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入ってくんな、の巻

doraemon.jpg

ドラえもん・零式「・・・ん?」

 この日もドラえもん・零式は人間の姿に化け、売り子として立っていたのだが、慶次の部屋から「ドスン」「バタン」などというやかましい音が響いてくることに気付いた。

ドラえもん・零式「客も来ないようだし、ちょっと様子を見に行ってみるか」

 そしてドラえもん・零式が慶次の部屋の前まで足を運んだところ、ちょうど中から慶次が慌ただしく出てこようとしたため、危うくぶつかりそうになったのであった。

斜メ前田慶次「うおっ!」
ドラえもん・零式「うわっ!」
斜メ前田慶次「何だ? 何かあったのか?」
ドラえもん・零式「・・・いや、妙な物音がしたから、何かと思ってね」
斜メ前田慶次「いや、別に。部屋の大掃除を始めただけだ」

 そう言いながら、後ろ手で部屋の引き戸を閉める慶次。

ドラえもん・零式「ん?」
斜メ前田慶次「な、何だよ」
ドラえもん・零式「掃除するんだろう?」
斜メ前田慶次「ああ」
ドラえもん・零式「戸は開けっ放しのほうがいいんじゃないかい?」
斜メ前田慶次「ん。まあ、そうだな。ひとまずお前は売り子の仕事に戻れ」
ドラえもん・零式「・・・・・・」
斜メ前田慶次「・・・どうした?」
ドラえもん・零式「僕も手伝おう」

 そう言うや否や、ドラえもん・零式は変装を解き、元の姿へと戻ったのであった。
      _____
    / -、 -、   \
   /   |  ・|・  | 、    \
  / / `-●-′ \    ヽ    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  |/ ── |  ──   ヽ   |  < ・・・さて、始めようか
  |. ── |  ──    |   |    \_________
  | ── |  ──     |   l
  ヽ (__|____  / /
   \           / /
    l━━(零)━━━━┥

斜メ前田慶次「いや、いいって。売り子やってろよ」
ドラえもん・零式「いいや。僕は居候の身だし、是非とも手伝わせてもらおう」
斜メ前田慶次「いいって言ってるだろう」
ドラえもん・零式「遠慮はいらないよ。どうせ客も来ないし」

 慶次の制止を無視し、部屋に入ろうとするドラえもん・零式。

斜メ前田慶次「戻れってんだよ!」
ドラえもん・零式「そこをどきたまえ」
斜メ前田慶次「というか今、この状況を誰かに見られたらどうするんだよ」
ドラえもん・零式「・・・ん?」
斜メ前田慶次「楽市で検索して、いざ買い物をしに屋敷へ入ったら」
斜メ前田慶次「そこに何故かドラえもんがいるという、この状況だ」
ドラえもん・零式「ふむ」
斜メ前田慶次「間違いなく、お前の姿を見たプレイヤーはGMに通報するだろうな」

2012123001.jpg

斜メ前田慶次「誰だってそーする おれもそーする」
ドラえもん・零式「そりゃあそうだろうね。でも仮にそうなったとしても」
斜メ前田慶次「ん?」
ドラえもん・零式「君が垢バンされるだけであって、僕に実害はない」
斜メ前田慶次「お前ふざけんな」
ドラえもん・零式「さあ、始めようか」
斜メ前田慶次「だから、いいって言ってんだろうが!」
ドラえもん・零式「ころしてでも そうじする」
斜メ前田慶次「な なにをする きさまー!」

 ドラえもん・零式と慶次は年内最後に慶次の部屋の前でもみ合った。

ドラえもん・零式「・・・何か! 何かアブノーマルな物を隠しているんだろう! 見せろ!」
斜メ前田慶次「お前、そういうことを大声で叫ぶな! 近所に聞こえるだろ!」
ドラえもん・零式「あれか! [ピー]か!? それとも[ピー]か!!」
斜メ前田慶次「だから、声がでかいって言ってんだろうが!」
ドラえもん・零式「問答無用!!」
斜メ前田慶次「というか、俺が垢バンされたら、このブログも終わっちまうだろうが!!」





 というわけで、年内最後の更新となります。皆さま、ご愛読まことにありがとうございました。信onのブログでありながら、信onと関係ない記事を書くこともしばしばでしたが、

 それでもこのブログを見に来て頂いてる方々、コメントを残して下さる方々に支えられて、こうして年末を迎えることができました。前田慶次打倒まではまだまだ道のりが遠そうですが、

 来年も変わらず、マイペースで信onとブログを続けていこうと思います。そしていずれは必ずや、前田慶次を・・・! というわけで、今日の日記はこの辺で。皆様、良いお年を! ノシ
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Date: 2012.12.31
Category: 信on
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蝶野と願鬼坊の巻・後編

タイムパトロール蝶野「まさか・・・お前・・・!」
平井願鬼坊「そうだ、この俺が『鼻削ぎ願鬼坊』だ」

 『鼻削ぎ願鬼坊』の噂は蝶野も耳にしたことがあったが、まさかに昨晩、共に飲み明かした男がその鼻削ぎ願鬼坊だったとは。ドラえもん・零式の捜索にばかり気を取られ、タイムパトロール隊員としての勘が鈍ってしまっていたことを、蝶野は恥じた。

鼻削ぎ願鬼坊「その鼻、一体どれだけの数だと思うね?」

 答えず、地面にこぼれ出た大量の人間の鼻を注意深く観察する。おそらく、百は下るまい。眉をしかめ、鼻削ぎ願鬼坊を睨み据えた。

鼻削ぎ願鬼坊「無駄だとは思うが、念のため訊いてみようか」
タイムパトロール蝶野「・・・何だ?」
鼻削ぎ願鬼坊「一緒にやらないか?」
タイムパトロール蝶野「こんなキ〇ガイじみたことをか? 断る」
鼻削ぎ願鬼坊「キ〇ガイと言ったな? この俺を、キ〇ガイと言ったな!」
タイムパトロール蝶野「言ったがどうした」
鼻削ぎ願鬼坊「死ね」

 鼻削ぎ願鬼坊、手にしていた大薙刀を中段に構え、相変わらず不敵に笑っている。

鼻削ぎ願鬼坊「抜けい」
タイムパトロール蝶野「やめておけ」
鼻削ぎ願鬼坊「臆したか?」
タイムパトロール蝶野「俺はこの時代の犯罪に首を突っ込む気はねえんだよ」
鼻削ぎ願鬼坊「何を言っている?」
タイムパトロール蝶野「見逃してやるから、さっさと行けってことだ」
鼻削ぎ願鬼坊「・・・何を!」

 鼻削ぎ願鬼坊の表情が一変した。

鼻削ぎ願鬼坊「生きたまま、その鼻を削いでくれる!」
タイムパトロール蝶野「やめておけと言っているだろう」
鼻削ぎ願鬼坊「抜けい! 抜かんか!」
タイムパトロール蝶野「・・・しょうがねえな」

 蝶野が刀の鯉口を切り、勢いよく抜き放った。

lightsaber.jpg

鼻削ぎ願鬼坊「・・・!?」

 まさかのライトセーバーの出現に、困惑する鼻削ぎ願鬼坊であった。無理もない。視覚効果付きの武器なら何度か目にしたことはあるが、この刀はそういった類のものとは全く違っているのだ。

タイムパトロール蝶野「・・・まあ、何だ。テメエは」
鼻削ぎ願鬼坊「・・・・・・」
タイムパトロール蝶野「放っておいても、またロクでもねえことをするだろうし」
鼻削ぎ願鬼坊「・・・・・・」
タイムパトロール蝶野「ここで殺すとしよう」
鼻削ぎ願鬼坊「ぐっ・・・」

 ライトセーバーを正眼に構えた蝶野に、鼻削ぎ願鬼坊は完全に圧倒されていた。

タイムパトロール蝶野「どうした? かかって来いよ」
鼻削ぎ願鬼坊「うぐ・・・」
タイムパトロール蝶野「来ないなら、こっちから行くぞ」

 蝶野が一歩間合いを詰めるごとに、鼻削ぎ願鬼坊も一歩後ずさる。この時すでに、鼻削ぎ願鬼坊の全身が冷汗にまみれていた。

鼻削ぎ願鬼坊「・・・ハアッ・・・ハアッ・・・」

 得体の知れない恐怖に、呼吸までもが乱れ始めていた。

タイムパトロール蝶野「つまらねえな。タイムパトロール仕込みの剣道を見せてやろうと思ったんだがな」
鼻削ぎ願鬼坊「・・・貴様・・・一体、何者・・・!?」
タイムパトロール蝶野「・・・じゃあ、ほれ」

 言うやいなや、鼻削ぎ願鬼坊に背を向ける蝶野であった。

タイムパトロール蝶野「これなら怖くないだろう? さあ、来いよ」
鼻削ぎ願鬼坊「う・・・」
タイムパトロール蝶野「何だ? 背を向けている人間でも怖いのか?」

 蝶野の挑発に、鼻削ぎ願鬼坊の中で何かが弾けた。

鼻削ぎ願鬼坊「・・・うおおおーーー!!」

 大薙刀を上段に構え直し、咆哮すると鼻削ぎ願鬼坊は飛び上がった。

鼻削ぎ願鬼坊「・・・喰らえ! 飛天発遣撃!!」

 完全に蝶野の後頭部を捉えたはずの刃は、虚しく空を切った。

鼻削ぎ願鬼坊「・・・いない!? どこへ!」
タイムパトロール蝶野「ここだ」

 蝶野の返答と、鼻削ぎ願鬼坊の鼻がライトセーバーで削ぎ落とされたのは、ほぼ同時のことであった。

鼻削ぎ願鬼坊「・・・ぐあああっ!?」
タイムパトロール蝶野「ふんっ!」

 間髪入れず、切断された鼻削ぎ願鬼坊の両腕が、大薙刀を握ったまま地面に落ちた。

鼻削ぎ願鬼坊「・・・ぎゃああああーーー!!」
タイムパトロール蝶野「じゃあ、死ね」

 鼻削ぎ願鬼坊の喉元にトドメの突きを入れたはずだったが、何故か「ピシン!」という音と共に弾かれてしまった。

タイムパトロール蝶野「・・・極楽浄土・改か。悪あがきしやがって」
鼻削ぎ願鬼坊「・・・ハアッ・・・ハアッ・・・!」

 鼻削ぎ願鬼坊の抵抗はもはやここまでであった。力なく仰向けに倒れ、極楽浄土・改の効果が切れる90秒後を待つのみとなったのであった。
 
タイムパトロール蝶野「一晩飲み合った仲だ。何か言い残すことはあるか?」
鼻削ぎ願鬼坊「・・・ウグ・・・グ・・・!」
タイムパトロール蝶野「ほら、早く言えよ」
鼻削ぎ願鬼坊「・・・ーナ・・・・オヴー・・・・ナ・・・」
タイムパトロール蝶野「あ? 何だって?」
鼻削ぎ願鬼坊「・・・オヴー・・・」

 やがて極楽浄土・改の効果が切れ・・・蝶野は今度こそ鼻削ぎ願鬼坊の喉元にトドメの突きを入れたのであった。

タイムパトロール蝶野「俺も・・・俺も残念だったよ、鼻削ぎ願鬼坊。いや、平井うじ」
タイムパトロール蝶野「お主とは、良い友になれたと思ったのにな・・・」

 ライトセーバーを鞘に納めながら悲しげに呟く蝶野と、その姿を木陰から見守る一人の旅の僧の姿がそこにあった。

旅の僧「・・・こりゃあ、面白いモンを見た・・・!」
旅の僧「春日山に着いたら、慶次に放してやらにゃあならんな」
Date: 2012.12.28
Category: 信on
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蝶野と願鬼坊の巻・前編

 カレー事件の日に、ドラえもん・零式が慶次に関節技を極めているその頃・・・武州浪人、蝶野正右衛門ことタイムパトロール蝶野は、越後・浅貝宿の某旅籠にて旅装を解いた。

   /""""""""彡
  / 〈~~~~~^
 |  /        |
 | / ´\  ハ /` |
 |./| ̄ ̄|冖| ̄ ̄|   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 (6|~`― ´ |`―‐′ |
 || |    ,,,,, 」,,,,<  くそっ・・・!
 |||  【 一 ー 】 /    |
 || \   丁  /    \_______
彡|   \__/ |

タイムパトロール蝶野「駄目だ、見つからねえ・・・!」

 表情から苦悩が滲み出ている。無理もない。日本全国を歩き回って、未だ何の成果も出せていないのだ。『ドラえもん・零式 蔵匿容疑者リスト』に載っている人間は、全てシロであることも判明した。

タイムパトロール蝶野「・・・風呂でも行ってくるか」

 ボーナスは大幅にカットされ、捜査員の増員を求めるメールをタイムパトロール本部に送っても、なしのつぶてであった。しかし、「いったん22世紀に戻りたい」というメールには、何故かすぐに返事が返ってくるのだ。

「戦国の世にとどまり、捜査を続けよ」

タイムパトロール蝶野「くそっ・・・一体、どうしろってんだ」

 呟きながら風呂へと向かう廊下を歩いていると、つい先ほど風呂から上がったのであろう巨漢に声をかけられた。

???「・・・もし、旅のお方とお見受けするが」
タイムパトロール蝶野「はい?」
???「この人相の娘をどこかで見かけませんでしたかな」

            / ̄\
            |    |
            \_/
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    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    |   ワ     ゴ      ン   |

 紛れもなく、呪いが解ける前のオフーナである。オフーナを捜している人間といえば・・・

タイムパトロール蝶野「・・・変わった人相ですな」
???「ええ、そうなんですよ。見覚えはありませんかな?」
タイムパトロール蝶野「いや、見たことはありませんな」
???「さようでしたか。呼び止めて失礼いたした」
タイムパトロール蝶野「・・・あ! ついでと言っては何ですが」
???「はい?」
タイムパトロール蝶野「実は拙者も人探しをしておりまして、この人相の者をどこかで見かけませんでしたか?」
      _____
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???「・・・変わった人相ですな」
タイムパトロール蝶野「ええ、そうなんですよ。見覚えはありませんかな?」
???「いや、見たことはありませんな」
タイムパトロール蝶野「さようでしたか。呼び止めて失礼いたした」

 ここまで言って、二人ともクックックと笑い合った。

???「どうやら、お互いに人探しで苦労をしているようですな」
タイムパトロール蝶野「どうやら、そのようですな」
???「私の部屋は、あの部屋です。もしよろしければ、一杯飲りませんか?」
タイムパトロール蝶野「いいですな。風呂から上がったら、お邪魔させていただきます」
???「お待ちしております。最近は、一人で飲むことが多いので、相手が欲しかったところでして」
タイムパトロール蝶野「それは私も同じでしてな。そうだ、お名前をうかがっておきましょうか」
???「私は、旅の僧で、平井願鬼坊と申します」
タイムパトロール蝶野「拙者は・・・武州浪人・蝶野正右衛門と申します」

 結局、朝まで飲み明かした二人は、酒臭い息を放ちながら旅籠の門を出たのであった。

平井願鬼坊「まだ、酔いが抜けきりません。参りましたな」
タイムパトロール蝶野「拙者も同じく・・・」
平井願鬼坊「私はこの後、上州へ向かいます。お達者で」
タイムパトロール蝶野「拙者は金沢へ向かってみるつもりです。見つかると良いですな」
平井願鬼坊「お互いに。では・・・」

 二人が挨拶を交わし、それぞれの方向へと歩き出した時・・・蝶野の背後から、ガタッという音が聞こえてきた。

平井願鬼坊「おっと、しまった。桶が・・・」

 何気なく振り返った蝶野の目に、信じられないものが飛び込んできた。何と塩漬けにされた大量の人の鼻が、桶から地面にこぼれ出ていたのであった。

タイムパトロール蝶野「・・・こっ、これは!? 人の鼻!?」
平井願鬼坊「・・・見てしまいましたか」

 不敵に笑う平井願鬼坊に、蝶野は戦慄を覚えた。

タイムパトロール蝶野「これは一体どういうことだ! 何故、人の鼻をこんなに・・・!」
平井願鬼坊「残念です、残念ですよ。あなたとは良い友になれたと思っていたのに」
タイムパトロール蝶野「まさか・・・お前・・・!」
平井願鬼坊「そうだ、この俺が『鼻削ぎ願鬼坊』だ」

続く
Date: 2012.12.27
Category: 信on
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戦国の女の巻

斜メ前田慶次「・・・ん? ありゃあ幸村殿か!?」

 この日の昼下がり。春日山の一画にある傾城町(けいせいまち)にて、挙動不審な具田幸村を見かけた慶次であったが、敢えて声をかけず、様子を窺うことにした。ちなみに傾城町とは、平成の世で言う風俗街のことである。

 幸村は傾城町にあるうちの、一つの遊女屋に入ろうとしては、うなだれて引き返すことを繰り返していた。おそらく、入ろうとして勇気が出ずに、このような行動を取り続けているのであろう。呆れた慶次はたまらずに幸村に声をかけた。

斜メ前田慶次「・・・幸村殿」
具田幸村「うわっ!? な、斜メ前田殿か!」
斜メ前田慶次「何やってんだよ。さっきから、うろうろ、うろうろと」
具田幸村「い、いや、別に何も・・・」
斜メ前田慶次「全く、お主はバイト代を握りしめてきたものの、勇気の出ない大学生か」
具田幸村「な、何のことだかわからん! 失礼いたす!」
斜メ前田慶次「ちょっ、待てよぉ」

 慶次からキムタク風に声をかけられ、足を止める幸村。

斜メ前田慶次「正直に言え。童貞を捨てようとして来たんだろう?」
具田幸村「何を言われる! 俺は童貞じゃない!」
斜メ前田慶次「じゃあ、初体験はいつなんだ?」
具田幸村「そ、それは・・・!」
斜メ前田慶次「即答できない理由は何だ?」
具田幸村「わ、忘れただけだ!」
斜メ前田慶次「忘れるかね、普通。強烈な印象として残るはずだがな」

 じろりと見やる慶次に、幸村が苦し紛れに叫ぶ。

具田幸村「人間には触れちゃならん痛みがあるんだ!!」
具田幸村「其処に触れたらあとはもう生命のやり取りしか残らんのだ!!」
斜メ前田慶次「・・・やれやれ、またそれかよ」

 頭をボリボリと掻きながら呟く慶次であった。

斜メ前田慶次「・・・お主には、惚れた女はいないのか?」
具田幸村「い、いるっちゃいるが・・・」
斜メ前田慶次「気持ちは伝えたのか?」
具田幸村「い、いや、伝えてない」
斜メ前田慶次「何故?」
具田幸村「何故って、そりゃあ無理ってもんだろう」
斜メ前田慶次「何が無理なんだ?」

 答えず、顔を真っ赤にする幸村を見るに及び、たちまちに慶次が看破した。

斜メ前田慶次「勇気が出ないのと、断られるのが怖いってとこか」
具田幸村「う・・・」
斜メ前田慶次「こんなとこで勇気を使うくらいなら、いっそアタックしてこい」
具田幸村「そんな、いきなり! 無理だって!」
斜メ前田慶次「駄目だ、行くぞ。その女はどこにいるんだ?」
具田幸村「し、信濃の具田の庄に・・・でも、本当無理だって!」
斜メ前田慶次「行かないのなら、雇いを解く。どこへでも行け」
具田幸村「そんな殺生な!」
斜メ前田慶次「暇だから俺も付き合ってやるよ」

 そんなわけで、慶次と幸村の二人は、具田の庄のとある寺にやってきたのであった。

具田幸村「俺はここでガキの頃から佐助と共に”甲陽流忍術”を汲む体術を習っていたんだ」
斜メ前田慶次「ほ~~~」
具田幸村「佐助!! 佐助はおるか!!」

 石段の下から声をかけたものの、返事はない。

斜メ前田慶次「佐助って誰だ?」
具田幸村「子供の頃に誓い合った男です・・・いつの日か俺が”いくさ”に出陣する時、」
具田幸村「一緒に戦ってくれると誓ってくれた”友”です・・・」
斜メ前田慶次「まあ、今の信onの仕様じゃ家臣は合戦に来れないけどな」
具田幸村「・・・・・・」
斜メ前田慶次「で、この寺にお主の惚れた女がいると?」
具田幸村「そうなんだ。実はその男には妹が一人おってな・・・俺が生まれて初めて惚れた女なんだ」
斜メ前田慶次「そうかそうか。じゃあ行くぞ」

 石段を上りきるとそこには、地面に据え付けられた木馬を用い、無言で馬飛びを続けている坊主がいたのであった。

斜メ前田慶次「・・・あれが佐助殿か?」
具田幸村「あいつ馬鹿だから、暇さえあれば馬飛びばっかりしてるんだ。おい、佐助!!」
馬飛佐助「・・・幸村か」

 馬飛びを続けながら、返事をする佐助であった。

馬飛佐助「久しぶりだな。今日は何の用だ?」
具田幸村「お、俺は今日こそ、お前の妹の紗霧(さぎり)殿に気持ちを伝えるぞ!」
馬飛佐助「何っ!? それは駄目だ! 帰れ!!」
具田幸村「いいや、帰らん! 紗霧殿はあの部屋にいるんだろう?」
馬飛佐助「帰れ!! それ以上来たら殺す!!」
具田幸村「冗談じゃねえぞ!! このヤロォー!! 俺は行くからな!!」

 紗霧の居場所に見当のついている幸村は、彼女のいるであろう方角へと走り去った。慌てて後を追う慶次と佐助。

馬飛佐助「・・・帰れと言っているのに!! 馬鹿めが!!」
斜メ前田慶次「・・・どうして行ったらいけないんだ!?」
馬飛佐助「く・・・くそっ!! 幸村よ遅い! 来るのが遅すぎるのだ!!」

 慶次と佐助が追いついた先には・・・雨戸の閉じられた部屋の中から聞こえてくる若い男女の喘ぎ声を聞き、茫然と立ち尽くしている幸村の姿があった。

具田幸村「・・・・・・」
紗霧の夫「ハアッ、ハアッ、ハアッ・・・」
紗霧「あっ、あっ、ああ・・・」
馬飛佐助「紗霧は最近、結婚してな・・・よほど好き合っているのか、」
馬飛佐助「昼夜問わず、ズッコンバッコンなのだ・・・」
具田幸村「・・・・・・」
紗霧「・・・あっ、あっはあーん!」
斜メ前田慶次「・・・こ、こりゃあ、参ったな・・・」
馬飛佐助「なぜだ!! 神仏よなぜ今しばしの時を給わぬ!!」
馬飛佐助「幸村の心の準備ができる今しばしの時を!!」
紗霧の夫「こ、ここか・・・ここがいいのか・・・!?」
紗霧「い、いいっ・・・! あっ!」

 大粒の涙を流し、立ちすくむ幸村の肩に手をかけ、慶次が優しく語りかけた。

斜メ前田慶次「幸村殿・・・結ばれるばかりが恋じゃないさ」
紗霧の夫「ハアッ、ハアッ、ハアッ・・・」
紗霧「あんっ、あっ、ああー!!」
斜メ前田慶次「耐えに耐え忍ぶも恋の至極」
紗霧「あっ、そこは、ダメ・・・」
紗霧の夫「い、いいじゃないか・・・ほれ・・・」
斜メ前田慶次「待てばいいさ、この恋が、」
紗霧「・・・あっ! あっ! ああっーーーーーーーー!!」
紗霧の夫「・・・おっ! おっ! おっ!」
斜メ前田慶次「・・・うるせえぞテメエら、このヤローーーーー!!」

 その後、春日山に戻った慶次と幸村は、朝までヤケ酒を飲み続けたという。
Date: 2012.12.27
Category: 信on
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忘却の魔境の3をクリアしました、の巻

2912122401.jpg

常世神「・・・だから! 意味の無い素殴りすんなって言ってんだろうが!」
黄泉の楔「ええっ!?」
黄泉醜女「ありえない! ありえないね! ホントに!」
イザナミ「ちょっとアンタたち、仲良くしなさい・・・」
常世神「姐さんは黙ってて下さい!」
イザナミ「・・・・・・」
常世神「おめー、少しは考えて行動しろよ? 何年信onやってんだよ!」
黄泉の楔「りょ、了解」

2012122402.jpg

黄泉の楔「叩き割り・弐」
常世神「弐の意味がさっぱりわかんねえ!」
黄泉の楔「ええっ!?」
常世神「気合が足りないわけでもないのに、何で弐なんだよ、おい!」
黄泉醜女「ありえない! ありえないね! ホントに!」
イザナミ「ちょっとアンタたち、仲良くしなさい・・・」
常世神「姐さんは黙ってて下さい!」
イザナミ「・・・・・・」
常世神「だからおめーは、プレイヤーから馬鹿にされんだよ!」
黄泉の楔「ええっ!? 俺、馬鹿にされてんの!?」
常世神「放っておいて大丈夫とか、いる意味ないとか言われてんだろうが! いい加減気付けよ!」
黄泉醜女「ありえない! ありえないね! ホントに!」
黄泉の楔「・・・ち、ちくしょおおおーーーー!!」

2012122403.jpg

黄泉の楔「馬鹿にしやがって!!」
黄泉の澱み「だから素殴りすんなって言ってんだろうが! 何でわかんねえんだよ!」
黄泉の楔「あ! 申し訳ない」
黄泉の澱み「全く、お前が足引っ張るせいで、勝てるものも勝てねえよ!」
イザナミ「ちょっとアンタたち、仲良くしなさい・・・」
黄泉の澱み「姐さんは黙ってて下さい!」
イザナミ「・・・・・・」
黄泉の澱み「ああもう! 俺また死んだわ! あーもう!!」
イザナミ「・・・黄泉の楔」
黄泉の楔「はい」
イザナミ「貴方はやればできます。自信を持ちなさい」
黄泉の楔「・・・・・・」
イザナミ「みんなが厳しいこと言うのは、貴方のことを思えばこそです」
黄泉の楔「・・・・・・」
イザナミ「今まで駄目だったとしても、今後頑張ればいいんですよ」
黄泉の楔「姐さん・・・」
イザナミ「私は何があっても、貴方を見捨てませんよ」
黄泉の楔「姐さん・・・ありがとうございます・・・」
イザナミ「さあ、次の行動からが、貴方の再スタートです」
黄泉の楔「はい!」

2012122404.jpg

黄泉の楔「発散薬」
イザナミ「・・・このドグサレがあーーーーーーー!!」
黄泉の楔「ええっ!?」
イザナミ「もう死ね! 死んでしまえ!! 発散薬とか! ああもう! こいつマジでいらねえ!!」
黄泉の楔「えっ、ちょっ、姐さん!? 姐さん!?」

斜メ前田慶次「・・・何か向こう、ずっとモメてんな」
拾丸「2のせいじゃないですかね? 意味不明な行動ばっかりしてますし」
斜メ前田慶次「お、今度は意味不明な怪光線撃ってきたぞ」

 斜メ前田慶次主従、漸く忘却の魔境の3を突破できました。では今日の日記はこの辺で ノシ
Date: 2012.12.24
Category: 信on
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煮込んでいる場合か、の巻

 その日の夕方頃。狩りを終えた慶次が春日山の自宅に向かっていたところ、

斜メ前田慶次「・・・!? こりゃ、カレーの匂いか?」

 慶次が呟いたとおり、何処かの家から旨そうなカレーの匂いが漂ってきていた。とは言え、戦国の世の食卓にカレーライスが上ることなど、まず考えられない。嫌な予感がした慶次は、自宅へと足を早めることとなった。
      _____
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  |/ ── |  ──   ヽ   |  < おかえり。今日はカレーだよ
  |. ── |  ──    |   |    \____________
  | ── |  ──     |   l
  ヽ (__|____  / /
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    l━━(零)━━━━┥

 嫌な予感は的中していた。やはりドラえもん・零式の仕業であった。すでに膳の上の皿にはカレーライスが盛り付けられており、福神漬まで丁寧に添えられていた。

斜メ前田慶次「ドラ、お前・・・」
ドラえもん・零式「君が帰ってくるのを、今か今かと待っていたんだよ」
斜メ前田慶次「お前な、カレーはないだろ。カレーは」
ドラえもん・零式「たまにはいいじゃないか。さあ、食べよう」

 慶次の言うことを意に介さず、膳の前に座るドラえもん・零式。

ドラえもん・零式「君が家を出てから作り始めて、今までずっと煮込んでいたんだよ」
斜メ前田慶次「ずっと、だと!?」
ドラえもん・零式「ふふふ・・・弱火でじっくりコトコトとね。こりゃあ、間違いなく旨いよ」

 慶次はドラえもん・零式を怒鳴りつけてやりたくなった。もしもタイムパトロール蝶野がたまたま近所を通りかかっていたとしたら、間違いなく踏み込まれていたであろう。

 しかし慶次とて人間である。空腹には勝てない。ひとまずスプーンを手に取り、じっくりコトコト煮込まれたカレーを口に運んだ。旨い。さすがに自慢するだけのことはある。だが・・・
      _____
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  ヽ (__|____  / /
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    l━━(零)━━━━┥

斜メ前田慶次「・・・旨い」
ドラえもん・零式「そうだろう、そうだろう」

 ドヤ顔のドラえもん・零式もまたスプーンを手に取った。そして一口分をすくい、

ドラえもん・零式「うひひひw」

 恍惚の表情でスプーンを口に運ぼうとした瞬間、何と慶次がドラえもん・零式に飛びかかった。

ドラえもん・零式「な なにをする きさまー!」

 慶次とドラえもん・零式は、カレーの匂いが充満している慶次の自室でもみ合った。

ドラえもん・零式「・・・放せ! 狂ったか!」

 慶次は返事をせず、無言でドラえもん・零式に組みついている。端から見ればドラえもん・零式の言うとおり、狂っているようにも見える。しかし慶次は決して狂っていなかった。

 緊張感、危機感が薄れてしまっているドラえもん・零式の意識に警鐘を鳴らすべく、していることなのである。「今、何が起こってもおかしくねえんだ」ということを身体で教えるつもりなのだ。

ドラえもん・零式「・・・うおおっ!」

 慶次を振り払い、脾腹に強烈な蹴りを入れる。

斜メ前田慶次「ぐえっ!」

 悶絶する慶次には目もくれず、スプーンを手に取り、急いで口に運ぼうとしたが、動揺しているため手につかない。そんなドラえもん・零式に、息を吹き返した慶次が背後から再び組みつく。

ドラえもん・零式「・・・は、放せー!!」
斜メ前田慶次「ふん! ふん!」

 慶次によって床に引き倒されるドラえもん・零式。

ドラえもん・零式「食べさせろって!!」

 やがて寝技の応酬となり、二人が汗だくになって床を転げ回っているその頃・・・。未だに単独捜査を続けているタイムパトロール蝶野は、雪の三国峠を踏破し、越後へ入ろうとしていた。
Date: 2012.12.23
Category: 信on
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近況報告の巻

 こんばんは、斜メ前田慶次の中の人です。今日は近況報告などを。

 忘却の魔境に行くことで家臣団資金が貯まり、ポイント狩りにもなるということで、最近はちょくちょく家臣団を連れて忘却の魔境に行っています。そこで気が付いたことがあるのですが、

2012121901.jpg

 家臣の刀鍛冶が開幕に『怒りの拳』を使用すると、

2012121902.jpg

 「技の効果はなかった」と表示されるものの、効果は出るみたいなのですが、これって仕様なんですかね。初めて見た時は少しうろたえました。細かいことかもしれませんが、コーエーテクモゲームスさん、何とかして下さい。お願いします。

 話は変わりますが、いつの間にやら慶次のレベルが62になっていました。しかしながら、どうにも生命の数値が低いです。傾奇者だけに腕っぷしが強くなければならない、他人の目を惹きつけなければならない、と思い腕力魅力振りにしましたが、長期報酬で変えてみようかどうか検討中です。

 そういえば先日の輪島の大決戦では、初めて党首をしました。

2012121903.jpg

 どうにも待っているのが苦手な性分でして、「募集がないなら募集してみるか!」という感じで募集してみたら、最終的に4人の方に入って頂けました。ありがとうございます。何ぶん不慣れでして、ご迷惑をおかけしたかもしれませんが、今後もちょくちょくやっていこうと思いますので、その時はまたよろしくお願いします。

 ちなみに今回は大決戦で初党首をしましたが、通常の合戦でもN狩り徒党の募集をするのってアリなのでしょうか。実はそのへんがよくわかっていません。というのも、実は私はゲリラが苦手です。一緒に走って行っても、ネット環境のせいなのか、周りにどんどん追い抜かれてしまい、

 目指す陣に辿り着いた時には既に定員オーバーになっており、Nに絡まれて死亡、もしくはPに叩かれて死亡の繰り返しになっているのが現状です。「ならば・・・」と思うのですが、どうなんですかね。まあ、ひとまず今後の合戦で試してみようかと思います。

 今日はこんな感じで。何か、普通に書くと楽なのですが、いまいち物足りないですね。ではでは ノシ
Date: 2012.12.19
Category: 信on
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具田幸村の特化取得の巻・其の参

2012121601.jpg

斜メ前田慶次「・・・・・・!」
具田幸村「ケイジさん!」
斜メ前田慶次「ああ、そうだな・・・蓋を開けよう・・・!」

 言うやいなやケイジ、蓋を開け放ち、中を一瞥するとすぐに蓋を閉じた。八方手裏剣はすでに懐にしまわれている。

具田幸村「・・・なっ!?」

 そしてその直後、「ドンッ!」という衝撃とともに、窯の中にいる才蔵が悲鳴を上げたのであった。

抜け忍の才蔵「・・・ぐあっ!!」

 幸村は何が起こったのかわからず、慶次と窯を交互に見やっている。一方、ケイジ(以下、慶次)はそれに構わず、無言で蓋を押さえ続けていた。

抜け忍の才蔵「・・・ちッ、ちくしょおおおッツ!!」
具田幸村「斜メ前田殿、これは一体!?」
斜メ前田慶次「馬鹿め! そんな三文芝居で俺を騙せると思ったか!」
具田幸村「芝居だって!?」
斜メ前田慶次「ああ、こいつはな・・・」

 すでに皆さんもお察しのとおり、才蔵は偽の準備動作を行い、蓋が開かれた瞬間に外へと飛び出すつもりだったのだが、慶次に読まれて失敗したのであった。のちに慶次が語るところによると、

「・・・あいつは、忍者のくせに嘘や芝居が苦手なようだ。声の感じで、俺を騙そうとしているってわかったよ。念のため蓋を開けて見てみたが、九字も切ってねえんだ。もう飛び出す気満々で身構えていたよ。あいつ忍者に向いてねえんじゃねえか?」

 ・・・とのことだが、もしこの時、才蔵が九字を切る動作をしていたら、果たしてどうなっていたかはわからない。さて、前頭部をしたたかに蓋の内側に打ちつけ、脱出の望みが絶たれた才蔵はどうなったかというと、

抜け忍の才蔵「・・・うがああああーーーーッ!!」

 半狂乱となり、力ずくで蓋を押し開けようとしていた。『窯抜けの術』が破られ、芝居も見破られたとなると、もはやこうするしか道は残されていなかった。何しろ、モタモタしている場合ではない。熱と酸欠でいつ意識を失ってもおかしくないほどに、窯の中は過酷な環境となっていたのだ。

抜け忍の才蔵「・・・ぬおおおおーーーーッ!!」

 常人ならばいざ知らず、腐っても忍者である。その強靭な肉体と精神力には侮れないものがあった。ましてや自らの生死がかかっている。対する慶次も両脚を突っ張り、歯を食いしばって蓋を押さえているものの、奮闘むなしく徐々に蓋が開きつつあった。

具田幸村「・・・斜メ前田殿! 助勢いたす!」
斜メ前田慶次「手出しは無用だ!」
具田幸村「しかし、このままでは!」
斜メ前田慶次「今回は、俺一人でケリをつける!」

 慶次とて、レベル50代の頃の非力だった身体とは違う。いつまでも他人の手に頼るつもりはない。男の意地をかけ、全身全霊を込めて開きかかっている蓋を押し返す。

斜メ前田慶次「うおおおおおおっ!」
抜け忍の才蔵「うッ・・・ぐうッ・・・!」
斜メ前田慶次「・・・往生際の悪い野郎だ! さっさとくたばれ!!」
抜け忍の才蔵「ああッ・・ちッ・・・ちくしょうッ!」

 今回の力比べは慶次に軍配が上がった。蓋が完全に閉じる寸前、中から「・・・とッ! 取引をしないかッ!?」などと聞こえてきたが、聞く耳を持つつもりはない。閉じた蓋を無言で押さえ続ける。もちろん、中の様子に細心の注意を払ってだ。

抜け忍の才蔵「くッ・・・も・・・もうッ・・・だ・・・ッ」

 これが窯の中から聞こえてきた、才蔵の最後の言葉であった。窯の中からの力が一切かからなくなったことを確認してから、慶次は身を引いた。

イメージBGM:『ROCKY BALVOA』


具田幸村「な・・・斜メ前田殿・・・」
斜メ前田慶次「・・・ハアッ・・・ハアッ・・・!」
具田幸村「か、勝ったんだな! 斜メ前田殿!」
斜メ前田慶次「・・・ああ、そうだ・・・俺は、ついに才蔵に勝った!」
具田幸村「おおっ・・・!」
斜メ前田慶次「やったぞおおーーー!! うおおおおー!!」

 その時、慶次の歓喜の叫びをたまた通りかかった近隣の百姓夫婦が聞きつけた。

百姓「・・・おおっ、何ぞめでたいことがあったようじゃ」
百姓の妻「窯で、何かすごいものが焼き上がったんじゃなかろうか?」
百姓「おそらく、窯だけに壺か茶碗に違いないのう」
百姓の妻「壺や茶碗を焼くような外見には見えねえけんども・・・」
百姓「と、とにかく村のもんさ呼んで来い! 振舞い酒が出るかもしれねえ」
百姓の妻「わかった!」

 間もなく、誤解をした近隣の村の百姓が駆けつけてきた。慶次は何が何だかわからないまま担ぎ上げられ、為すすべなく胴上げをされてしまった。「ワッショイ、ワッショイ!」という威勢の良い掛け声が辺りに響く。

斜メ前田慶次「(・・・何だこいつら!? 何で俺、胴上げされてんだ?)」

 しかし、勝利のあとの出来事なので、悪い気持ちはしない。

斜メ前田慶次「(わかった! きっと、幸村殿が手を回していてくれたのだな)」

 幸村にそんな気が利くはずもないし、幸村は幸村でまた、

具田幸村「(勝利に備えて、あらかじめ胴上げの手配をしておくとは、さすが・・・!)」

 この調子である。その場にいる全員が揃って誤解をしているのだから、どうしようもない。やがて、地面に下ろされた慶次が咆哮した。

斜メ前田慶次「・・・エイドリアン!! エイドリアーーーン!!」

 もちろん、エイドリアンがこの場にいるはずがないのだが、異常な昂ぶりがそうさせたのだろう。百姓たちは笑顔で拍手を慶次に送りつつ、振舞い酒が振る舞われるのを今か今かと待っていた。

 ・・・その時である。

抜け忍の才蔵「・・・ハアッ・・・ハアッ・・・!」

 慶次の前に、ところどころ焼け焦げた忍び装束をまとい、衰弱しきった才蔵が現れた。

斜メ前田慶次「・・・な、何だとーーー!!」

 さすがに驚きを隠せない慶次であった。

抜け忍の才蔵「ぐッ・・・ハアッ・・・ハアッ・・・!」
斜メ前田慶次「馬鹿な・・・一体どうやって・・・!!」
抜け忍の才蔵「まさか・・・まさかあの・・・『窯抜けの術・改』が、俺に使えるとは・・・」
抜け忍の才蔵「あ、危ないところだったッ・・・ハアッ・・・ハアッ・・・」
斜メ前田慶次「窯抜けの術・改だと!?」

 『窯抜けの術・改』とは、準備動作を必要としない窯抜けの術の改良版である。この術を使うことができるのは、全国に散在する忍びの中でもごく一握りの天才のみと言われている。本来、才蔵ごときに使えるはずはなかったのだが・・・おそらく生死のかかった状況で、何かが開花したのであろう。

斜メ前田慶次「準備動作・・・なしだと・・・何てえこった・・・!」

 落胆のあまり、その場に崩れ落ちた慶次に、才蔵が声をかけた。

抜け忍の才蔵「と、ところでッ・・・」
斜メ前田慶次「何だよ」

2012101501.jpg

抜け忍の才蔵「熱いッ! 何をするんだ貴様ッ!」
斜メ前田慶次「くっくっく・・・計算通り衰弱してるな。幸村殿、かかれ!」
具田幸村「おおっ!」
抜け忍の才蔵「・・・ちょッ! 待ってくれ変身させてくれッ」
具田幸村「うるせえーっ!」

2012121801.jpg

抜け忍の才蔵「くっ! ひ、卑怯者め・・・」
斜メ前田慶次「さて、首を頂くとするか・・・ん!?」
斜メ前田慶次「き、消えた!? 馬鹿な・・・!」

 ・・・幸村の新参者光弾で倒されたはずの才蔵の姿が、いつの間にか消え失せていた。決して油断はしていないはずだったが・・・この時、慶次は忍びの恐ろしさを改めて認識することになったのであった。

具田幸村「特化技能目録だけ残して、消えやがった・・・」
斜メ前田慶次「抜け忍の・・・いやさ窯隠れの才蔵・・・またどこかで会う気がするぜ・・・」

終わり
Date: 2012.12.18
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具田幸村の特化取得の巻・其の弐

抜け忍の才蔵「ぎゃはああーーーッ!」

 才蔵の全気合が削られ、ビリビリと痺れている姿を確認すると、すぐにまた蓋を閉じた。

斜メ前田慶次「・・・思ったとおりだ! やはり『窯抜けの術』の消費気合は多い!」

 狭いところにいて身動きの取れない相手に、至近距離から顔面を狙って八方手裏剣を投げつける。まさに畜生の仕業と言えよう。このような非道が果たして許されていいのだろうか。

斜メ前田慶次「・・・うるせえ! もうなりふり構ってられねえんだよ!」
具田幸村「誰と話してるんだ?」
斜メ前田慶次「こっちの話だ! どんどん薪を放り込め!」
抜け忍の才蔵「・・・こッ、この人でなしがッ!」
斜メ前田慶次「やかましい!」
抜け忍の才蔵「・・・ぐあッ! あ、熱いッ!」
斜メ前田慶次「(さて・・・どう出る、才蔵よ)」

 窯の中の才蔵の挙動に全神経を研ぎ澄まし、耳を傾ける慶次。

抜け忍の才蔵「はああああーーーッ!」
斜メ前田慶次「(やはり気合充填か・・・となると次の手は・・・)」
抜け忍の才蔵「臨! 兵! 闘! 者!・・・」
斜メ前田慶次「(当然、そう来るだろう。だが無駄だ)」

 慶次は先ほどと同じように窯の蓋を開き、全力を込めて再び才蔵の顔面に八方手裏剣を投げつけた。 

抜け忍の才蔵「だはああーーーッ!」
斜メ前田慶次「何度やっても同じだ。お前の準備は通さねえ」
抜け忍の才蔵「う・・・うぐッ! ちく・・・しょう・・・ッ!」

 悔しさと憎しみのこもった才蔵の視線を、窯の蓋を閉じることで遮断した。

抜け忍の才蔵「・・・くそッ! こ、こんなはずでは・・・ッ!!」

 数十万、いや数百万貫をかけたかもしれない魅力装備も、この状況ではただのゴミ装備と言わざるを得ない。才蔵は歯噛みをして悔しがったが、どうなるものでもなかった。そしてこうしている間にも、熱気が才蔵の体力を容赦なく奪っていく。

抜け忍の才蔵「(こ、このままでは、何度やっても同じだ・・・ッ!)」
抜け忍の才蔵「(こうなったら、一か八か・・・ッ!)」
抜け忍の才蔵「はああああーーーッ!」
斜メ前田慶次「・・・気合充填、か」

 三個目の八方手裏剣を構える慶次。

抜け忍の才蔵「臨・兵・・・」
斜メ前田慶次「(・・・馬鹿の一つ覚えとは、まさにこのことだな。その魅力装備とともに燃え尽きるがいい)」

 窯の蓋に手をかけ、いざ開こうとしたその瞬間・・・

斜メ前田慶次「・・・!?」

 得体の知れない不安が慶次を襲った。

抜け忍の才蔵「闘・者・・・」
具田幸村「どうしたんだ!? 早く八方手裏剣を!」
斜メ前田慶次「これは・・・まさか・・・!?」
具田幸村「間に合わなくなるぞ! さあ、蓋を開けて、早く!」
抜け忍の才蔵「皆・陣・列・・・」


2012121601.jpg

斜メ前田慶次「・・・・・・!」
具田幸村「ケイジさん!」
斜メ前田慶次「ああ、そうだな・・・蓋を開けよう・・・!」

続く
Date: 2012.12.16
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具田幸村の特化取得の巻・其の壱

2012121501.jpg

 - 三輪山にて撮影 -

斜メ前田慶次「幸村殿よ、心の準備は良いか?」
具田幸村「早いとこやっちまって、今夜は飲み明かそう!」
斜メ前田慶次「よし、その意気だ」

 ・・・その時である。


2012101501.jpg

抜け忍の才蔵「早く来んかッ! 斜メ前田慶次主従ッ!」

 何と、才蔵が手招きをしながら、慶次と幸村を呼んでいるのだ。これには二人も驚いた。

抜け忍の才蔵「俺は時間の無駄が嫌いなんだッ! さっさと始めるぞッ!」
斜メ前田慶次「・・・今日はやけにせっかちだな」
具田幸村「毎回、こんな感じなのか?」
斜メ前田慶次「そういうわけではないが、とにかく行ってみるか」

 覆面に隠れていて見た目はわからないが、奇妙なことに才蔵、二人が到着するやいなや満面の笑みで慶次と幸村に話しかけたのであった。

抜け忍の才蔵「ふふ・・・貴様の『魅了の睨み』は、もはや俺には通用せんぞッ!!」
斜メ前田慶次「では幸村殿、窯の組み立てを始めてくれ」
具田幸村「おう」
抜け忍の才蔵「見ろッ! この魅力に特化した俺さまの装備をッ!」

 演舞の特化技能である『魅了の睨み』対策なのであろう。全身の装備に万遍なく魅力付与がなされていた。

抜け忍の才蔵「どうだッ、すごいだろうッ! 今回はめちゃくちゃ金をかけたんだッ!」
斜メ前田慶次「・・・幸村殿、そこは力を込めてはめないといかん」
具田幸村「これは失敬」
抜け忍の才蔵「例え準備中でも、貴様の魅了が俺に決まることはないッ!」
斜メ前田慶次「幸村殿、焦らなくて良い。どうせ今回も逃げねえし」
抜け忍の才蔵「こらッ! 人の話を聞かんかッ!」

 装備を見せびらかそうとして見てもらえず、不機嫌になる才蔵。

具田幸村「・・・組み上がったぜ、斜メ前田殿」
斜メ前田慶次「よし、俺がこいつを中に押し込むから、お主は薪に火を・・・」
抜け忍の才蔵「その必要はないッ! 待っていろ。今、中に入ってやるッ!」
斜メ前田慶次「やっぱりか」

 言うやいなや才蔵、「ハーッハッハッハッハッ!」と高らかに笑いながら自ら窯の中へと身を投じたのであった。端から見ればキ〇ガイ以外の何者でもなかった。

 しかしこの才蔵、決して気が触れているわけではない。厳しい修行の末に会得した「窯抜けの術」と、大金をはたいて新調した魅力装備に絶対の自信を持っているからこその、一連の言動であった。

 才蔵は今回、慶次の『魅了の睨み』を楽々とレジった上で窯抜けの術を用い、窯から抜け出すことで慶次に対し完全勝利することを目標としていた。慶次の悔しがる表情を見て悦に浸りたい、という理由もあるが、

 「もう俺を窯に閉じ込めても無駄だ。人を焼き殺そうなど、馬鹿なマネはもうやめろ」と、今度こそアピールする目的もある。当然、意気込みも違ってきていたのであった。

抜け忍の才蔵「・・・相変わらず素晴らしい窯だ。傾奇者にしておくにはもったいないな」

 余裕があることを見せつけるつもりで、外にいる慶次に語りかける才蔵。しかし慶次にとって才蔵からの褒め言葉などどうでもいいことであった。無言で幸村に目配せし、窯の蓋を閉じる慶次。

抜け忍の才蔵「・・・熱ッ!?」
抜け忍の才蔵「だから、始めるときは言えッ! びっくりするだろうがッ!!」

 普通に蓋を開けて外に出てこようとする才蔵を、力ずくで蓋を押さえ付けることで中に押し戻す。ちなみにこの時も無言であった。

抜け忍の才蔵「・・・わかったッ! そういう態度かッ! もういいッ!」
斜メ前田慶次「ぎゃあぎゃあ喚くんじゃねえよ」
抜け忍の才蔵「いくぞ! 窯抜けの術! 臨! 兵! 闘! 者!・・・」
斜メ前田慶次「(来たな・・・)」

 才蔵が準備動作を始めたことを確認し、思い切って蓋を開け放った。

抜け忍の才蔵「(・・・さあ来いッ! レジってやるッ!)」

 蓋が開かれることは予想していたため、今回の才蔵に動揺はない。

斜メ前田慶次「喰らえ、才蔵!」
抜け忍の才蔵「(来いやーーーーッ!)」
斜メ前田慶次「八方手裏剣!!」
抜け忍の才蔵「(・・・な、何だとッ!?)」

 慶次の右手から放たれた八方手裏剣が、容赦なく才蔵の顔面にめり込んだ。

抜け忍の才蔵「ぎゃはああーーーッ!」

続く
Date: 2012.12.15
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板ばさみの元バター犬!の巻・後編

バター「・・・グルルルル!」
斜メ前田慶次「バター!? お前・・・」

 おろくは同じような光景を過去に一度見ている。乱心した主人が刀を振り回しながら部屋に侵入してきた時だ。すでに使用人数名が犠牲になったのであろう。その刀身が血と脂に塗れていた。

 あまりの恐怖に体がすくみ、その場から一歩も動けなくなってしまったおろくを救ったのは、紛れもなく今、目の前にいる勇敢な元バター犬であった。おろくの両眼に、再び熱いものが込み上げてきた。

 ちなみに乱心した主人が部屋に乗り込んでくる前に、おろくはバターと一緒にどんなことをしていたの? という問いについては、残念ながら答えることはできない。読者諸氏の想像にお任せすることにしよう。 

斜メ前田慶次「・・・バター! お前、正気か!?」
バター「・・・グルルルル!」
斜メ前田慶次「この女は、お前を捨てたんだぞ! 恩を仇で返したんだぞ!」

 バターの両眼にも、悲しさが滲み出ていた。これにいち早く気付いたドラえもん・零式が、慶次の肩に手をかけた。

      _____
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  |/ ── |  ──   ヽ   |  < ・・・慶次君
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  ヽ (__|____  / /
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ドラえもん・零式「・・・行かせてやりなよ」
斜メ前田慶次「・・・・・・」

 慶次の両肩に、ずっしりと重いものがのしかかった。声もなくうなだれ、しばしの沈黙の後、ようやく声を絞り出した。

斜メ前田慶次「・・・行けよ」
おろく「いいんですか!?」
バター「・・・ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
斜メ前田慶次「バター、いや、ハチ」
斜メ前田慶次「達者でな。それからおろくさんよ」
おろく「はい」
斜メ前田慶次「・・・もしまた捨てたら、今度こそ許さねえからな」
おろく「・・・ありがとうございます! ありがとうございます!」

 慶次は返事をせず、右手を振りながらゆっくりと自室へ向かったのであった。

ドラえもん・零式「慶次君・・・」

 それから間もなく、ドラえもん・零式が慶次の様子を見に、慶次の部屋の引き戸の前に立った。もし落ち込んでいるようなら励ましてやるつもりだったのだが、戸に手をかけた途端、何と中から荒い息遣いが聞こえてきたのであった。

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  |/ ── |  ──   ヽ   |  < ・・・ん!?
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斜メ前田慶次「ハアッ・・・ハアッ・・・ふっ・・・うっ・・・」
ドラえもん・零式「(・・・呆れた! こんな時にまで・・・!)」
ドラえもん・零式「(きっと、おろくさんをオカズにしているに違いない! 一体どういう神経してるんだ!!)」

 例えほんの一時でも、慶次のことを心配してしまった自分を恥じたドラえもん・零式であった。

ドラえもん・零式「・・・君は、アレか! 野獣か! 性の野獣か!!」

 そう怒鳴り込もうとして、やはりやめた。どうも中の様子がいつもと違う。

ドラえもん・零式「(これは・・・! どうやら僕は大きな誤解をしていたようだ)」
ドラえもん・零式「(今は、そっとしておくよ。ごめんよ、慶次君・・・)」

 それから数日後。慶次が庭で組み立て式の窯のメンテナンスを行っていたところ、何とバターがひょっこりと姿を見せたのであった。そして驚いて作業の手を止めた慶次を一瞥すると、縁の下へと身体を潜り込ませていった。

斜メ前田慶次「おい、こりゃどういう・・・」
ドラえもん・零式「ひょっとして・・・」
斜メ前田慶次「ん?」
ドラえもん・零式「主人を二人持つことにしたんじゃないかな」
斜メ前田慶次「俺と、あのおろくさんか?」
ドラえもん・零式「好きな時に、好きな方の家に上がり込むつもりなんだと思うよ」
斜メ前田慶次「・・・何とまあ、勝手な野郎だ」

 なお、元バター犬・バターが、おろくの家でバター犬に現役復帰したのかどうかは、二人の知るところではない。
Date: 2012.12.14
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板ばさみの元バター犬!の巻・前編

 この日の昼下がり。慶次は元バター犬・バターを相手に、餌を与えたり、遊んだりするなど気楽な一日を過ごしていた。居候のドラえもん・零式曰く、

ドラえもん・零式「最近は、少しずつ心を開いてきたようだね」

 ・・・とのことだが、確かにその推察は誤ってはいなかったようで、ここ数日は慶次を避けようとする素振りを見せず、慶次が手渡しで餌を渡しても、躊躇せずに口に運んでいたのであった。

斜メ前田慶次「そろそろ、お手やおすわりも仕込んでみるかな」

 そんなことを呟く慶次と、バターの身に異変が起こったのは、この後まもなくのことであった。

???「・・・ハチ!」

 身なりのしっかりした若い女が、いつの間にやら慶次宅の庭に入り込み、バターに向かって叫んだのであった。突然のこの呼びかけに、バターの表情が明らかに戸惑いの表情に変わった。

???「ハチ!」

 バターをハチと呼ぶ若い女に、慶次が尋ねた。

斜メ前田慶次「・・・あんた誰?」
???「あ、これは失礼いたしました。私はそこの越中屋の者で、ろくと申します」
斜メ前田慶次「おろくさん、か。うちの犬に何か用か?」
おろく「私は、あの子の元の飼い主です」
斜メ前田慶次「何だって!? じゃあ、あんたが・・・」

 バターをバター犬として飼っていた未亡人の突然の出現に、慶次の股間は反応せざるを得なかった。やや前のめりになりながら、慶次が尋ねた。

斜メ前田慶次「今日は如何なる用で参られた?」
おろく「お願いです、あの子を返して下さいませんか」
斜メ前田慶次「!?」

---------------------------------------------------------------------

 ・・・俺は、


 ニア 断る
   返す
   もしよかったら、僕の舌も試してみませんか


斜メ前田慶次「・・・断る」
おろく「そこを、そこをどうかお願いします!」
斜メ前田慶次「一度捨てた者を、信用することはできねえ」
おろく「今度こそ、今度こそ大切にしますから!」
斜メ前田慶次「駄目だ。おいバター!」

 困惑の表情で二人を見守っているバターに、慶次が語りかけた。

斜メ前田慶次「お前を捨てた元主人だ。何とか言ってやれ」

 恐縮しきっているおろくに、バターが駆け寄り、そして・・・

おろく「・・・ハチ! 駄目だってば!」
斜メ前田慶次「!?」

hachi.jpg

おろく「・・・ハチ! おすわり、おすわり!」
バター「・・・ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
斜メ前田慶次「うおおおお!」

 おろくの股間に鼻を埋めようとするバターと、それを恥ずかしげに制止しようとするおろくの姿に、慶次の股間もまた反応せざるを得なかった。やや前のめりになりながら、おろくへ言葉を投げかけた。

斜メ前田慶次「あんた、こいつが雪の中、飢えと寒さで死にかけてたのを知っているか?」
おろく「・・・・・・」
斜メ前田慶次「捨てられたこいつの気持ちを考えたことはあるのか?」
おろく「・・・・・・」
斜メ前田慶次「どうなんだ!!」

 激しい剣幕で問い詰める慶次の前に、おろくは涙を流しながら謝ることしかできなかった。

おろく「すみません・・・」
斜メ前田慶次「謝るのは、俺に対してじゃねえだろ」
おろく「はい・・・」
斜メ前田慶次「例え家に連れ帰ったとしてもだ。どうせ[ピー]にバターを塗りたくって、」
斜メ前田慶次「[ピー]を舐めさせる気だろ?」

 顔を真っ赤にしてうつむくおろくに、ようやくドラえもん・零式が助け船を出した。

ドラえもん・零式「・・・慶次君、いくら何でもストレートすぎるだろ」
斜メ前田慶次「いや、たぶん[ピー]にも塗る気だろ」
ドラえもん・零式「慶次君、それ以上いけない」
斜メ前田慶次「そして、気が済んだらまた捨てるんだろう?」
おろく「いえ! 私は・・・」
斜メ前田慶次「だいたい、家中の者に放逐して下さいと言われて実際に放逐してしまう」
斜メ前田慶次「そんな意志の弱い人間に、こいつを返すわけにはいかねえよ」
おろく「・・・・・・」
斜メ前田慶次「あんたに生き物を飼う資格はねえ。帰ってくれ」
おろく「・・・・・・」

 声もなく佇むおろくを守るように、バターがおろくの前に立ちふさがり、慶次を威嚇し始めた。

バター「・・・グルルルル!」
斜メ前田慶次「バター!? お前・・・」

続く
Date: 2012.12.11
Category: 信on
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いくさ犬の心意気の巻

斜メ前田慶次「・・・腹が減ったのか。じゃあ、これをやろう」
バター「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

      _____
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  |/ ── |  ──   ヽ   |  < ・・・ん!?
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  ヽ (__|____  / /
   \           / /
    l━━(零)━━━━┥

ドラえもん・零式「・・・馬鹿なぁー! そ、それは九条ねぎ!!」

2012120801.jpg

斜メ前田慶次「ほれ、地面に置くからな」
バター「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
ドラえもん・零式「やめろ! 犬にネギは駄目だ!!」

 ・・・叫ぶと同時に、庭に向かって走り出すドラえもん・零式。

「ネギ属の成分が赤血球中のヘモグロビンを変化させ、最終的に赤血球を破壊するからです。症状は、貧血でぐったりして呼吸が荒くなります。又、嘔吐・下痢・血色素尿(赤い尿)・黄疸・肝臓肥大などをおこします。
 ネギ属は加工しても毒性は消えません。よくうっかりあげてしまうのは、ハンバーグやタマネギの入ったスープ、特にすき焼きの汁などは注意が必要です。量的には、イヌ・ネコも個体差がありますから、微量でも反応する子や多少食べても平気な子もいます。基本的には与えないに越した事はないでしょう」

※以上、『犬・猫の食べてはいけない物リスト』より引用させて頂きました
http://www.ne.jp/asahi/come/across/sub14.html

ドラえもん・零式「バターーーくーーーん!!」
斜メ前田慶次「おお、いい食いっぷりだな」

 ドラえもん・零式が現場に駆け付けた時には、すでに咀嚼を終え、九条ねぎを美味そうに飲み込んでしまっていたバターであった。

斜メ前田慶次「まだあるぞ、もっと食え」
ドラえもん・零式「慶次君! 君は何てことを!!」
斜メ前田慶次「ん? 何か問題でもあるのか?」
ドラえもん・零式「犬にネギは駄目なんだよ! 一体何を考えてるんだ!!」
斜メ前田慶次「何だ、そんなことを気にしていたのか」
ドラえもん・零式「死ぬことだってあるんだぞ! 早く吐かせないと!!」
斜メ前田慶次「大丈夫だ。何も心配はいらねえ」
ドラえもん・零式「何が大丈夫なんだ!」
斜メ前田慶次「戦国の世の犬は、ネギを食べても平気なんだよ」
ドラえもん・零式「・・・な、何だってー!」

 絶句するドラえもん・零式だったが、ここはドラえもん・零式が素直に負けを認めざるを得なかった。慶次の言うとおり、戦国の世の犬は何故かネギを食べても平気なのだ。この奇妙な現象は戦国の世の始まりと共に起こり、戦国の世が終わると共に終息したとのことだが、真相は定かではない。

 おそらくは、戦国の世に生きる『いくさ人』と同じく、血がたぎっているからであろう。ネギ属の成分など体内に入り込んだ瞬間に分解し、消し去ってやるぜ。むしろネギは大好物だ、どんと来い。これこそがまさに戦国の世に生きる『いくさ犬』の心意気に違いない。

ドラえもん・零式「さすがは戦国の世と言うべきか・・・」
斜メ前田慶次「うむ」
ドラえもん・零式「最近、僕はこの時代がよくわからなくなってきたよ」
斜メ前田慶次「心配すんな」
ドラえもん・零式「ん?」
斜メ前田慶次「この俺ですら、よくわかってねえんだからな」

 九条ねぎをたらふく食ったバターは、気持ちよさそうに昼寝を始めたのであった。
Date: 2012.12.08
Category: 信on
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抜いてません、の巻

 春日山は斜メ前田慶次の自室にて。

斜メ前田慶次「ハアッ・・・ハアッ、うっ、イク・・・」
ドラえもん・零式「(やはりやっているな・・・)」
ドラえもん・零式「慶次君、入るよ」
斜メ前田慶次「・・・ちょっ、おまっ、待っ!」

 敢えて慶次の制止を聞かず、部屋に踏み込もうとするドラえもん・零式。

      _____
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 いつもなら引くだけで開くはずの引き戸が、何かに引っかかって開かない。こんなことは初めてであった。

ドラえもん・零式「・・・こしゃくな! 中から鍵を!」
斜メ前田慶次「くっ・・・!」

 部屋の中から慌ただしく衣擦れの音が聞こえてくる。おそらく、夢中で着衣を直しているのであろう。 

ドラえもん・零式「このドラえもん・零式をナメるなよ! すぐに解錠してやる!」
斜メ前田慶次「これは、とりあえずそこに隠して・・・そしてこれは・・・」

 このわずか数十秒間の攻防戦を制したのは、

ドラえもん・零式「・・・開いた!」

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 解錠を終え、ドヤ顔で部屋に踏み込んだドラえもん・零式ではなく、

斜メ前田慶次「・・・おう。何か用か?」

 着衣を直し終わり、懐紙を隠し終わった慶次であった。

ドラえもん・零式「・・・ちっ」
斜メ前田慶次「ちっ、じゃねえだろ。また人の部屋に勝手に入ってこようとしやがって」
ドラえもん・零式「お香まで焚くとは・・・どうやら今回は僕の負けのようだ」
斜メ前田慶次「・・・用件は何だ、用件は!」
ドラえもん・零式「実は聞きたいことがあってね」
斜メ前田慶次「言っておくが、俺は抜いてねえぞ」
ドラえもん・零式「そういうことにしておいてやるよ。じゃあまず、」

2012120701.jpg

ドラえもん・零式「この写真なんだけどさ」
斜メ前田慶次「これは、俺がさっき行ってきた週刊瓦の・・・!? お前、どこで撮ってやがった」
ドラえもん・零式「僕にかかれば、君を盗撮するくらいわけもないことさ」
斜メ前田慶次「気持ち悪いことしてんじゃねえよ」
ドラえもん・零式「・・・君ってさあ」
斜メ前田慶次「何だよ」

2012120702.jpg

ドラえもん・零式「どうして腋毛を脱毛しているんだい?」
斜メ前田慶次「こら、いきなり何を言い出しやがる」
ドラえもん・零式「僕にしてみれば、君の方が気持ち悪いよ」
斜メ前田慶次「気持ち悪いとか言うな」
ドラえもん・零式「男のくせに、全く・・・ひょっとして君にはそういう趣味があるのかい?」
斜メ前田慶次「ねえよ」
ドラえもん・零式「じゃあ、どうして?」
斜メ前田慶次「そもそも戦国の世の人間には、腋毛は生えねえんだよ」
ドラえもん・零式「・・・な、何だってー!」

 絶句するドラえもん・零式だったが、ここはドラえもん・零式が素直に負けを認めざるを得なかった。慶次の言うとおり、戦国の世の人間には、何故か腋毛が生えないのだ。この奇妙な現象は戦国の世の始まりと共に起こり、戦国の世が終わると共に終息したとのことだが、真相は定かではない。

ドラえもん・零式「そうだったのか・・・それは申し訳なかった」
斜メ前田慶次「腋毛のことなんざ気にするな。まあ、俺にも理由はわからんが」
ドラえもん・零式「話は変わるけど、幸村君の歓迎会はどうするんだい?」
斜メ前田慶次「ああ、また城下町で宴を開くからいいよ。バターと留守番していてくれ」

 慶次の返答を聞いた途端、ドラえもん・零式の挙動が明らかにおかしくなった。

ドラえもん・零式「また・・・また僕をハブるんだね! またこの僕を!」
斜メ前田慶次「そういうことじゃねえって! さすがにこの時期だと門前での宴会はきついし・・・」
ドラえもん・零式「・・・そんなに僕が鬱陶しいか! そんなにもか!」

 息を乱し、掴みかかってくるドラえもん・零式。

斜メ前田慶次「だから、違うって言ってんだろうが! わかったよ、また門前でやってやる!」
ドラえもん・零式「・・・本当かい!?」
斜メ前田慶次「さっさと買い出しに行ってこい」

 慶次は財布からいくらかの金を取り出し、ドラえもん・零式に手渡した。

ドラえもん・零式「そう来なくっちゃ。さて、今度はどんな料理を作ろうかなあ」

 まるでスキップのような足取りで部屋を出て行くドラえもん・零式の背中を見ながら、慶次は呟いた。

斜メ前田慶次「・・・全く、めんどくせえドラえもんだな」
Date: 2012.12.07
Category: 信on
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傷の痛みの巻

 この日も慶次は春日山の茶店で酒を飲んでいた。普段は他に客が来ることはないのだが、この日に限っては武田家の若い三人組の男が、隣の席で耳障りな会話を続けていた。

武田家の男・壱「もう正直に言えって。お前、女を知らないんだろ?」
武田家の男・弐「嘘をついたってバレバレなんだよ」
武田家の男・参「・・・嘘などついてない! 俺は童貞なんかじゃない!」

 どうして武田家の者が春日山にいるのかはわからない。おそらくは観光か、公用で訪れたのだろう。しかし慶次にとってはそんなことはどうでも良かった。とにかく、この三人組が鬱陶しくて仕方がない。

武田家の男・壱「じゃあ、初体験はいつなんだよ?」
武田家の男・弐「相手の名前は?」
武田家の男・参「そ、それは・・・」

 顔を真っ赤にして口ごもる武田家の男・参でった。

武田家の男・壱「どうして即答できねえんだよ」
武田家の男・弐「即答できないってことは、やっぱり嘘なんだろ?」
武田家の男・参「・・・違う! 忘れただけだ!」
武田家の男・壱「じゃあ、時間をやるから思い出せよ」
武田家の男・弐「お前もうさ、正直に言えって」
武田家の男・参「・・・ああもう、こんな下らん話はいい加減やめにしないか!」
武田家の男・壱「じゃあ、話を変えてやるよ。初めて女の口を吸ったのはいつだ?」
武田家の男・参「・・・だから! そういう話は!」
武田家の男・弐「お前、まさかこれも忘れたんじゃないだろうな」

 壱と弐の追及はとどまるところを知らない。次第に参は追い詰められていき、壱と弐はその様子をひたすらに面白がっているようだった。うんざりした慶次が勘定を済ませようとした時、事件は起こった。

 屈辱に我を忘れた参が壱に掴みかかり、そのままの勢いで壱を脳天から地面に投げつけたのであった。「ズゴォン」という音と共に壱の頭蓋が砕け、鮮血が地面に広がった。

茶店娘「きゃあーっ!」
武田家の男・弐「・・・お、お前! 何てことを!」
武田家の男・参「黙れ」
武田家の男・弐「か、からかっていただけなのに、よくもこのような!」
武田家の男・参「・・・いいかキサマ」

yukimura.jpg

武田家の男・参「人間には触れちゃならん痛みがあるんだ!!」
武田家の男・参「其処に触れたらあとはもう生命のやり取りしか残らんのだ!!」

 大げさすぎるだろう、と慶次は思ったが、ひとまず事の成り行きを見守ることにした。

武田家の男・弐「お館様に報告する! タダで済むと思うなよ!」
武田家の男・参「勝手にしろ!」
武田家の男・弐「馬鹿めが! これで具田家もおしまいだな!」

 弐はそう吐き捨てると、壱の死体には目もくれずに城外へと走り去っていったのであった。

斜メ前田慶次「おい、お主」
武田家の男・参「・・・ハッ」
斜メ前田慶次「どうするつもりなんだ、この後」
武田家の男・参「ああ、ああ・・・何てこった。お、俺は何てことを・・・」

 我に返った途端、参は頭を抱えてその場にうずくまってしまった。

斜メ前田慶次「見たところ武田家の者のようだが、名は何という?」
武田家の男・参「具田・・・具田幸村と申します・・・」
斜メ前田慶次「(やはり、真田幸村のバッタモノだったか・・・)」
斜メ前田慶次「ここに倒れているのは、同僚か?」
具田幸村「はい・・・ああ、何てこった。まさか死んでしまうなんて・・・」
斜メ前田慶次「国に帰れば、お主もタダでは済まんぞ」

 喧嘩両成敗がこの時代の常識である以上、やむを得ないことであった。

具田幸村「わかっております・・・」
斜メ前田慶次「これも何かの縁だ。腹を切るなら、介錯してやる。後のことも心配するな」
具田幸村「いえ、それには及びません」
斜メ前田慶次「なら、どうする気だ?」
具田幸村「・・・この首は自分で斬り落とす!!」

 言うやいなや幸村は脇差を抜き放ち、柄と刃の先端を両手で握りしめ、それを首にあてがった。

斜メ前田慶次「立派だ。お主の見事な最期、この目で見届けてやろう」
具田幸村「・・・ぐうっ・・・!」

 もし幸村が苦しむようであれば、一刀のもとに首を切断するつもりで太刀の柄に手をかけていたのだが、どういうわけか幸村は一向に脇差を動かそうとしない。

具田幸村「う、うう・・・」
斜メ前田慶次「・・・どうした? 俺の脇差を貸してやろうか?」
具田幸村「・・・だ、駄目だ! 怖い! 死にたくねえよぉー!」
斜メ前田慶次「なっ!?」
具田幸村「・・・た、頼む! 俺を匿ってくれ! 何でもやるから! 頼むよ!」
斜メ前田慶次「いきなり何を言い出すんだよ」
具田幸村「お願いだ、この通り! 他に行くところがないんだよ!」

 地面に額をこすり付け、懇願する幸村であった。呆れて物も言えない慶次であったが、

斜メ前田慶次「ちょうど人手が足らなかったところだ。使ってやってもいいが・・・」
具田幸村「おお! か、かたじけない!」
斜メ前田慶次「危険な目に遭う覚悟はあるか? 死にたくねえってさっき言ってたが」
具田幸村「何でもやります! お願いします!」
斜メ前田慶次「そうか。俺は斜メ前田慶次ってもんだ。これからよろしくな」
具田幸村「斜メ前田慶次? あの、斜メ前田慶次殿か・・・」
斜メ前田慶次「おう、俺のことを知っていたのか」

 この時、幸村の脳裏には、天下の傾奇者・前田慶次と斜メ前田慶次の顔が浮かんでいた。

具田幸村「・・・しょぼい方の慶次!」
斜メ前田慶次「・・・な、何だと、この野郎!」

 慶次と幸村は春日山の茶店前でもみ合った。

斜メ前田慶次「人間には触れちゃならん痛みがあるんだ!!」
斜メ前田慶次「其処に触れたらあとはもう生命のやり取りしか残らんのだ!!」
具田幸村「・・・お、落ち着け! 落ち着けって!」

 ・・・というわけで、

2012120601.jpg

 漫画『花の慶次』の真田幸村のバッタモノキャラ家臣、具田幸村の誕生です。真田幸村といえば侍以外の何者でもないのですが、バランスを考えて、神主にしてみました。外見はできる限り、漫画『花の慶次』の真田幸村に似せてみました。詠唱・気合役として頑張ってもらうつもりです。
Date: 2012.12.06
Category: 信on
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吾輩は守将である。名前はまだ無い、の巻

 この日の岸和田合戦場において、斜メ前田慶次はN狩り徒党の一員として、とある陣の守将と対峙していた。

斜メ前田慶次「名のある将と見た。名は何という?」
守将「俺の名か? 冥土の土産に覚えておくがいい」
斜メ前田慶次「おう」
守将「俺に名は無い」
斜メ前田慶次「!?」

 一瞬流れた微妙な空気を、軍馬の嘶き、刃と刃が噛みあう音、銃弾が飛び交う音が掻き消した。

斜メ前田慶次「オレニ・ナワナイ・・・ひょっとして、東南アジア辺りの出身か?」
斜メ前田慶次「大したもんだ、きっと色々な壁を乗り越えてきたんだな」
守将「・・・違うわ! 日本人だ!」
斜メ前田慶次「そうかい、そりゃ失敬した。日本人にしては変わった名前だな」
守将「そうじゃない! 名前が無いと言っているんだ!」
斜メ前田慶次「!?」

 二人のすぐ横で、流れ弾が頭部に直撃したある兵士が声もなく倒れたが、二人は気にも留めなかった。

斜メ前田慶次「名前が無いってことはないだろう。遠慮せず名乗られよ」
守将「何度も言わすな! 俺に名前は無いんだ!」
斜メ前田慶次「そんな話が信じられるか。なら今までどうやって生きてきた?」
守将「俺にもわからん」
斜メ前田慶次「!?」

 この時、二人から少し離れたところで矢の雨が降り、まともに浴びた数人の兵士が絶叫を上げて倒れたが、やはり二人は気にも留めなかった。

斜メ前田慶次「お主の言っていることの意味がさっぱりわからん」
守将「・・・今まで言ったとおりだ! 俺には名前が無い。何故生まれてきたのかもわからない」
守将「今までどうやって生きてきたのかもわからない。それが俺だ! 俺という存在なんだ!」
斜メ前田慶次「まあまあ、そう熱くなるなよ」
守将「お主があまりにもしつこいからではないか!」
斜メ前田慶次「・・・あ! ああ、ああ。わかったぞ。そういうことか」
斜メ前田慶次「全く、俺としたことが・・・一目瞭然じゃねえか」
守将「・・・何がだ?」

 怪訝な表情で、慶次の次の言葉を待つ守将。

斜メ前田慶次「お主の名は、守将(もり まさる)だな?」
守将「・・・なっ!?」
斜メ前田慶次「守殿、名前が無いなどと、嘘を言ってはいけない」
守将「・・・嘘ではない! 俺はっ!」
斜メ前田慶次「ご自分の名前に誇りを持たれよ。両親からもらった大切な名前ではないか」
守将「・・・・・・」
斜メ前田慶次「俺も若い頃は、自分の変な名字に悩んだりもしたもんだが・・・」

 慶次が言いかけたところで突如、鬼の形相となった守将が慶次に組みついてきた。

守将「・・・貴様ぁっ! 人を馬鹿にするのもいい加減にせんか!!」
斜メ前田慶次「・・・なっ!?」
守将「貴様に俺の気持ちがわかるか! 名乗る名前が無い俺の気持ちが!!」
斜メ前田慶次「もり まさる、だろ! あるじゃねえか!!」
守将「まだ言うか! おのれ、八つ裂きにしてくれる!」
斜メ前田慶次「・・・落ち着け! 落ち着けって!!」
守将「・・・くそっ! くそおっ!! どうして俺には名前が無いんだ! どうしてなんだ!!」

 守将の絶叫と、それをなだめる慶次の声もやはり、戦場の様々な声、音によってかき消され・・・いつしか慶次たちの相手は遊行僧一人となっていた。

2012120401.jpg

遊行僧「・・・ぶぐっ!!」
斜メ前田慶次「・・・うおっ! 何かハート形の変なもんが身体から飛び出たぞ! キメエ!」

 血みどろとなり、仲間たちの仇を取るべく奮戦した遊行僧もとうとう力尽き、この陣は本願寺によって占領されることとなったのであった。まあ何が言いたかったのかというと、名無しの「守将」ってどうにかならないの? ってことです。では今日の日記はこの辺で。
Date: 2012.12.04
Category: 信on
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鉄壁のディフェンスの巻

斜メ前田慶次「妙だ・・・定刻になったってえのに、大決戦場に飛ばねえ」

 この日。慶次は岸和田で行われる大決戦に参加するため、岸和田合戦場へと足を運んでいた。参加登録を済ませ、定刻である20時半を迎えたのだが、何故か一向に参加を問うポップアップが現れない。

2012120301.jpg

 待ち人数はいない。時間的に考えても当然である。20時半を1、2分ほど過ぎた時点で100人埋まることなど考えられない。にも関わらず、である。慶次は首を傾げながら本願寺目付に話しかけた。

斜メ前田慶次「大決戦場に入りたいんだが」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」
斜メ前田慶次「じゃあ、出陣させてくれよ」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」
斜メ前田慶次「!?」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」
斜メ前田慶次「・・・おい、人の話を聞け」

 その時、某本願寺PCが慶次と同じように本願寺目付に話しかけたところ、すぐに大決戦場へと飛んで行ったのであった。それに続いた某上杉家PCも同様である。慶次にとっては不可解な事態と言えた。

斜メ前田慶次「おい、俺も大決戦場に飛ばしてくれよ」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」
斜メ前田慶次「こら! シカトすんな!」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」
斜メ前田慶次「・・・そういう態度か! だったらもういい、自力で行ってやる」

 モタモタしていると、100人埋まってしまい、参加することができなくなってしまう。焦った慶次は本願寺目付に頼らず、自らの足で大決戦場へと向かおうとした。その時である。

本願寺目付「・・・させるかぁっ!!」
斜メ前田慶次「・・・な、何をしやあがる!!」

2012120302.jpg

斜メ前田慶次「・・・どけ!! こら!!」
本願寺目付「絶対に抜かせん!!」

 何と、鬼の形相へと変貌した本願寺目付が、大決戦場へと向かおうとする慶次を徹底マークし、先へと進ませなかったのであった。為すすべなく、元の場所へと押し戻される慶次。

斜メ前田慶次「・・・何を邪魔してやがる! まだ100人埋まってねえだろうが!!」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」
斜メ前田慶次「だったら行かせろよ! どうしてそんな鉄壁のディフェンスしやがるんだ!!」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」

 よく見ると、本願寺目付の表情が明らかにおかしくなっている。両の眼がそれぞれ別の方向を向き、顔面は紅潮し、喰いしばった歯が剥き出しになっている。息遣いまで荒い。慶次はこの男に狂気を覚えた。

斜メ前田慶次「・・・おのれ! 狂うたか!!」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」
斜メ前田慶次「どけい! 邪魔だ!!」
本願寺目付「その合戦場なら、すぐに出陣できるようだぞ」
斜メ前田慶次「意地でも行ってやる!」
本願寺目付「・・・させるかぁっ!!」

2012120303.jpg

斜メ前田慶次「どけってんだよ!!」
本願寺目付「死んでも抜かせん!!」

2012120304.jpg

斜メ前田慶次「・・・こら! いい加減にせんか!!」
本願寺目付「ディーフェンス ディーフェンス」

 本願寺目付の徹底したマンマークに遭い、一歩たりとも前に進むことができない。疲れ果てた慶次は参加登録を解除し、春日山へ戻ろうととしたが、ふとした思いつきでもう一度参加登録をしてみた。すると・・・

斜メ前田慶次「・・・な、何だ!? 普通に入れやがった・・・」
斜メ前田慶次「あの野郎も正気に戻ってたみたいだし、一体何が・・・!?」

 まあ、何が言いたかったかというと、待ち人数がいないにも関わらず、大決戦場に入れないことがあるので、どうにかして欲しい、ということです。おそらくバグだと思われますので。でもコーエーテクモゲームスはこんな零細ブログ見に来ないんだろうなぁ・・・。
Date: 2012.12.03
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