぜ」
ドラえもん・零式「僕は子供たちに限らず、大人の女性たちのアイドルでもあるからね。出して欲しいと言われた時にいつでも出せるようにさ。もっとも、この時代には必要ない物だけど」
大山のぶ代ボイスで大人のおもちゃを四次元ポケットから取り出すドラえもん・・・できれば想像したくないものである。
斜メ前田慶次「あまりに数が多くて、クリスマスの夜、配って回るのに骨が折れたぞ」
ドラえもん・零式「そもそも、君がどうして配って回ったのか謎なんだけど」
斜メ前田慶次「何を言ってやがる。お前が『(男に)恵まれない人たちに寄付して回れ』って言ったんじゃねえか」
ドラえもん・零式「・・・な、何を言い出すんだ! それじゃあ、僕がまるでヨゴレじゃないか! 僕は処分を頼んだだけだぞ!」
斜メ前田慶次「いいや、お前は確かに俺にこう言った。『これで救われる女性がきっといるはず』と」
ドラえもん・零式「・・・言ってない! 僕は言ってないぞ! 皆さーん! 信じてください!! この男が僕をヨゴレにしようとしています!!」
カメラ目線で必死に読者へ呼びかけるドラえもん・零式。
斜メ前田慶次「・・・どこに向かって話してんだよ」
ドラえもん・零式「こ、こっちの話だ! とにかく、僕を陥れるようなことを言うな! 僕にはアイドルとしての立場が・・・」
斜メ前田慶次「それよりも、俺は悲しいぞ、ドラ」
ドラえもん・零式「な、何がだ!?」
斜メ前田慶次「お前は結局、今年も俺に心を開いてくれなかった」
ドラえもん・零式「何を言い出すんだ。僕は君のことを家族だと思っているよ」
斜メ前田慶次「いいや、お前はまださらけ出していない。本当の自分を」
ドラえもん・零式「どうしてそう思うんだい? 僕は昔から、心を開いて言いたいことを言ってきたつも・・・」
ここに来てとうとう、慶次が何を言いたいのか気付いたドラえもん・零式の身体が小刻みに震えだした。
ドラえもん・零式「ま、まさか君は・・・! この期に及んでなお・・・!」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「まだ僕が実は着ぐるみで、中に人がいると思っているのか・・・! まだ、そんなことを考えていたのか・・・!」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
酒に酔ったためか、慶次の目が据わっている。話を聞いているのかすらわからない。ドラえもん・零式は恐怖を感じた。
ドラえもん・零式「なら、今この場ではっきり言ってやる! いいかい、このドラえもん・零式に・・・」
斜メ前田慶次「・・・・・・」
ドラえもん・零式「中の人などいない!」
斜メ前田慶次「・・・着ぐるみを脱がせてみれば、わかるってもんよ」
ドラえもん・零式「な なにをする きさまー!」
慶次とドラえもん・零式は慶次の部屋の中でもみ合った。
ドラえもん・零式「・・・は、放せー!」
斜メ前田慶次「ふん! ふん!」
ドラえもん・零式「・・・人の話を聞け! こら! このイカレめ!」
斜メ前田慶次「ふん! ふん! ふーん!」
ドラえもん・零式「ちょっ・・・!」
抵抗むなしく、慶次によって床の上に引き倒されるドラえもん・零式。
ドラえもん・零式「・・・ちょっ! もう! ああもう! ああ! 誰か何とか言ってやって下さい!!」
やがて寝技・関節技の応酬となり、二人が汗だくになって床を転げ回っているその頃・・・。蝶野もまたおみよ相手に、夜のシネマティック・クローズドバトルを展開していた。
・・・さて、相変わらずなかなかログインできない日々が続いていますが、たまにログインしては、ぼちぼちと巻き込み戦をマイペースで楽しんでいます。

しかしそれにしても、女傾奇の新しい装備、何ですかこれは! 全くはしたない・・・はしたなすぎますよ!

前から見ても後ろから見ても、はしたない! ああ、一体何ということでしょう! 風紀が乱れに乱れています!

・・・特にここ! ここがはしたない! いいんですか! こんなんで! こんな世の中でいいんですか! 個人的にはオーケーですけどね!
まあそれと、ダンジョンの使い回しはどうかと思いました。さすがに丸っきり同じでは・・・数ヶ月前に要望で出した新ダンジョン『田屋の洞窟』、是非使って下さいコーエーさん。ちなみにドラえもん・零式は新軍神にしなくていいです。それでは今日の日記はこの辺で。